サーブ・インパクト時の、回内と内旋の関係
野球の投球動作の場合は分かったが、テニスのサーブの場合には
どうなっているのか?ということで、ちょっと手持ちの資料で
調べてみた。
1.去年のアインシュタインの眼での、鈴木貴男のサーブ
なるほど、上腕が内旋しているように見える。
・半袖だったので、肘まわりの状態と服の様子で推定。
筋電図からすると、インパクト直前~以降にかけて「肩」に
力が入っていなかった。上腕二頭筋後部を測定したためか?
前腕の回内の様子は、よく分からなかったが、
インパクト後のフォロースルーで、ラケット面が水平で
落ちていくケースと、回転が進んで斜めになって落ちていく
ケースが写っていたので、前腕の回内は進んだり、無かったり
するのではないか? つまり、パワーへの寄与とはあまり関係が
ないように思った。
2.新テニスの科学 File No.16(1998.9月のTJ誌)のデータ
「サーブのウソ・ホント のうそ・ほんと」p.52~56をさらに読み解いた。
3つのグラフから、内旋速度、回内速度、ラケット速度の関係について
ラケット速度が35m/s以上(=時速126キロ以上)の8人について
読みとった。
注:プロを含む一般プレーヤー(たぶん)29人のデータが母集団。
時速205キロを打つ鈴木貴男で、ラケット速度は時速140キロ位。
内旋速度[rad./秒] 回内速度[rad./秒] ラケット速度[m/秒]
52 | -11 | 42
34 | 0 | 39
27 | 0~2 | 39
12 | 30 | 38
4 | 28 | 38
20 | 24 | 37
53 | -10 | 36
17 |17~20 | 35
記事では、内旋速度とラケット速度には相関関係があるが、回内速度と
ラケット速度には相関関係が無いと結論づけているが、KNはそうではないと思う。
内旋速度が速くなる打ち方と、回内速度が速くなる打ち方があるのではないか?
どちらが、より速度を上げていけるかというと、KNは回内速度を遅くする打ち方
の方が有利ではないかと思っている。(肘の保護のためにも)
この記事では、内旋速度と回内速度には逆相関関係があることを指摘している。
それは、内旋速度が速ければ、回内速度は遅く、内旋速度が遅ければ、回内速度は速い
ということ。上表のラケット速度が速い上位8人のデータを見ても、そうなっている。
また、この記事ではインパクト時の肘の角度を測定してくれているので、それが
参考になる。
ラケット速度[m/秒] 内旋速度[rad./秒] 肘の角度[度]
☆ 42 | 52 | 165.5
★ 29 | 56 | 173.5
内旋速度が同じ位の人を比べたものだが、ラケット速度が5割も速くなっている!
★さんは、肘が伸びすぎなのだ。
☆さんは、おそらくプロの方だと思うが、165度。見た目には、ほとんどまっすぐ
やや曲がった に見えるこの角度を目標にしよう。
追加。
「やや曲がった」に訂正しました。
sin14.5度を調べてみると、値は0.2504。
前腕の長さ(仮に、肘の中心から手のひらの中心まで)を30cmとすると、
肘をまっすぐに伸ばした状態から7.5cmこぶしを持ち上げた位置になる。
これは、「やや曲がった」から「もう少し伸びていこうとする」微妙な状態だ。
確かに、この肢位なら力が入りそうな感じがする。
追加2。
野球の投球動作では、167.2度くらいというデータもあった。
sin12.8度=0.2221なので、こちらは6.6cmくらいだ。