相手有利の苦しい形勢の中盤から、食らいついて逆転勝ちで最多29連勝を達成した藤井聡太四段!
時間も遅いので、大きく形勢が動いた局面と重要な局面の掲載のみ。
あとで(朝以降)、説明を追記します。
※翌朝: だいぶん、全体的に修正しました。
※2 形勢判断の数値は、エルモの数値です。 マシンのスペックや設定、
候補手の数、読みの時間などにより、数値や候補手が違ってきます。
±300以内が互角、300を越えると有利、1000くらいを越えると優勢
の感じです。
※3 6/28 エルモの評価値や読み筋を少し追記しました。
この手が、藤井聡太四段の疑問手で、このあと角交換に持ち込まれて
先手不利な形勢に持って行かれます。
・ここで40位(最善手の▲7九玉or▲3六飛時)→▲3五銀で-180~
-260位へと形勢をそこねた
・ここで40位(最善手の▲7九玉時)→▲3五銀で-260~ -180位へと
形勢をそこねた
36手目: ▽8五飛の時点で、 -370位
40手目: ▽2七角の時点で、 -240位
この局面で、次に▽2六歩 と指していれば、-340位と後手有利を保ててた。
しかし、▽3九角成としたため、互角(-1~ -120)に戻った。
この時点で、-120位と互角の範囲だけど後手やや有利だった。
8筋の桂を跳ね、角を打って、藤井四段の食いつきが始まります。
でも、この時点で、-350位と後手有利だった。 最善手は▽5九金~▽3九飛
だったのだが、それ以外は互角(1)になるとのソフトの評価だった。
後手に緩手があったので、藤井四段が攻めの手がかりを得て、互角(1)の形勢
に戻します。
57手目: ▲同銀成が疑問手で、互角(-1)から後手有利(-500)へと大きく形勢を
そこねます。
・エルモの読みでは、ここで▲3七桂が最善手。 その他の手では、後手
有利との形勢判断だった。
しかし、この手が疑問手で、形勢が互角(80位)に戻ってしまいます。
ノータイムで指したけど、これで受かっていると思ったのだろう。
これに対して指された63手目:▲5三桂 が見たことのない形で、これに対する
応手を後手が間違えます! ・・・▲5三桂でも、まだ-80位の評価だった。
・この手に代えて、▽3九飛 で-500の評価、 ▽2四銀打なら-210位の
エルモ評価だった。
64手目:▽4三金上 ??
この手が敗着で、640位と大きく先手有利に傾きました!
・この手に代えて、▽4二玉なら-80位、▽3八飛なら20位だった。
72手目:▽6八歩 に対しても、藤井四段は14分使ってしっかり読んで、
ソフト推奨の最善手と同じ▲同金 を選択します。 この時点で、1800位の
先手優勢です。
この直前時点で、2200位の先手優勢だけど、藤井四段はソフトの最善手と同じ
▲6一銀を選択します。 (→2400位)
このように、序盤に疑問手を指して不利な中盤になったけど、(中盤でも1個疑問手)
局面を複雑化して見たこと無いような局面(?)に持ち込んで、
相手に緩手と疑問手2個が出て結果的に有利な形勢に持ち込めました!
攻めの手がかりがあって、有利な形勢であれば、藤井四段はまず間違えません!
藤井四段も疑問手を指すけど、その数が圧倒的に少なく、それ以外の手が最善手に
近いのと、不利な形勢でも局面を勝負できる形に持って行くところが、強いのです。
もちろん、相手が疑問手を3つ指さなければ、今回の対局では負けてました。
その意味で、「非常に幸運だった」と藤井四段は考えているのだと思います。