初夏の怪談

関東も戦国時代には、激戦が各地で有りました。
東京近郊でも例外では有りません。
私の身内が大学生になり、東京で自炊生活を送る事になりました。
私と政宗さんは、家賃をけちるなよ。
そう言っておきました。
訳あり物件の怖さを知っているからでした。
ところが、安くて便利な物件を見つけて入ろうとしたからストップをかけました。
相場の半分以下は、おかしい。
私と政宗さんが、反対している事を強行したら、我が一族では破門です。
私と政宗さんと家を借りる予定の和光が一晩泊まってから決める事にしました。入り口に入った瞬間に、嫌な気配を感じました。
線香を焚いてみましたが、火花が飛びました。
和光、借りなくて良かったな。
1人や2人じゃないぞ、この部屋に出る霊は。
住所を見たら納得できる場所でした。
ここは、激戦があった場所だよ。
落武者が出る場所でも、おかしくない。
一応落武者対策はして酒を飲んで寝ていました。
ところが、落武者だけでなくて、もう数人いました。この部屋は、悪霊の巣窟でした。
生活苦で一家心中した家族と男に振られて自殺した女の霊が出ました。
めったに使わない呪文を私と政宗さんが唱えて和光は何も喋るな、座禅を崩すな。
どうにか撃退しましたが、和光も、さすがにこの部屋には住まないと言いました。
その部屋を扱った不動産屋に行ったら、空き家になっていました。
近くの交番に行ったら、あの不動産屋は二年前に潰れたとの事でした。
全て、霊の仕業でした。
帰り道に、丹沢に寄って徐霊してもらいましたが、大僧正に、お前達が生きている事が奇跡だ。
これだけの数の霊を徐霊したのは初めてだ。
昨夜の出来事を話しましたが、最初に落武者対策をしておいて良かったと言われました。
訳あり物件は怖いから、多少高くても相場の家に住む事が大切だ。
命あっての物種だぞ。
最後にそう教えられて伊豆に帰りました。
家を借りる時は慎重に選びたいと思いました。