その頃、伏見城は、被害を免れた本丸御殿に秀吉と寧々が、幸村と清正の謁見を許していた。
幸村、北条の残党を切り捨てた腕前は、見事じゃ。
褒美に、従四位下左衛門督に昇進させてやる。
それと、この銘刀を遣わす。
そう言って、村正を幸村に手渡した。
村正は、徳川に祟る刀として知られていた。
家康が、刀の手入れをしていて、いつもどこかを切ってしまう刀があった。
それが、村正であった。
さらに、家康の長男、信康が、切腹した時に使用した刀も、村正であった。
それ以来、徳川に祟る刀として有名になった。
幸村、儂亡き後、秀頼を滅ぼそうと、家康が動くであろう。
その家康の首を村正で切ってくれ。
頼んだぞ。
清正、そちもじゃ。
家康は、儂以上の狸じゃ。間違っても、治部と戦をするでないぞ。
清正、近くに参れ。
清正が近くに寄ると。
虎之助、窶れたのう。
そなたの忠義、感じいった今日より謹慎を解除いたす。
虎之助、良かったなー。
寧々が口を添えた。
幸村、虎之助を信じた、そなたの配慮、見事であった。
寧々から、幸村に感謝の言葉であった。
2人とも、下がるが良い。秀吉は、上機嫌であった。