前回は、京都議定書の問題点の3つ目として、排出量販売がある、というところで終わりましたよね。
じゃあ、そもそも排出量販売ってなにか。一言で言うと、「国同士で排出削減・吸収増進の結果として生じた排出削減単位(ERU)の売買・移転」のことです。
少しわかりにくいので、国を人に、排出量を支出に見立てて説明をしていきたいと思います。
例えばここに、AくんとBくんがあるとします。今月の支出の限度目標が2人とも1万円であり、Aくんはまだ5000円しか使っていないのに対して(目標+5000円→目標達成)、Bくんはすでに15000円使っている(目標-5000円→目標未達成)だとすると、Bくんは当然焦りますよね。今月までになんとかして目標を達成したことにしないと怒られてしまう。そこで「排出量販売」を使い、Aくんから「5000円削減」という実績を買い取るのです。こうすることによってAくんは目標±0円、B君も目標±0円になり(数字上は)、どちらも目標を達成したとみなされます。
上の例からわかるように(変な例でしたが)、このように実際に排出量を削減できていなくても、他国から「○○という量のガスの排出量を削減した」という数値を買い取ることで自分がその数値分削減したことになってしまうのが、排出量販売です。
個人的には、こんなことを可能にしてしまうと、減らそうという意欲が減ってしまう気がすごいするのですが・・・みなさんはどう思いますか?ちなみに、今現在の排出量市場の規模は以下の表の通りです。
大きいのか小さいのか、よくわからない(ちゃんと調べられていないです)のですが、参考までに。
さて、ここまで京都議定書の「前置き」部分を話してきました。しかし、冒頭に話したように、これは1990年に制定されたものであり、2015年がデッドラインの年であります。じゃあ、各国はそれまでに目標達成できたのか?それを次回以降話していこうと思います。
ただ、すべての国について話すのは無理なので、その中でも日本、アメリカ、中国に注目して話を進めていこうと思います。取り組みに参加した先進国、しなかった先進国、参加した途上国の3パターンですね。
では次回。
