先日友人が家族で熱海に梅を見に出かけた。東京は雪模様の日である。震えながら梅見をしたのだろうと、意地悪い期待をしていたのだけれど、帰京した友人いわく、暖かで観梅に最高でしたとうれしい報告。人の不幸は甘い蜜というけれど、後味は決してよくない。素直に良かったねと喜びましょう。
さて、友人いわく、梅ってサクラと違って、全部満開になるのではないのね。ところどころが満開になっているけれど、まだつぼみのところも多かったとのこと。
決してサクラがいっせいに咲き乱れるのではないけれど、やはり桜並木の小枝は満開のサクラの花で重たげな印象はある。
サクラの開花は日照時間と日照温度の積算の累計であり、その数値が一定以上になると開花するとのことである。梅もきっと同じなのであろう。
サクラの開花前線の話をするのは、かなり気が早いかもしれないけれど、梅便りを耳にして、数日寒が緩むと、サクラの花を意識する。
春の音が聞こえてくる。
以前、芝公園で花見をする機会があった。友人の会社からの招待であった。夕刻、会場に出向くと、周りはかなり込んでいたのに、その会場の周りは他のグループがなく、ゆったりとして、これはいい場所ですねと思わず言った覚えがある。ところが、ひとしきり杯を交わしているうちに、ひとりが気がついた。これってサクラでなく、梅の木じゃない。えっと驚き、見上げると確かにサクラではなく、梅ノ木であった。
サクラ満開の芝公園で遅咲きの梅を見ながら、宴会とは少し間の抜けた話であるが、そこはそれ、私の友人である。向こうの花を見ながら、飲もうよといってそのまま宴会を続行。
2次会は六本木のナイトクラブ(たしかリドだったと思う。いまはドンキホーテになっている)で夜のサクラのお花見をした。サクラの木には枝を折ってはいけないと書いているが、こちらのサクラはお持ち帰り自由である。最もお持ち帰りに成功した幸運な御仁にはお目にかかったことはない。
サクラにまつわる逸話には事欠かない。

今日は2月14日、あっというまの三月。そのうち桜前線の便りが届くでしょう。私と妻がいる病床にも。