映画『開戦前夜』の舞台は1941年4月、真珠湾攻撃の8か月前。日本中から官僚・軍・民間の若きエリートが集められた内閣総理大臣直轄機関「総力戦研究所」で、日米開戦の行く末を読むための「模擬内閣」が組まれる。
一発の弾丸も飛ばないが、ここで描かれるのは命をかけたシミュレーションの戦場。「模擬内閣」を担った若者たちが国家機密データをもとにシミュレーションを行い、積み上げたのは、日本がアメリカに対して「圧倒的な敗北」を喫するという結論だった。
原爆投下以外のほぼすべてを言い当てたこの「日本必敗」の予測が、なぜ退けられ、日本は勝ち目のない戦いへ進んだのか。本作はその過程を、戦場ではなく会議室と組織の中で起きる人間ドラマとして映し出す。
見どころとなるのは、日本で最高峰の頭脳を持つ若者たちの理性が導いた「日本必敗」という答えと、それをのみ込んでいく時代の「空気」との衝突。“模擬内閣”を組み、開戦前に議論を行った総力戦研究所のメンバーは、東條英機ら“本物の内閣”へ「日本必敗」の結論を報告するが、そこで突きつけられるのは、数字や論理だけでは止められない同調圧力と精神論だった。正論と忖度、理性と情熱のあいだで揺れる人々を通して、社会が「わかっていても止められない」方向へ進んでいく様が映し出される。
ドラマの内容に未公開シーンを加えた完全版
映画『開戦前夜』は、猪瀬直樹のノンフィクション作品「昭和16年夏の敗戦」を原案に石井裕也が監督・脚本・編集を手がけた。NHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」として2025年8月に放送されたドラマパートをもとに未公開シーンを加えた、138分の完全版となる。
池松壮亮主演 - 共演に仲野太賀、岩田剛典
主演は池松壮亮。仲野太賀、岩田剛典、中村蒼、三浦貴大ら実力派が並び、切迫感あふれる中で、白熱する議論を繰り広げる。國村隼、佐藤隆太、江口洋介、佐藤浩市、二階堂ふみ、杉田雷麟、北村有起哉、嶋田久作、中野英雄、渡辺いっけい、別所哲也、松田龍平、奥田瑛二も名を連ねる。
