キャディをやっていれば、数回着いて顔馴染みになる事があります。
何回も着いていれば、お客様の癖なども分かります。ある時、ショートホールで数組待ちの混雑でした。
違うコンペのショットを見ていました。
風の動きを私は見ていました。
私の組になった時は、ティーグランドは無風でしたが谷はサイドアゲインの兆候がありました。
見た目よりも流れますよ。番手を2つ上げないと、グリーンまで届きませんよ。私は、そうアドバイスしました。
そうか、君が言うなら信じよう。
お客様達は、2人までワンオンしていました。
3人目の方が打とうとした瞬間にストップをかけました。
風が強くなりますし、グリーンも重いからもう1つ番手上げましょう。
お客様は、クラブを替えてティーショットを打ちました。
綺麗な弾道を描いて、グリーンを捉えて、そのままカップインしました。
打たせた前の組、後ろで見ていた組も目撃者でした。アマチュアで、これだけの人数に見られていたのも珍しいです。
私は、翌日十万貰いました。
パーティーにも招かれました。
二百万の保険に入っていたから豪勢でした。
ただ、ホールインワン保険は、使った領収書を保険会社に郵送して、使った金額が振り込まれるシステムですから、領収書が必要な事と、コースの証明書とキャディのサインと同伴者のサインも必要です。
一時期、ホールインワン詐欺があったから、チェックは厳しいですよ。
ゴルファーが達成したい3つの栄誉は、エイジシュート、アルバトロス、ホールインワンの3つです。
これを一年の間に達成した方が1人だけアマチュアでいます。
しかも、コースの三大タイトルで1つづつ達成しました。
理事長杯でホールインワン、キャプテン杯でアルバトロス、これはキャディで着いていましたが、フォローだから達成した奇跡でしたね。ティーショットが300ヤード近く飛んだし、セカンドもバフィーもカラーに落ちて、ランもブレーキがかかってのカップインでした。
エイジシュートはクラブチャンピオンの準決勝でした。69歳でのエイジシュートは見事ですが、決勝は負けてしまいました。
ただ、人間の運勢は分からないもので、この方もその翌年海外出張で強盗に襲われて落命したのが残念です。
本当に紳士な方でした。