この話は、生前の政宗さんに聞いた話です。
あまりに怖いから私もあえてアップしませんでしたが、大切なアメンバーの1人高村綾さんが怖い話が好きだと言うからアップしますが、怖い話が嫌いな方はパスして下さい。

人の死に方もいろいろな場合があります。
寿命を全うして亡くなる方と、自殺と言う神仏の意志に叛いて亡くなる方もいます。
私も政宗さんも首吊り死体は数体見ていますが、終始無言に徹して無駄口は一切利きません。
何故なら、身体は死んでも霊魂は残り、大抵死体の近くにいて全てを見ています。
ある首吊り自殺の時、私は伊豆に不在で、政宗さんも用事があって行けませんでした。
その時の自殺者は、妙齢の女性でした。
失恋自殺でした。
この死体を縄から外した時に、お調子者の邦明が余計な事を言いました。
こんなデブで不細工なら男に振られるよな。
ここまでのブスは、めったにいないぜ。
すると、部長の信光さんが、滅多な事を言うな。
仏さんに失礼だろ。
叱りましたが、邦明も反論しました。
信光さん、こんなブスは死んでも誰も泣きませんよ。死者に鞭打つ事を言いました。
信光さんも呆れていましたが、邦明よ、お前の顔も言えた義理じゃないぞ。
背が低い間抜け顔と言われるぞ。
罰として、下の道まで背負って行け。
1人では、キツいから悟も手伝え。
こうして、2人で死体を下げている時に、異変が起こりました。
く、苦しい。
邦明が悲鳴を上げました。なんと、死体が邦明の首を締め付けていました。
信光さんが、浄めの塩と呪文を唱えました。
女性の声で、この男は許せない。
今は去るが、これで済んだと思うなよ。
そういうと、死体は動かなくなりました。
邦明は、失禁して動けない状態だから、代わりの者が死体を下げて行きました。家族が迎えに来ていました。
一週間行方不明の娘が遺体で見つかったのに誰も泣かないのが不思議でした。
むしろ、ホッとした顔をしていました。
その理由が後で分かりました。
邦明は、不細工な男ですが、妹の千秋は美人で優しく誰からも好かれるタイプでした。
その妹の千秋が、2日後に事故死しました。
しかも、顔面はぐちゃぐちゃに潰れていました。
政宗さんと信光さんは、通夜に行きました。
政宗さんは遺体を見るなり、これは殺されたな。
しかも悪霊に。
よほど執念深い悪霊だな。質が悪いから呪いも残酷だ。
信光さんが、政宗さんに邦明の話をその時初めて話しました。
馬鹿な、何故もっと早く言わない。
その自殺者の悪霊は近くにいるぞ。
キャー。
悲鳴が聞こえて来ました。邦明が刃物を持って通夜客の女性に襲いかかりました。
急いで政宗さんと信光さんが駆けつけました。
邦明を見た政宗さんが、こいつに取りついたな。
信光、刀を取って来い。
政宗さんはいきなり邦明を投げました。
完璧に投げたのに、効かないようで、逆に政宗さんに襲いかかりました。
邦明は、女性の声で、死ね、私を侮辱した者は不幸になればいいんだ。
もっと殺してやる。
不幸なヤツを増やしてやるんだ。
政宗さんは、浄めの塩を邦明の口に入れて、数珠で首を締め付けました。
邦明は、動けなくなりました。
そこへ信光さんが鬼切を持って来ました。
政宗さんが、刀を持って呪文を唱えて、刀の背で邦明の左肩を打ち据えました。白い煙がたち、女性の霊魂が現れました。
悔しい。
この男は、絶対に不幸にしてやる。
そう言って逃げようとした瞬間。
政宗さんの鬼切がしなりました。
悪霊を真っ二つに切りました。
悪霊は消え失せました。
しかし、邦明は二度と正気には戻らず、7日後に死亡しました。
原因は不明です。
この話は、これだけで終わりませんでした。
続きは、夏にアップします。