秋の怪談

春と秋は憂鬱になりやすいのか、結構自殺者を探しに行く事が多かったです。
春は受験に失敗した学生がするパターンが多かったのに対して、秋は夏休みに火遊びをし過ぎて妊娠して、相手に逃げられて、両親に勘当されて自殺した例もあります。
ある時、東京から家出した女性が行方不明なり、防犯カメラで写っていたから、あるエリアを捜索したそうです。
場所を書けないのは、プライバシーに関する配慮です。
ただ、私が直接参加していないで、友人から聞いた話だと理解して下さい。
捜索は、警察官や消防団などで数十人が参加しました。
大体、ポイントは特定出来るから、そこを目指して行きました。
五ヶ所の候補から、どれかだと経験上判断しました。人間は面白い者で、首吊りする樹は同じです。
だから、過去のポイントを探すとほとんどがそこで死んでいます。
カラスが輪をかいて飛んでいる場所の中心部に死体があるケースもあります。
友人達が今回は発見者になりました。
なんだ、こいつだったのか？
1人の消防団員が吐き捨てるように言いました。
この男性が火遊びの相手で、別れたその日に携帯を変えて、アドレスもメアドも変えていました。
住所も名前も嘘っぱちでしたから、女性は困りました。
子供が出来たら責任とるから、無しでエッチしよう。その言葉を信じていたのに、妊娠を知らせた途端に音信不通になりました。
女性は子供を産むつもりでしたが、周りからは中絶を勧められてノイローゼになり、思い出の土地の近くで自殺しました。
担架に乗せられて運ばれました。
この娘は、お前と仲良くしていなかったか？
友人がその男性に言いました。
ただのセフレですよ。
顔はイマイチでしたが、あっちは締まりが良くて最高でしたよ。
あまりのデリカシーの無さに友人も呆れはてました。死体は遺族に引き渡されました。
ワンボックスカーに乗せられて無言の帰宅をしたと思っていましたが、恨みは残りました。
毎夜、男性の元に現れました。
車を運転している時にも、横に現れたり、前方に現れたりしていました。
幽霊なんているもんか。
疲れているだけだ。
頑なにそう言い張りました。
段々と男性の顔色は悪くなりました。
偶然、私も友人に用事があったから、友人の家に行きました。
その時に、たまたまコンビニでその男性と会いましたが、女性に取りつかれていて、死相が出ていました。私が友人に耳許で教えてやると、頷いて男性に気付かないふりして外に出ました。
私は夕方には帰りましたが、2日後男性は死亡しました。
車で事故を起こして、ほぼ即死だったそうです。
二枚目だった顔は、フロントガラスに叩きつけられて見るも無惨だったと友人が言っていました。
きっと、女性を撥ね飛ばそうとして事故を起こしたのでしょう。
事故現場の近くを見知らぬ女性がいたと言う証言が複数あります。
やはり、火遊びはするもんじゃないですね。