朝6時起床。まだ薄暗く、もう一眠りをしようかと思う朝である。
ベッドから立ち上がり、窓を開けて、朝の外気を取り入れる。赤坂はもう雨が降りはじめたと、テレビの天気予報。浦安はまだ。うすぐらい朝である。朝の冷気とともに、車の走る音、バスが角を回るときの警告音、すべて湿った音となって、窓から入り込む。生徒の通学のざわめきはまだである。
妻の寝ている部屋へ行くと、そこはまだ夜のしじまの中。今日の寝息はかわいらしい。いつもの熊さんではない。起こさないようにオムツを交換。カーテンを開けると、朝になった。妻が小さなあくび。自然な表情。以前は筋肉の一部が硬直したような不自然な表情だったが、随分変わった。よくなったね。
朝食のため、チューブを胃ろうにつなぐ。水と栄養分を合わせて、補液ボトルに注ぐ。流量調整をして、さあ、朝の仕事。洗濯、食器洗い。
今日はディサービス。着替えなどの準備。
ふと気が付くと、お目覚め。
「おはよう」
「おはよう」
朝の始まりである。
窓を開ける。7時30分。車の量が増えてきて、騒がしい朝である。
窓の下を通る生徒の声が聞こえてくる。
「今日は、早い」
昨日は新潟からお客と食事と銀座だったけ。
「今日は大丈夫」
「寂しいから、早く帰って。」
「いいよ」
今日は午後青山で会議。まあ、早く帰れるでしょう。
長い一日が始まる。
行ってきますと、ドアを閉める。
あ、そういえば今日は俺の誕生日だった。
57歳。