言葉の話の続き

人に自分の気持ちを伝えるのは難しい。言葉しかないのも、事実。
確かに雰囲気とかまなざしとかしぐさとか補助手段はあるけど、まなざしだけで伝えていくのは、少女コミック漫画のつぶらな瞳の画像みたいで、つくりものやゲームの中のような気がする。
海外の会社にいると、会議中お前はどう思うとかどうしたいのかと効かれる。そのとき明確に答えないと、次からその会議に呼ばれない。参加資格なしということである。
もしかすると、机もないかもしれない。
日本は、阿吽の呼吸とか言うけれど、こういう文化は確かにあるけれど、世代を超えた文化ではない。居酒屋や屋台でアルコールの入った世界では存在するかもしれないし、渋谷の繁華街で座り込んでいる世代の間では存在するかもしれない。一歩外に出ると、我々はオジンであり、ウザッタイと買い割れる人種であり、世代間のコミュニケーションはあまり期待できない。
それでも、エンヤラ船を出す
野坂昭如の世界である。

今はなき、坂本九の歌。
好きだよと書いたら、なんとなく物足りなく
愛してると書いたらなんとなく恥ずかしくて
だから君に送った白いラブレター
という歌詞の歌がある。少し間をはしょっているかもしれない。

人の言葉の限界を端的に言っている言葉だと思う。
人に言葉で伝えると、なんとなく本当に自分が伝えたいことと違う気がする。言い換えるとまた何か違和感や作り物の気がする。
だから携帯電話でしゃべった後、メールを送る。
もしかしたら、今の若い人ほど本当の言葉、自分の言葉をさがしているのかもしれませんね。
でも、みなさん、その答えは携帯電話のなかにはありませんよ。
目の前の人の瞳の中にあるはずですよ。