読書日記 164 
「投資で一番大切な20の教え」02 ハワード・マークス 効率的市場仮説
 The Most Important thing  貫井(きぬい)佳子 訳
 賢い投資家になるための隠れた常識 
 Uncommon Sense for the Thoughtful Investor

25 up 2024 01 15 (Mon)
 
【シカゴ大学経営大学大学院で生まれた主要な、シカゴ学派の仮説、理論】 
 効率的市場仮説、リク回避、ボラティリティ(価格変動の度合い)、リスク調整後のリターン、 システマティック・リスク、アルファ(市場に勝てる投資スキル)、ベータ(株式市場が1%変化したときに、任意の株式のリターンが何%変化するかを表す係数)、 ランダムウォーク仮説
 
26 効率的市場仮説の要旨
① 市場には多くの参加者がおり、あらゆる情報を同程度入手することができる。参加者は知的で、客観的な目を持ち、意欲的で 努力を惜しまない。
② 情報は完全かつ即座に市場価値に反映される。市場参加者は直ちに安すぎる資産を買い、 高すぎる資産を売ることで、資産の価格は絶対的にも相対的にも公正な水準になる。
③ したがって、市場価格は資産の本質的価値の正確な推計値なので、不公正な価値を認識したり、 市場から 利益を上げることはできない。 
④ このため資産は、他の資産ちの相対的比較で「公正な」リスク調整後のリターンが期待できる価格で売られる。リスクの高い 資産は、買い手を引き付けるために他の資産より高いリターンを提供しなければならない。市場は妥当と思われる価格を形成し、 タダ飯をふるまうことはない。 
 
[効率的]:ここでいう「効率的」とは、「動きが迅速で、即座に情報を織り込む」という意味。「正しい」という意味 ではない。 
C:コメント:資産の価格には、その情報の重要性についてのコンセンサスに見方が即座に反映される。しかし、そのコンセンサスの見方が 常に「正しい」といういうことではない。主要な証券会社は、それそれ利益や株価の予想を発表しているが、 たとえば、野村証券と三菱UFJ証券の見方は、しばしは、それぞれは異なる。
 
30 効率的市場に、アルファは存在しない
 理論上、効率的市場に、市場に勝てる投資スキル(アルファ)は存在しない
 
33 市場はしばしは、非効率的である。
 「市場はしばしは、非効率的である」ということは、「市場では間違いが起こる。そこから利益が生じうる」と いうことである。
 
 市場の過ちはどうして起きるのだろうか。
 効率的市場仮説の根底には、次の前提をおく。
 
① 研究熱心な投資家が数多く存在する。 
② これらの投資家は知的でかつ熱心で、客観的目を持ち、意欲的で十分なスキルを持ち合わせている。 
③ みな利用可能な情報をほぼ同時に入手することができる。 
④ みな自由にあらゆる資産を買ったり、売ったり、空売りしたりすることができる。 
 
 ところが人間は玲敏な計算機ではない。ほとんど人は、強欲、恐怖、嫉妬などの感情に突き動かされて、客観性を 失い、重大な過ちを起こす傾向がある。
 また、すべての投資家が、自由にあらゆる資産を買ったり、売ったり、空売りしたりすることはできるわけではない。
 
36 完全に効率的な、あるいは完全に非効率的な市場は存在しない。要は程度の問題である。
 そして、現在の市場が効率的だからといって、それが永遠に続くわけではない。
 
◇◇◇
 わたし(このブログの書き手)は、市場はかなり効率的だと思う。しかし、常に「正確」とは限らない。「市場はしばしば間違う」。
 また人間は、常に冷静で客観的であるとはかぎらない。しばしば、強欲、恐怖、嫉妬などの感情に突き動かされる、
 そこに、利益を得るチャンスがある。
 だが、このことで、わたしやあなた(このブログの読者)が、市場平均に勝てることを保証しない。じじつ、年間をとおして日経平均に勝ったことはない。 でも、いいんだ。大きく負けさえしなければ。
 
つづく