土曜日、日曜日、つれづれに妻と過ごす。
一日中滋子さんはうつらうつらしているのかと思うと、ときどき大きな眼を開けて、外を見ている。どうしたのと聞くと、なんでもないと答えるが、きっといろんなことを考えているのであろう。
本当に、本人にとって大変つらいことだろうと痛感する。でもどうしようもない。
しかたなく、笑顔を妻に贈っている。ささやかなプレゼントである。
「早く起きられるようになりたい」
「ご飯が食べられるよう、葛西病院で訓練を開始したい」
妻がときどき、私に言う。
そうだね。
何とかしてあげよう。
元気になってくるのは、本当にうれしい。
それにつれて、課題が増えてくる。
それはそれでいいが、妻が大きな眼を開け、外をじっと見ている姿は、心の中でどんなに苦しんでいるのかと思うと、6月の梅雨の前のひと時の陽射しがやけにまぶしく感じる。
早く、本当の明るさがほしい。