35.涙の別れ

本社から帰った日、店長就任の辞令の話をかいつまんで話した。

家族みんな大喜び(^^)

「さすが働き者」

と兄は言っていた。

姉は、

「出世コースに乗ったね」

とかいろいろ喜びながら言ってくれました。

改めて家族に今までのお礼と挨拶をした。

結婚でまるで家を出て行くような状況だった。


そしてまだ21才、藤川も少し感傷的になってしまった。

母も少し寂しがっていたが、みんなの話を聞いていた父は何故かニコっとした。

店長として転勤する息子が誇らしく頑張って来いよという感じだった。


また姉兄は

「仙台か!遊びに行くから」

と楽しそうに話してくれた。

しかし、長く一緒に暮らしていた末っ子の弟が居なくなることは寂しかったと、ずーっと後になってから聞いた。


母も最後に

「とにかく初めての一人暮らしだから、身体だけは無理しないでね」

と涙ぐんで話してきた。

『いやいや、行くのは明後日だからまだ家に泊めて下さい』

と言って母の話によって暗いムードっぽくなった雰囲気を変えたかったのだ。

そして、家族と別れの儀式?も明るい雰囲気で終わった。


-翌日-

今度は横須賀店に別れの挨拶と事務処理に行った。

いよいよ三年間働いた店とも本当に別れをする時が来たのです。

藤川もいつになく寂しさを強く感じた。

店では殆どの販売員に販売テクニックやトークなどを教えていたので、みんなも少し感傷的になっていた。


特に藤川の右腕のような存在までに成長した途中入社の大木君は涙を流していた。

それを見て藤川は

『死んじゃう訳でもないんだから、やめてくれよ(^^)』

と、肩を叩いて言葉をかけた。


そしてよくある別れのシーンのようにレジ担当の女性から花束とお祝いのプレゼントをもらった。

みんなでお金を出し合って買ってくれたそうです。

藤川はみんなにお礼の言葉を言って、

『みんなも今後更に頑張ってください』

と話した。

すべてが終わり店を後にした。


やはりバイトの時の別れと違って社会での別れはぐっとくるものがあった。

と同時に店長職へのプレッシャーがだんだん強くなっていた。

(明日から仙台かぁ)

と思うと・・・