我々夫婦にとって、鹿島時代の一番の出来事は、長女幹子の誕生でしょう。
新婚当時、会社はスーパーマッケトなどがある市街地(???)の近くに、借り上げ社宅を設定し、我々ペーペーはそこに住んでいました。といっても3LDKの広いアパートでした。11月結婚。翌年2月にはその借り上げ社宅から、正式の社宅へ引越しと、あわただしい新婚時代でした。もっとも、僕自身は、仕事が忙しくて、それどころではないとういうのが現状で、殆ど妻の仕事でした。
引越しが終わって、コタツで一休み。
そろそろ夕刻。滋子さんに「ねえ、ご飯はどうしようか」
「買い物に行く」と聞くと、辛そうに気分が良くなくて、食欲がないとおっしゃる。
「あっそう」と答えて、テレビを見ていると、さすがにお腹がすいてきて、坂の途中にあるお店で何か駆ってこようかと聞くと、「うどんぐらいなら」と答える。
お湯を掛けて、3分間クッキング。
うどんを二人で食べていると、「少し気分がよくなってきた」
「なんだ。おなかがすきすぎていたのでは」
思わず笑いながら、うどんを二人で食べました。
笑い事ではありませんでした。
妊娠でした。
翌週、念のために病院へいったら、おめでたですよといわれたそうです。
もっとも、滋子さんはうすうす予感があったのでは。
いずれにしろ、うれしいというより、ほっとしたのがあのときの私の感想でした。
親父に電話して知らせたとき、何かしら気恥ずかしい思いがしたのを思い出します。
幹子が生まれて、何が変わったのでしょうか。
わが子を抱いた幸せそうな妻。少し恥ずかしそうな私。やがて、旺盛な食欲を見せ、バナナを丸ごと抱えて喜んでいる我が子のスナップ。
結婚して10数年。娘が少しおしゃまになっていた頃、妻が娘にお父さんが食事を私に作ってくれたのは最初で最後のうどんだとこぼしていたのを笑いながら、そうだそうだと相槌を打っていました。
あのうどんは本当に忘れられません。私が親になった瞬間ですから。
妻が妊娠中、神戸の友人とあった折、大きなお腹をかかえて、友人と食事。
友人いわく、
原因と結果が歩いているね。
大きなお世話である。
その友人も3つの原因と結果を作り、そろそろ孫が出来るそうである。