08 「いま、この瞬間」を楽しむ。  2017 09 15 (Fri)

 
 このアロンゾー(ナポリ王)たちは、アロンゾーの娘クラリベルの、チュニスでの結婚式の帰りに「あらし」に遭った ことが、一行の会話の中で明らかにされる。
 セバスチャン(アロンゾーの弟)は、ファーディアンド(ナポリ王の息子)があらしで溺死し、アロンゾーの娘がナポリ とは遠いアフリカで結婚したとなると、次期ナポリ王位をねらう? アントニーオ(プロスペロの弟)がミラノ公国を狙ったように? 
 
◇◇◇ 
 このあたりを再読していてふとおもう。
 「あらし」はこれまで何回も読んだし、「テープ」も聴いたはずだがこのあたりの記憶が消えている。
 
 でも、まあ、いい。記憶は消えていくものだ。記憶を増やすために読んでいるのではないのだ。
 と、自分で自分を慰める。
 読んでいる瞬間、「いま、ここ」を楽しめばいいのだ。
 
 こころの片隅では、「量から質への転換」という言葉がある。そのうち、もっとすらすら読めるかもしれない。
 「語彙・成句」辞書が増えるかもしれない。などと、思ったりする。
 
 でも、まあ、まてよ。いまさら、すらすら読めるようにならなくてもいい。辞書を片手に、 シェークスピアがこれを楽しみながら書いたんだろうなあ、当時の観客がこれらの台詞に笑い転げたのだろうなあ、 などと思いながら、さらに、松岡さんの翻訳がなんと素晴らしなどとおもいながら、ぼちぼち読めばいい、 「いま、この瞬間」を楽しめばいい、と思う。
 
 結果としてすらすら読める、「語彙・成句」辞書が増えるのはいい。でもそれに大きな期待はしないでいい。
 「いま、この瞬間」を楽しめばいい。