夕刻、家に帰る。介護の人は6時ごろ帰っていく。夏場だから、室内の灯りを全てつけていかないで、部分的につけていく。もっともである。6時ごろはまだ明るい。
私が帰宅する頃は、日はとっぷり暮れているので、居間に入ると薄暗い。電気をつけて、
「滋ちゃん、ただいま」
「けいしさん」
と答えてくれる。
随分大きな声である。
ベッドサイドに行くと、声を出そうと一生懸命である。でも顔が悲しそうである。
滋ちゃん。 笑顔 笑顔 と声を掛ける。
退院当初は、「笑顔は忘れた」と悲しいことをいっていたけれど、最近は顔も穏やかになり、笑顔が見える。
そして、私の疲れは吹っ飛ぶ。
ただいま
これが我が家である。