藤川は入社して少し経った頃、前店長から売上げの悪さを強く指摘され初めて壁にぶつかった。


前店長から

「店で売上げ一番になれなど言わないし、そんな事は無理だからせめて普通に売上げを上げてくれ」

と言われたのでした。


それを言われた藤川は、

《店でなく全店で一位になってみせる》

と、あり得ない目標を掲げたのだ。

内心ではそのような大きな目標を立てれば、話半分でも店で一位にはなれるだろうと考えていたのだ。


藤川は前店長に叱責された後、先輩達に悔しさのあまり

『三年以内に売上げ全店一位になってみせます』

と話していた。

それを聞いた先輩達に

「全店で一位なんてバカか」

と言われてしまった。


その時は人には見せなかったが、かなり落ち込んでいた。

(自分にこの仕事は合わないのかなぁ)

と思ったりもした。

更に求人の本を見たりもしたほどだった。


しかし、

(逃げたらダメだ!)

(極貧の家に生まれた自分、仕事があるだけ有り難い事だ!)

と、気持ちを入れ替えて頑張った。


そして、半年後の年末商戦で宣言通り全店一位になった。

先輩達は心から喜んでくれ大変な驚きだった。


年明けは、みんな年末商戦で休めなかったので、ローテーションを決めてちょっとした冬休みをとっていた。

掲げた目標を達成した藤川は販売員としての技術を更に磨きながら、店長になる為にもマネージメントの勉強を真剣に始めた。


そして次の目標は社長・ 営業本部長に次ぐナンバー3の職位の本店店長になりたいと思っていた。

またそれを聞いた先輩達は、

「さすがに藤川でもそれだけは絶対に無理だ」

と言われ嘲笑されてしまった。

藤川自身もそれには納得した。

それよりまずは普通の店の店長を目指す事だった。


当時、本店店長になる事は、全国に200人近くいた全店長の憧れでもありみんなが目標にしていた。

しかし、そのためには十年以上の経験が必要だった。


負けず嫌いな藤川は不可能や無理と言われると心から燃えてしまう性格だった。

(よし!30才までに本店店長になってみせる)

と決意したのだ。

19才になる直前の冬一人熱く燃えていた!


そんな時、また藤川にとって衝撃的な出来事が起きたのです。