頼房、政宗、信之が話をしていると、柳生宗矩を従えて家康が表れた。
珍しい顔ぶれだな。
また頼房が我が儘を言ってそなた達を困らせていたか?
家康は、笑いながら言った。
頼房は、不満な表情で、
伊達殿の家老が、真田の義兄上の姪を嫁に欲しいと拙者に頼んで来たから、こうして義兄上にお願いに参ったのです。
政宗よ、頼房を使うとは考えたな。
伊豆守の姪とは、幸村の娘であろう。
敵ながら、幸村は天晴れであった。
あやつが総大将であったら儂も苦杯を喫したかもしれん。
柳生も、幸村には負けたのう。
真田殿ご兄弟は、剣聖と言われた上泉伊勢守様の最後の直弟子です。
同じ新陰流でも、我等は下座になります。
同じ剣技浮舟でも幸村殿は私よりも強い威力でした。柳生宗矩は、負けた理由を話ました。
政宗よ、そちの願い事は、聞いてつかわす。
ただし、ここにいる三名で京へ赴き、朝廷と幕府の間柄を良くしてまいれ。
さすれば、秀忠も文句を言うまい。
この、京都行きが水戸家に重大な影響を残す事となった。