琴美は、実は整形美女であった。
元は、じゃがいもに目鼻と言われるくらいの女性でした。
それを美女に整形するには相当のお金が必要でした。製薬会社にいた時も、重役の愛人をして、お手当てをもらっていました。
その重役が、アメリカ出張の時に本社から、ある薬を持ち帰りました。
要人暗殺の為に開発中の秘薬、デビルシュガーでした。
味は、砂糖にそっくりですが、ヒ素をベースにいろんな物を混ぜてある蓄積毒です。
ある試薬を用いない限り見つからない毒薬でした。
この薬を預かっていた琴美は、ある事を考え付きました。
半年間、こっそり重役に毒を盛り、生命保険を琴美を姪として、受け取り人にしたのです。
額は、あまりに高いと怪しまれるから、一千万にしておきました。
重役の死は、心筋梗塞でした。
死の3日前まで、重役は琴美の身体を求めるほど元気でした。
遺族の方には、もっと多額の生命保険が降りたから、琴美の方は、慰謝料代わりに認めて、あえて遺族も言って来ませんでした。
重役も、まさか自分が外国から持って来た秘薬で殺されるとは思っていなかったでしょう。
その後、琴美は、今の会社に移り、佐川の愛人になりました。
身寄りの少ない、年収の高い男。
忠顕は、それに該当しました。
忠顕には、国家公務員の兄が1人いるだけで、あとは身寄りがありません。
年収は、一千万以上ある
エリートです。
顔も、まあまあだから、琴美の第2のターゲットになりました。
しかし、佐川と琴美の失敗は、兄の職業をしっかりと確認しなかった事でした。忠顕の兄は、確かに国家公務員です。
履歴書にもそれ以上書いてないから、見落としたのでしょう。
忠顕の兄は、警察官で、しかも鑑識の経験もある警視でした。
インターポールの研修で、デビルシュガーについての講習を受けて、日本に帰って来たのは、忠顕が薬を飲ませられてから、2ヶ月ほど経ってからでした。