出陣の準備をしている家康の元に、秀吉から使者が来た。
小諸に参戦せずに、軍勢を率いて大阪に参られたし。家康は、後手に回った事を後悔した。
早めに出陣していれば、小諸までの費用で済んだが、大阪と言う事は九州までの費用を考えておかねばならない。
正信、猿にやられたな。
家康は、愚痴をこぼした。殿、まだなにかあるかも知れませんな。
最低でも、一万は連れて堂々と東海道を参りましょうぞ。
徳川の力を誇示しましょうぞ。
正信は、家康を元気付けた。
そうじゃな。
わしの力を天下に誇示しておかねば、来るべき時に、影響するか。
家康は、徳川の精鋭部隊の一万を率いて、大阪に向かった。
その頃、小諸攻めの軍勢は真田、上杉、伊達、結城、前田、大谷などの大名と、信濃の豪族などで、八万近い兵力であった。
総大将の秀頼は、普段と変わらず落ち着いていた。
前田利家が真田昌幸に言った。
さすがに、信長様の血を引く方じゃ、落ち着いている態度が、そっくりじゃ。
その点は、昌幸も驚いていた。
太閤殿下と信長様の血を引く方は、やはり並みでは在りませんな。
2人が会話していると、本陣から、集合をつげる太鼓の音が鳴り響いた。