昌信は、佐江にとことん精を抜かれました。
しかし、快感に酔いしれていました。
朝方になると、いつのまにか佐江は消えていました。翌日偶然ですが、政宗さんが東京に出張したついでに昌信の家に立ち寄りました。
政宗さんが立ち寄ると、疲れきって呆然としている状態でした。
どうした、昌信。
お前ヤりすぎの顔しているぞ。
実は、昨夜幽霊が出ました。
そして昨夜の出来事を政宗さんに話ました。
政宗さんは悩みました。
結界が張れないぞ。
身内なんだろ?
先代の昌信様の奥方の幽霊なら徐霊も出来ないしな。多分、今夜も出るぞ。
大僧正のところに行こう。しかし、邪魔が入るとはこういう事でしょう。
通常なら一時間で行けるのに、事故や渋滞、さらに車がパンクしてしまいました。
こちらの動きを読まれているようだな。
四時間かけてやっと寺に着きました。
大僧正に一部始終を話しました。
一番厄介だな。
御先祖様に出られると打つ手は限られているな。
取り合えず二人共に護摩堂に入れ。
結界は張れないけど、不動明王様の前に出れる霊はめったにいません。
しかし、深夜になったら佐江の霊が現れました。
昌信様、今夜も佐江に情けを下さい。
子種を下さいませ。
よくも現れたな。
ここには入れないから安心致せ。
それから大僧正は読経を続けました。
外では、佐江の霊が昌信を呼び続けていました。
ドガーン
光の塊が落ちて来ました。佐江、私はここにいるぞ。備前守昌信じゃ。
まさしく殿様だ。
お会いしたかった。
儂こそ佐江を探していたぞ。
二度流産して、三度目には母子共々死におって。
私は、殿様の和子を産みたかったのです。
世嗣ぎを産んで、御生母様と言われてみたかったのです。
実家に合わせる顔が無くて辛かったのです。
松平殿には、儂から話は致す故に、一緒に極楽浄土に参ろうぞ。
政宗、昌信安心致せ。
どうやら片はついたぞ。
初代昌信殿に来てもらったのだ。
しかし、東京に戻ったら驚きました。
昌信が住む予定の場所は更地になっていました。
ここは、墓地を潰して家を建てた場所で、二年前に火事が起こり、全焼して更地になったそうです。
その時に家族全員死亡したそうです。
この家を斡旋した不動産屋も、担当者はいない人間で、斡旋歴もありませんでした。
全ては、佐江の見させた幻でした。