ドストエーフスキィ 『罪と罰』
ドストエーフスキィと聞き興味をもたれるかたは数多いかと思います。
その中で最も知名度の高い 『罪と罰』 について紹介します。
- ドストエフスキー, 江川 卓
- 罪と罰〈中〉
本来、お勧めしたいのは米川正夫訳の方なのですが、
どうやら絶版ということで、残念な限りです。
あの濃厚な人間味溢れる名訳を失うことは多大な損失です。
『罪と罰』 には様々な仕掛けがあります。
ロシア文学専攻ではないので、あまり知ったかぶりはできませんが、
少し仕掛けを解いてみたいと思います。
一番目につく構成について。
『罪と罰』 は六編+エピローグという構成になっている。
なぜ素直に七編としなかったのか。
キリスト教において七という数字は完全数であり、
それより一少ない六は不完全な数字とされる。
わざわざ6+1という構成で小説を作った意図はなんだったのか、
読者には作者の意図を追跡する自由が与えられているのです。
他にもロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフの名前の秘密や、
そこに込められた反キリスト者のイメージ。
とにかくそのような仕掛けを解くだけでも面白い。
ストーリーや描写等は本業の方におまかせして、
素人の楽しみ程度の紹介をしてみました。
しかし、最も重要なテーマは、人の命の価値にあるかと思います。
長いということで敬遠していらっしゃる方はまず買って読んでみてください。