今回は過去に遡っての怪談です。
先日来た友人と話していて思い出した話でもあるし、私が美女嫌いになったのは一重にこのナースのおかげです。
では、話を始めます。
私が成人病棟に移った時の新卒ナースに、永井朋美と言う人がいました。
見てくれはとても綺麗で、藤原紀香そっくりでした。しかし、見た目とは裏腹に性格は最低女です。
普通なら先輩ナースにいじめられるところですが、交際している男性が、静岡県医師会の会長の息子で、医大の若手のホープでした。手先が器用で、手術の腕前は凄いと評判の人でした。この医師親子と私の家族は面識がありました。
前にも書きましたが、私の母と日本婦長会の会長は親友でした。
その方の紹介で、毎年我が家のみかん山で、甘夏を取っていました。
こうした関係を朋美は知りませんでした。
ある時、いつも朋美と口喧嘩をするお婆さんが体調が悪くなりました。
癌が悪化したのです。
主治医は、あと2ヶ月持つかな?
婦長とそんな話をしていました。
その話を朋美は聞いていました。
静かに席を外して、お婆さんを探しました。
お婆さんは、私達高校生と遠州の方言の話をしていました。
お婆ちゃん良かったわね、若い彼氏達に囲まれて。
でもね、お婆ちゃんの癌は再発しちゃったのよ。
持ってもあと2ヶ月くらいだから精々楽しんでね。
満面の笑みで言い放ちました。
周りは絶句してしまいました。
私達もフリーズ状態になりました。
お婆さんの顔色は、ショックで真っ青になりました。このお婆さんは、その夜に病院の外れの松の樹で首吊り自殺しました。
次の朝、その事件を聞いた朋美は、あの婆さん根性ねえな。
そう言って笑い声を上げました。