藤川が仙台に戻ったのは夜8時過ぎだった。

ビルが休館日なので店には行かなかった。

外食をしてから家に戻った。

その日は合宿はやらないことにしていたので久々に一人でくつろげた(^^)


(また明日からいろいろあるんだろうなぁ)

と思うと、元気を出して頑張るしかないと自分に鞭打った。

そして合宿について日数・内容・人選などを考えた。


営業本部長の前で少し大袈裟に話した手前、また続けて成果を出したい強い想いもあった。

しかし、藤川は自分自身の売上より販売員の販売力を更に伸ばしてあげたいと思った。

仙台店の販売員は新規開店の時に入社した人間が多かったので、育て方次第ではまだまだ成長すると手ごたえを感じていたからだ。


販売経験があったのは、他店から転勤で来たあのイジメの首謀者!だけだった。

三日間の合宿に参加した三人は真剣に臨んでくれて販売技術の向上が見えて来た。


横須賀店で働いていた頃、新人の立場であるにもかかわらず、先輩達に販売テクニックなどを教えた経験があった。

またその後も多くの人材を育てた経験実績もあり、教えることに自信はあった。

一番弟子だった人間は全店セールスコンクールで優勝したほどだった。

また仙台店からも一流のセールスマンを輩出したい強い想いがあった。


-翌日-

藤川はリフレッシュして出勤した。

もちろん朝一番でしたが、ちょっと経ってから合宿組三人が出勤して来た。

藤川は、

『こんなに朝早くどうしたの?』

と聞くと、高橋さんが

「昨日、合宿があったら聞きたい事があったので今朝早く来ました(^^)」

と答えて来ました。


藤川は

(嬉しいこと言ってくれるね)

と心の中で思った。

また、

「最近は毎日一日中いつも一緒だったのに、昨日は藤川店長と会えなかったので寂しかったんです」

と、お世辞も言ってくれました。


そこで簡単な合宿の続きのような事を少し行った。

そしてちょうど合宿組の三人だけだったので今日の合宿の事などを話した。

藤川は、

『合宿をやってみて五日間はやはり少し長いので今後は三日間にしよう』

と、提案した。

みんなも、

「店長が大変だと思いますので」

と、言ってくれて納得してくれた。

しかし藤川は自分が大変で提案したのではなく、みんなの事を考えてのことだった。


それから三日間の合宿を3回行いました。

そしてかなりの成果が出て仙台店の売上の好調さは全店でも話題になった。


しかしその裏で藤川が懸念していたことが的中したのだ。

ある日、仲の良い先輩店長から電話があった。

いきなり強い口調で

「お前が本社の営業会議で余計なこと言うから全店の店長達が怒っているぞ!」

言ってきた。


それからまた鬱陶しい電話が多く来たのだ。