若竹七海 『サンタクロースのせいにしよう』 | Pの食卓

若竹七海 『サンタクロースのせいにしよう』

シャーロッキアンがドイルの 《ホームズシリーズ》 を聖典と呼ぶならば、

僕は若竹さんの作品を聖典と呼びナナミズムを信奉したいと思う。


今まで読んできた若竹七海さんの作品、そのどれもが好きなものでした。

『依頼人は死んだ』 『スクランブル』 この二冊がとくにお気に入りなのですが、

そこに 『サンタクロースのせいにしよう』 も加わりました。


今日読み終えたのは、若竹七海さんの 『サンタクロースのせいにしよう』 です。

本当におもしろかった!


若竹 七海
サンタクロースのせいにしよう

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一戸建てを二人でシェア、料理さえ作れば家賃はタダ。そんなおいしい話を見逃す手はない―。というわけで、気はいいけれど変わり者のお嬢様・銀子さんの家に居候することになった私。しかし、引っ越し早々、幽霊は出るわ、ゴミ捨て場の死体騒動に巻き込まれるわ…なぜかトラブルが続発。郊外の平凡な住宅地を舞台に、愛すべき、ちょっと奇妙な隣人たちが起こす事件を描くミステリ短編集。

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ハムレットと同じ問題がこの本では扱われている。そう思いました。

お師匠にあたる先生が生きていたならば、

初めて薦めることができた本になっていたかもしれません。

それだけ人間関係の本質に迫った本に感じました。


読んでいるうちに何度と無く冷や汗が流れ落ちました。

ミステリ部分はあくまで 《日常の謎》、銀子さんという同居人との気の抜けるような会話、

そういった楽しさの端々にグサリと突き刺さるナイフのような言葉があります。


そういった言葉を目にするたびに、僕は、

生きていく自信を無くし、

なんだか今まで間違って生きてきたと感じるわけです。

確かに間違って生きてきました。


『死んでもなおらない』 という作品が言うとおり、

たとい僕が死ぬようなことがあっても、やっぱりこの性格は治らないわけであって、

なんだかなあ、と思ってしまうわけです。

生きていくことを考えさせる推理小説作家さんって他に居ないんじゃないでしょうか?


若竹さんの推理小説はそういったことを考えさせてくれます。

だから、心の底からオススメしたいと自信を持って言えます。


つらつらと自分の感じたことを書いてしまいましたが、とにかくおもしろかったのです。

作品についてのよりアツい感想は、カラクリリリカルの記事をお読みくださいませ。