今日は明かりがついていた。家に帰り、いつもの挨拶。
「今日変わったことあったの」
「別にないよ」
妻がベッドに座りたいという。数分程度だが、きついリハビリである。早く自分で起き上がるためのリハビリ。
着替えをして、一息ついて、買ってきたブドウを食べる。妻の口元で絞って、ブドウの味を楽しんでもらう。
しまった、つぶのかけらが、口の中に。まだ十分飲み込めない。口から出そうとしても思うようにいかない。
ほっとけば解けていくしろものではない。
大慌てで、打つむせにしたりして、吐き出そうとしたが、うまくいかない。果ては吸引。大騒動である。しばらくして落ち着き、どうやら飲み込めたようである。
「ごめん」
「ごめん」
「ごめん」
妻の食事。薬の注入。チューブが十分繋がっていなくて、薬が漏れて、大きなお腹の上。
「冷たい」
切なそうにクレーム。
「ごめん」
「ごめん」
「ごめん」
今日は失敗ばかり。
お腹を乾いたタオルで拭き、寒いというので、タオルケットを一枚足す。
胸元にタオルケットを掛け、
「大丈夫」
うなずく、妻。
「今日は落第だね」
うなづく、妻。