正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶……人間というのは、ものすごくやっかいな存在だ。しかし、希望がないわけではない。一人でも多くの人が人間の本性、すなわち自分の内なる「バカと無知」に気づき、多少なりとも言動に注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるはずだ。科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。

 

 

「きれいごと」だけでは生きていけない

『言ってはいけない』から6年、「人間について、知りたくないけれど、知っておくべきこと」

 

「芸能人と正義に関するニュース」がどうして人気コンテンツになるのか?

キャンセルカルチャーが心地よさをもたらすのはなぜか?

バカと利口がじっくり向き合うことで生まれる悲劇とは?

「きれいごと」ばかりがはびこる現代社会の「残酷な真実」に光を当てる決定版。

 

【目次】

 

PARTⅠ 正義は最大の娯楽である

 

1なんでみんなこんなに怒っているのか/2自分より優れた者は「損失」、劣った者は「報酬」

3なぜ世界は公正でなければならないのか/4キャンセルカルチャーという快感

 

 

PARTⅡ バカと無知

 

5バカは自分がバカであることに気づいていない/6「知らないことを知らない」という二重の呪い

7民主的な社会がうまくいかない不穏な理由/8バカに引きずられるのを避けるには?

9バカと利口が熟議するという悲劇/10過剰敬語「よろしかったでしょうか?」の秘密

11日本人の3人に1人は日本語が読めない/12投票率は低ければ低いほどいい

13バカでも賢くなれるエンハンスメント2・0の到来

 

 

PARTⅢ やっかいな自尊心

 

14皇族は「上級国民」/15「子どもは純真」はほんとうか?

16いつも相手より有利でいたい/17非モテ男と高学歴女が対立する理由

18ほめて伸ばそうとすると落第する/19美男・美女は幸福じゃない

20自尊心が打ち砕かれたとき/21日本人の潜在的自尊心は高かった

22自尊心は「勘違い力」/23善意の名を借りたマウンティング

24進化論的なフェミニズム

 

 

PARTⅣ 「差別と偏見」の迷宮

 

25無意識の差別を計測する/26誰もが偏見をもっている/27差別はなぜあるか?

28「偏見」のなかには正しいものもある?/29「ピグマリオン効果」は存在しない?

30強く願うと夢はかなわなくなる/31ベンツに乗ると一時停止しなくなるのはなぜ?

32「信頼」の裏に刻印された「服従」の文字/33道徳の「貯金」ができると差別的になる

34「偏見をもつな」という教育が偏見を強める/35共同体のあたたかさは排除から生まれる

36愛は世界を救わない

 

 

PARTⅤ すべての記憶は「偽物」である

 

37トラウマ治療が生み出した冤罪の山/38アメリカが妄想にとりつかれる理由

39トラウマとPTSDのやっかいな関係/40「トラウマから解放された私」とは?

 

付論1 PTSDをめぐる短い歴史

付論2 トラウマは原因なのか、それとも結果なのか?

「ふむふむ」