Mr.Autumn
1日に何度も 「 オナカスイタ~ 」 を溢してしまったり
チェック柄のブランケットを用意してくれているCafeの隅の席に腰掛けて
分厚い本のページをめくりたいような気持ちになったり。
どうやら Autumn氏 はもう私のすぐ傍までお越しになっているようです。
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「 やれやれ Mr.Sum には随分気を揉ませられたよ 」
両手を後ろに組み ふいに私の隣に姿を現した彼は
少し余裕有り気に背筋をまっすぐ伸ばしたままこちらのほうをチラと見て
片目で小さくウインクをしながら
「 今の間少しだけキミに歩幅を合わせてあげよう 」
そう言って、それでもやっぱり私よりも幾分早足で少し前方を颯爽と歩いています。
艶々しい立派な杖を時折軽やかに振り上げては 歩道の並木に黄や赤の色をのせたり
ベンチで休む老婆の背中に大判のカシミヤストールをふわりと掛けて。
「 いいかい、私にとっちゃこんなのは実に容易い作業だ 」
「 そんなことより難しいのは アレ なんだよ・・ 」
そう言いながら Autumn氏 はその杖で頭上の高いところを指しながら ほんの少し渋い表情を見せました。
そうして目を細めて ひと呼吸置いてから 小指をピンと立て
カタツムリほどの小さな渦を描くようにくるくると杖を回し始めたかと思うと
さっきまで水彩のように薄く広がっていた雲がだんだんと小さな固まりををつくっては
順序良く列を為していきました。
その姿はともすると巨大な魚の鱗のようにも見えました。
予定以上にいい形になった、というようなニュアンスで彼は右側の口角を一瞬緩ませたのを
私はまるで気付かなかった振りをして空の魚に見惚れているうちに
彼は胸ポケットからシルクのハンカチを取り出して、杖の先のほうを慣れた手つきでキュキュと拭きながら
「 このシゴトはまだ後継者が現れなくてね 手を焼いてる 」
と言いました。
空の方から彼へと視線を移そうとしたそのとき、突風がビルの間からこちらの歩道へと流れ込んできて
私たちの上に色とりどりの葉のシャワーを降らせてゆきました。
地面に重なる色、色。
「 あぁ・・ ほら、上をみてごらんなさい 」
私がもう一度空を見上げると さっきまで泳いでいた巨大な魚はもうその姿を残しておらず
気まぐれに筆で撫でたような雲がところどころにぼやけた線を漂わせていました。
「 もうこのシゴトは永いがね、空と女性の移り気だけはどうにも私の手に余る 」
Autumn氏 は小さく肩をすくめて少し困ったような素振りをしてみせました。
オンナゴコロトナンチャラ?
「 さぁ急がなくては Mrs.Win はとてもせっかちな婦人でね、私にはいつだってそう時間がない 」
そしてもう一言 「 どうぞ 今 を楽しんで 」 を追加した彼は
私の方に杖を向け、シュッと一振りしたあと気品高いお辞儀とともに去って行きました。
Little press
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紅茶専門のCafeを営んでいる彼女の胸の奥深くに眠る悲しみは
あまりにも突然に訪れたお父様の死でした。
家族の想い出 と 料理 。 たった100冊だけの little press が出来ましたとご連絡を頂いたので
潮風の届く高台の 古びた集会場が真っ白にリノベーションされたそのCafeへと出かけて参りました。
そして、ひとまず裸足にね。
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ちょっと出遅れたせいで スリランカカレー と 満月のチーズケーキ はもう品切れでした。
裸足のよく似合うAと2人でアイスティーをゴクゴク飲んで、足をぶらぶらさせながら風に吹かれて。
走り回るおチビさんたちにきゅんきゅん癒されて。
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そんな料理をつくれる人になれたらすてき。
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かもめ食堂 もそう。 食堂かたつむり もそう。
誰かの想いによってつくられた料理はいつも 誰かの心をそっと持ち上げる。
ただ生きるのに理由は要らないからね って
頭を撫でてもらっているような感覚がきっと、いくつになっても嬉しかったりね。
そんな料理をつくれる人になれたらすてき。
(黒胡椒がどーの言ってる私は明らかに遥か遠いような・・)
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September12
日曜日ですって。 9月ももう半ばにさしかかろうとしているなんて。
ブランチに明太子パスタをこしらえながら、病院帰りのぐったりワンコを撫でながら
居間とお台所を行ったり来たり、行ったり来たり。
お蔭で少し茹で過ぎたパスタは ノン アルデンテ。
まぁ私1人用なので軽く目をつぶりましょう。
だけど黒胡椒は荒挽きでなくちゃ。 そこはなんとしても守り抜きたい地味なこだわり。












