お地蔵さん、お稲荷さん、七福神、エエジャナイカ――熱狂的信仰対象となった「はやり神」は、時に爆発的に流行し、不要になれば棄てられ、廃れていった。民衆文化が花開いた江戸時代、民衆の関心と欲求は神仏の盛衰さえ左右した。民衆は、なぜ、どのように流行神を生み出したのか。系譜、思想、霊験の細分化、流行神発生の仕掛人など、多様な事例から近世の流行神の特徴や機能を解明し、背景にある日本人の心理や宗教意識の構造にも迫る好著。

解説=小松和彦。

 

《目次》

はしがき

はじめに――流行神研究の意義

 

I 流行神の諸相

1 流行神の出現

2 願かけの諸相

3 流行神と地域社会

一 古峯信仰/二 愛宕信仰/三 恵比須信仰

 

II 流行神の系譜

1 御霊信仰の系譜

2 和霊信仰の系譜

3 疱瘡神の福神化

4 福神信仰の系譜

 

III 流行神仏の性格

1 近世寺院と流行神仏

2 境内仏と鎮守神

3 霊験の機能化と統合化

 

IV 流行神の思想

1 流行神と終末観

2 流行神と世直し

3 流行神とメシアニズム

 

V 流行神の構造

1 民俗神道としての流行神

2 人神と祀り棄て

 

主要参考文献

流行神関係年表

文庫版あとがき

解説(小松和彦)