福島第一原発の事故を教訓に、原子力安全・保安院が先月末にまとめた30項目の対策とは、福島第一原発で起きた原子炉の核燃料が溶け落ちるメルトダウンや、放射性物質の大量放出を防ぐためのもので、
①外部電源対策
②所内電源設備対策
③冷却注水設備対策
④格納容器破損・水素爆発対策
⑤管理・計装設備対策 (←発生時の「事故対応」という方が分かりやすいだろう)
の5種類の対策が合わせて30項目示されているという。[詳しい内容を確認出来なかった、残念]
しかし、原発の運転再開を判断する「新安全基準」の骨子は、ちっとも安全を保証できないひどいものだ。
<基準1>外部電源を除く4種類の安全対策について「対策がすでに講じられて
いること」
報道では、
具体的にどんな対策が必要かは明らかにされていませんが、国は、
原発事故のあと、国内の原発すべてについて緊急の安全対策を求めて
おり、すでに実施済みの項目が多いとみられます。
とか言っているが、その具体的な対策こそが問題なのだ。
4/5 「原発の新安全基準 おおむね了承」
from NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120405/k10014250411000.html
経済産業省原子力安全・保安院がまとめた30項目を元にした安全対策を2段階で実施するとして、緊急対策の1段階目は13項目からなり、東京電力福島第一原発のような深刻な事故を防ぐ目的の内容なのだが、
②所内電源設備対策; ・電源車の配備 ・建屋の浸水対策
・電源車の多様性と多様性の強化
・電源車等の接続ケーブルの配備
③冷却注水設備対策; ・緊急時の対応計画やマニュアルの策定
・消防車、ポンプ車、消火ホースの配備による代替注水機能の強化
・消防車、ポンプ車、消火ホースの配備による使用済み核燃料プール
への給水
・消防車、ポンプ車、消火ホースの位置的分散
大規模で、複雑な「配管」が破断したり亀裂があかないようにする対策がちっともありません!
それに、もしそれが起きたときには、消防車、ポンプ車で注水するしか手がないのでしょうか?
しかし、そもそも原子炉に近づけませんし、この程度の冷却機能では効果がないことは1年前の注水パフォーマンス及びその後の注水活動(の効果)で既に明らかになってます。
こんなおそまつな・ひどい対策で、冷却・注水対策が実施済み、つまり福島第一原発で起きた事故を回避できる=冷却し続けられる、と思っているのでしょうか?
④格納容器破損・水素爆発対策;
・緊急時対応計画の策定(低圧注水への移行手順)
・空気駆動ベント弁用の窒素ボンベ等の配備
こんな程度でいいの?
⑤管理・計装設備対策; ・電源車による通信機器等への給電
・プラント監視設備への給電
・緊急時対応機器等の点検、訓練の実施
なお、緊急対策以外の項目は、外部からの送電網の多重化や、放射性物質を濾過(ろか)するフィルター付きのベント設備、事故時の通信機能確保などからなるらしい。
こんなので、「外部電源を除く4種類の安全対策が実施済み」とはとうてい言えない!
緊急の安全対策には違いないが、それが安全を保証し、かつ事故対応として重大化を防ぐようにはとうてい思えないからだ!
<基準2>「福島第一原発を襲ったような地震・津波が来襲しても、燃料損傷に
至らないことを国が確認していること」
これもひどいよー! 「政府が運転再開の判断の前提にするとしていたストレステストの1次評価の結果を国として確認していること」があれば、基準2を満たしている、と政府が言っているのです!
ひどい「すりかえ」でしょー?!
それに、「ストレステストの1次評価」なんて、いいかげんで信頼性はゼロだと思っている。
<基準3>ストレステストの1次評価で一層の取り組みを求められた事項や、
30項目の対策のうち時間がかかる対策について、電力会社の今後の
実施計画が示されていること
つまり、時間がかかる対策については、その計画がありさえすれば、たとえ整備されるのが数年後であったとしても、すぐ再稼働してもいいよ、というものだ!
ひどい、ひどすぎるー!
この他にも、事故が発生した場合に放射性物質の放出を防ぐための対策を確認する、「ストレステストの2次評価」については、再稼働の条件には全く盛り込まれていません!
※「ストレステストの2次評価」って、放射性物質の放出を防ぐための
対策の評価だったんだー。初めて知りました。
簡単にいってしまうと、
・電源車の配備
・消防車、ポンプ車の配備
というとりあえずの対策(これで安全対策だというのは、大きなウソだ!)をしたら、
再稼働させてもいいよ、という内容だ。
ひどい、ひどすぎるー!
参考:
緊急安全対策の内容は、次の記事:
4/6 「大飯再稼動へ13条件…8日にも福井県に要請」
from PAN さん
http://panpoke.at.webry.info/201204/article_6.html
から入手した。