「徳川武芸帳 柳生三代の剣」は、昭和~平成において、お正月の名物TV番組の一つとして毎年お茶の間を沸かせた、テレビ東京系の超長時間ドラマシリーズの一作。 戦国乱世から徳川の天下へと移行する激動の時代。その歴史の裏面で、徳川将軍家の権力を剣の力で支え続けた「柳生一族」の三代にわたる宿命を描く。初代・柳生宗厳(石舟斎)の「活人剣」の思想、二代・宗矩の「政治の剣」としての葛藤、そして三代・三厳(十兵衛)の「至高の剣」への邁進を通じ、大いなる時代の転換期を厳粛な筆致で描き出す。 物語は、新陰流の祖・上泉信綱の正統を受け継ぐ柳生石舟斎宗厳と、天下人となる徳川家康との邂逅に始まる。宗厳は家康に対し、武器を持たぬ身で敵を制する無刀取りの極意を披露し、これを「人を活かすための剣」と説く。その思想に深く傾倒した家康は、柳生家を徳川の剣術指南役に抜擢。これにより、一地方の豪族に過ぎなかった柳生家は、徳川の覇権と一蓮托生となる宿命を背負う。 やがて時代が江戸へと移ると、二代・宗矩は過酷な現実政治の荒波に身を投じる。関ヶ原の戦い、大坂の陣を経て、徳川の天下を確固たるものにするため、宗矩は単なる剣術家から、幕府の最高機密を統べる冷徹な政治家へと変貌を遂げていく。豊臣の残党や幕府転覆を企てる反乱分子を暗殺し、謀略を巡らせる宗矩の「剣」は、天下の平穏を保つための「必要悪」として血に染まる。しかし、この冷徹な国家理性に激しく反発したのが、彼の長男である十兵衛三厳であった。 剣の本質を見失い、権謀術数に加担する父への嫌悪から、十兵衛は城を去り、十一年に及ぶ諸国武者修行の旅に出る。隻眼の天才剣士として生きる十兵衛の前には、宮本武蔵や荒木又右衛門といった、各々の信念を掲げる最強の宿敵たちが次々と立ちはだかる。命を懸けた真剣勝負の中で、十兵衛は父の歩む政治の道とは異なる、純粋なる剣の深淵へと到達していく。 クライマックス、三代将軍・徳川家光の治世において、幕府の根底を揺るがす巨大な陰謀が露見する。病に侵され、自らの死期を悟った宗矩は、孤独な闘いの果てに、自分が泥を被ることで息子の純粋な剣の道を護っていた事実に気付く。十兵衛もまた、国家の存亡を両肩に背負い続けた父の壮絶な生き様を理解し、その遺志を継いで江戸城を揺るがす最後の陰謀を斬り伏せる。 本作は、国家の安寧という大義のために個を殺した父と、己の信念を貫き通した息子の、相克と絆の物語である。時代の要請に翻弄されながらも、新陰流の魂を次代へと繋いだ男たちの系譜が、重厚な人間ドラマとしてここに完結する。
剣の極意とは、人の心の中にある。「あっぱれ」GOGOGO
とっとっと・・・

