久しぶりの朝日である。
妻の病室をのぞくと、春の朝日がベッドのシーツの上で踊っていた。
うつらうつらしている妻がいた。
おはよう
声を掛けると、少ししゃべる準備をして、
啓史さん
はっきりした声で答えてくれた。
昨日の夕方、見舞いに来た折も、同じように大きなはっきりした声で、
待ってた
寒い
と発声していた。
まったく病気というのは、ある日突然劇的な回復をするようである。
ある日突然、歩き出してくれれば、
夢かも知れないが、信じていたいと思う。
久しぶりの朝日である。
妻の顔が穏やかである。