先日、プロテクトの技術を現実に使う経験をしました。
三鷹駅前の某ファミリーレストランで、狂乱した男が、誰振り構わず殴りかかろうと暴れていたのですが…
結論から申しますと、誰も怪我をせず、狂乱していた男も怪我をせずに事なきを得ました。
この時に使ったプロテクトの技術が非常に有効だと感じたので紹介させて頂きたいと思います。
事の経緯から説明しますと…
妻と食事中・・・
「○○すぞ!!」
突如、店内から怒声が聞こえてきました。
驚いて怒声が聞こえる方に出向き、現場を確認。
狂乱した男が、小柄な初老の男性に、突っかかり、殴りかかろうとしていました。
私は二人の間に入り、初老の男性を庇いました。すると、
「何だお前は!!」
と、いきなり金的に膝を入れてきました。
反射的に腰を後ろに下げ、浅い後屈立ちのような形になることで、直撃は避けました。
多少当たりましたが、ダメージは全くありません。
さらに殴ろうとしてきたので、その男の手首をつかみ、封じました・・・。
この局面に至るまでの私の中の優先順位は、
1.被害に遭っている人を助ける。
2.これ以上、周りに被害が及ばないようにする。
3.自分の身の安全を考える。 ※「3」が最優先なら、そもそも危険な現場に介入しません。
ここまでは順調。そして、戦力分析。
・敵は一人。
・凶器を持っていない。
・武道、格闘技経験があるようにも思えず素人の動き。
・身長は170センチ位、体重はやや小太り系なので80キロぐらいで、体格は私(180センチ以上、90キロ以上)が上。
・当然、筋力も私が上。
自分の方が圧倒的に強いと判った以上、次の思考は、
「法律上のリスクを回避する。」
例えば打撃で相手を倒してしまった場合、日本の法律上、かなり厄介な事になるのは容易に想像がつきます。
もっとも、相手が凶器を持っていたり、複数であった場合は別です。
大怪我をしたり、命を落としてしまったら、法律も何もありません。
幸い、相手からは、自分の身の安全が脅かされる程の脅威は感じません。
そこで、
「怪我をさせずに制圧」
という手段をとりました。
もっとも事態が悪化すれば、その手段に拘るつもりはありません。
男の両手首を両手で封じ、警察が来るのを待つ事にしました。
最初は力ずくで押さえていたのですが、この行為が結構疲れました(苦笑)
警察が来るまで約10分。10分間力ずくで押さえ続けるのは大変です。
その時、とっさに倉本武学のセミナーで教わった事を思い出しました・・・
セミナーの終盤の質問の時間で、警察官の方が、酔っぱらいを抑えようとした際、振りほどかれてしまった事があったそうです。
その警察官の方は、
「酔っ払うと力が強くなる」
と認識したそうですが、倉本塾長は、
「アルコールにドーピング効果は無い(笑)酔っ払うと余計な力が抜け、力の入れどころが判らなくなる」
というような事を仰いました。そして対処方は、
「相手の行きたい方向に合わせてあげる」
という技術でした。
例えば、相手が引っ張ったのであれば、引っ張られないように対抗するのでなく、それに合わせてあげる。押して来たのであれば、押しあわずに下がってあげる・・・
一言で言えば、
「受け流す」
です。
私の場合は、相手が酔っぱらいではなく、どうらやク○リを打ったらしく(後で警察官から聞いた情報から察するに)、異常な興奮状態で、力が入りまくっている状態でした。
私の方が力があるので、力ずくでも押さえられなくもないと感じましたが、長時間は難しい。
そこで、セミナーで聞いた技術を思い出し、相手の手首を持ったまま、ひたすら受け流しました。
周りにいた店員さんにも殴りかかろうとしたので、受け流して軌道を変えました。
その間、罵声を浴びせ続けられましたが、無視(笑)
というのも、この技術はテンションが上がってしまうと無理だと思います。
相手の力を感じ取り、受け流すなんて芸当は、冷静でないとできません。
「なんだお前は!やるのかよ!殴ってみろよ!」
なんて言葉に対し、
「何だと!!」
なんて怒ってしまっては、相手の力を感じ取れません。
あとはひらすら狂乱した男とダンスを踊るがごとく(笑)、警察が来るのを待ちました。
ただ、少々警察が来るのが遅かったのです。
後で聞いた話ですと、警察に連絡をしたのは妻や他のお客さん。店側は電話していなったそうです。
事件が起きて即、電話していればもっと早く来てくれていたでしょう。
あまり店内で罵声が続くと、他のお客さんの迷惑となるので、店の外に出ることになりました。
そこから先は、私の反省点ばかりなのですが…
店から出る際、不覚にも男の手を離してしまいました。
離した直後、いきなり殴って来ました。
軽く顔に被弾してしまいました。
幸い、全くダメージがありませんでいた。手を振り上げただけの手打ちのパンチだったので、逆に読み辛かったのですが、これがポケットにナイフでも隠し持っていて、突かれたら危なかったでしょう。
再度、相手の手首を押さえこみましたが、ここで少し欲?が出てしまい、
「殴ってきたんだから崩して地面に押さえつけるぐらいはアリだよな・・・」
なんて思い、小手返しを試みました・・・
結果、瞬時には掛からず、歩法を駆使することになりました。
その間、相手は逆上。
それでももう少しで技が掛かりそうと言う時に警察官が割って入りました。
私は、
「まずいタイミングを見られてしまった…」
と焦りました。
幸いにも、周りの人が事情を説明し、120%相手が悪いと、解ってくれました。
男は、
「こいつ、力入れやがった!!」
等と喚き散らしていました。私は、
「ほんとだよ…力に頼っちゃ駄目だよな…」
と反省(笑)。おそらく余計な力が入ってしまった要因は、欲を出して技を掛けようとしてしまった事です。
この後、男は警察に連行されましたが、私や店長さん、最初に殴られそうだった初老の方3人も事情聴取の為、警察署に行くことになりました。(無論、男とは別のパトカーで)
拘束時間約1時間(苦笑)
この事件では、反省点も何点かありましたが、最終的に誰も怪我をせずに、私自身も、厄介なことにならずに済んだので、結果は良しとしたいと思います。
そしてプロテクトの技術は素晴らしいと、改めて思いました。
普通、相手を抑えようとする場合、力任せになります。
逆に力を抜いて相手に合わせるなどという発想は思い浮かびません。
このような技術を知らなければ、力による技術に頼り、結果、凄惨な状態になったかもしれません。
また、この技術は女性でも使えると思います。
もしもの時に備え、是非多くの人がプロテクトの技術を覚えて欲しいと思いました。
知っていると、知っていないとでは雲泥の差があります。