意外に知られていない事ですが、竹は花が咲きます。千年に一度と言われていますが、竹が枯れる前に咲くと言われています。
竹は元来、縁起物ですがその花は、滅びの象徴と言われています。
私がまだ幼い頃、近所の竹藪で、竹の花が咲いてしまいました。
竹藪の所有者は、縁起が悪い事は知っていましたが、強がっていました。
迷信だよ、そんな事は。
そう言って、花の咲いた竹を切りました。
それが災いしたのか、この人の家には不幸が続きました。
台風で、この人の山葵田だけが土砂崩れに遭いました。
子供が野良犬に噛まれて、狂犬病の疑いがかけられました。
止めは、期待して婿養子に迎え入れた男性が急死しました。
原因不明の病気で、大学病院でもウィルスは過去に例が無いタイプと言われました。
私の祖母もその家の奥さんとは懇意にしていたから、家族全員採血をした事を覚えています。
普通、これだけの大店なら盛大な葬儀を上げますが、棺の中を見せない葬儀でした。
とても見れた者じゃなかった。
祖母は、吐き捨てるように言った事を覚えています。竹の花の不幸は、これだけに止まりませんでした。
あれから30年間、この家には不幸はあっても慶事は何もありません。
昔は人が集まる家でしたが、今では誰も寄り付かない寂れた家になりました。
天城では屈指の名家だけに没落しても土地だけは持っていて、借家の上がりだけで生活している有り様です。