読書日記 165 
「投資で一番大切な20の教え」03 ハワード・マークス ランダム・ウォーク仮説
 The Most Important thing  貫井(きぬい)佳子 訳
 賢い投資家になるための隠れた常識 
 Uncommon Sense for the Thoughtful Investor

25 up 2024 01 16 (Tue)
 
株式投資の際の二つのアプローチ
① 「ファンダメンタル分析」:企業のファンダメンタル(事業内容や業績などの基本的要因)に基づくアプローチ 
② 「テクニカル分析」:株式の値動きの研究に基づくアプローチ 
 
ランダム・ウォーク仮説
41 テクニカル分析は衰退しつつある。その一因は「ランダム・ウォーク仮説」にある。
 「ランダム・ウォーク仮説」は、一九六〇前半にシカゴ学派の理論の一つで、ユージン・ファーマー教授の主導で編み出された。
 同仮説は、過去の株価変動が将来の株価予想には全く役に立たない、と説く。別の言い方をすれば、 株価はコイントスとおなじようにランダムに動く。10回連続で表が出たとしても、次のトスで表がでる確率はあくまで50%だ。
 これと同様に、ある株式の株価が過去10日連続して上昇しても、明日どう動くかはわからないとランダム・ウォーク仮説は説く。
 
モメンタム投資
42 モメンタム投資は、過去の株価動向を判断して投資を行う。その点で、ランダム・ウォーク仮説とは相容れない存在である。
 モメンタム投資を用いている投資家は、値上がりしている銘柄の株価はさらに上昇するという前提のもとに投資を行う。
 モメンタム投資は株価上昇が続く強気相場では有効かもしれないが、問題点も多い。「永続できないものはいずれ終わる」下げ相場では どうすればいいのか!?
 モメンタム投資が知性に訴える投資でないのは明らかだ。ディトレーダーの大半はプロの投資家ではない。
 
「バリュー投資」と「グロース投資」
 バリュー投資とグロース投資は、ともにファンダメンタルを重視する手法である。
 ハリュ-投資: 現在の、証券の本質的価値を推計し、価格がこれを下回ったときに買う。
 グロース投資: 将来の、価格が急増する証券を見つけ出そうとする。
 
 証券、あるいはそれを発行している企業の価値を決めるものはなにか。いろいろある。
 金融資産、経営力、工場、小売店舗、特許、人的資産、ブランド力、潜在成長力、利益とキャッシュフローを生み出す力
 バリュー投資とグロース投資の明確な線引きをすることはできない。程度の問題である。
 
◇◇◇
 C(コメント):ここで著者(ハワード・マークス)は、テクニカル分析は衰退しつつあるアプローチであるとし、 またモメンタム投資とディトレーダーを切り捨てている。 
 株価は長期的には、その企業のフンダメンタルで決まる。とはいっても、その企業の本質的価値など、わたしに計算できない。
 簡易な方法は、証券会社のストラテジストなどプロが予想する市場のコンセンサスを仮の値とすることである。
 
 ハワード・マークスは「モメンタム」にも懐疑的な意見を持っている。だが、短期の売買には、テクニカル分析も有効である。
 
 手元にある「チャート分析の真実」吉見俊彦 より「モメンタム」と 「RSI(相対力指数)、レラティブ・ストレングス・インデックス」の定義を引用する。
 
 n 日のモメンタム指数: ((直近の株価 ― n 日前の株価)/ 直近の株価) * 100
 n 週のモメンタム指数: ((直近の株価 ― n 週前の株価)/ 直近の株価) * 100
 
 n 日のRSI: n 日間の上昇幅の合計 * 100 / (n 日間の下落幅の合計 + n 日間の上昇幅の合計)
 
 n を5日、10日 20日、5週、10週 20週 などいろいろの値を使う。
 
 RSIが70%~80%を超えると買われ過ぎ、反対に20%~30%を割り込むと売られ過ぎと判断される
 
 わたしの自作ソフトでは、モメンタムよりも RSI を使っている。
 n は5日、10日 20日、5週、10週 20週 の値をパラメータとして外部から変更できる。