ゲゲゲの鬼太郎

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

【ストーリー】

廃刊間近となっている雑誌記者の山田は、廃村となった哭倉村(なぐらむら)へやってきた。山田は、同じく村へやってきた鬼太郎、ねこ娘、目玉おやじと遭遇するが、引き返すようにという警告を無視して、鬼太郎たちに取材しようとつきまとう。しかし、鬼太郎たちを見失った山田は、穴の中へ落ちてしまう。

時を遡り昭和31年(1956年)、当時の日本の政財界を牛耳っていた龍賀一族の当主、龍賀時貞が死去する。帝国血液銀行に勤める水木は龍賀一族の経営する製薬会社「龍賀製薬」の担当者であり、時貞の娘婿である社長の龍賀克典とは懇意にしていた。克典に自身の顔を売り出世の足掛かりとすべく、東京から龍賀一族が暮らす哭倉村へと向かう。

哭倉村へ到着した水木は、東京に憧れている龍賀沙代、そして長田時弥に出会う。水木は龍賀家の邸宅へ向かうと、克典や夫人の乙米をはじめ、一族が集まる場へ招かれると、時貞の遺言書が読み上げられる。遺言書によると、克典を次期龍賀家当主にしたいという水木の思惑に反し、引きこもりだった時貞の長男・時麿が当主に指名された。

しかし翌朝、時麿が何者かに惨殺されたという知らせが入った。村長の長田幻治が犯人候補として捕らえたのは、行方不明の妻を探すため村に現れた謎の男(のちの鬼太郎の父)だった。男は時麿殺害の容疑をかけられ、殺されそうになるが、水木の説得により阻止され、龍賀家の指示により水木の監視下に置かれる。男は水木に名を問われても名乗らず、水木は仕方なくゲゲ郎というあだ名をつける。

初めはゲゲ郎を訝しがる水木だったが、彼の奔放な振る舞いに振り回されるうち、ゲゲ郎がかつて地球を支配していた先住民、幽霊族の末裔であると知る。彼の影響で水木はやがて妖怪を見る力に目覚め、村を彷徨う様々な怪異に出くわす。ゲゲ郎の一件以降も龍賀家の者が次々と惨殺される事件は続き、龍賀の人々には不安が広がっていく。

そんな中、水木は哭倉村にやってきたもう一つの理由をゲゲ郎に明かす。実は龍賀製薬は、使用した者に多くの生命力を与えて数日間不眠不休で働き続けることを可能にする血液製剤「Mを密かに開発して特定の顧客にのみ販売していた。Mはその効能により日清戦争以降の日本が行ってきた戦争で勝利に貢献したとも噂されており、これにより龍賀一族は政財界をも牛耳る程の権勢を誇っていた。水木はMの利益を得んとする会社の密命により、そのMの秘密を暴くため哭倉村にやって来たのである。

ゲゲ郎の妻の所在、Mの秘密、龍賀一族惨殺の真相。村に集約される一連の謎に、二人は挑んでいく事となる。

この映画は、先日のLLPWXイベントで NORI選手が3回観る程に良かったといってお勧めしていた作品
毎週水曜日の割り引きデーと云う事もあったが…平日にも関わらず満席だった
感想 ネタバレアリ
*目玉のオヤジの愛の物語
*目玉のオヤジと水木の友情物語
*人間の醜悪さ、卑劣さ
*水木しげる氏の戦争体験
*謎のラストシーン
大きく分けるとこんな感じでした

多分主人公の水木は原作者水木しげる氏自身を反映しているのが分かった
リアルな戦争体験は、生々しくその過酷さや理不尽さが伝わってきた
戦争体験も含めて作中では人間の卑しさや醜さか、これでもかって描かれている
妖怪が化け物なら…人間も妖怪と変わらない むしろ妖怪よりたちが悪いんじゃないかと思ってしまった
目玉のオヤジが生き別れになった妻を探しにこの村にやってくる
水木と出会い、ゲゲ郎と呼ばれる
幽霊族の末裔ゲゲ郎と血液製剤Mの秘密を探る水木が結託し、哭倉村の秘密を暴く…
哭倉村の秘密とは…
あまりにも過酷な真実に この世でこんな最悪な事があるんだろうか?って思った程
ゲゲ郎に最悪の試練が訪れるが、かつて幽霊族を絶滅に追いやった人間が、ゲゲ郎を救ったのも人間の水木だった
ゲゲ郎と水木の間に友情に近いモノが芽生える
それが、鬼太郎誕生に重要なカギとなった
全ての【業】を背負うゲゲ郎だが…我が息子の将来を愁い、この目で見届けたい想いが、現在の目玉オヤジの姿になった
作中では、二つの愛が描かれている
ゲゲ郎と妻との誠の愛
水木と沙代との偽りの愛
沙代の秘密を知って 胸が苦しくなったが…その秘密を知っていた水木は、沙代と共に哭倉村を出る事を決意するが…それは、沙代に対する愛ではなく、同情心や憐れみからだった

哭倉村の秘密、連続殺人の犯人、血液製剤Mの秘密、ゲゲ郎の妻の行方…徐々に秘密が暴かれていくが…
その全てに、人間の卑しき業が引き起こした事で、我々観客の前に現実を突き付けられた感じだった

その絶望の中で…【希望】…光が差し込んだ
瀕死の母が守った【希望】鬼太郎の産声が闇の世界を明るく照らす

鬼太郎の存在がゲゲ郎に力を与え、水木に妻と胎内の鬼太郎を預け、全てに終止符を打つ
水木は、ゲゲ郎の妻と胎児をゲゲ郎に託されたが、…雷に打たれ記憶を失っていて水木の側には誰もいなかった…

回想シーンでは、水木は既に亡くなっていたゲゲ郎の妻を墓場に埋葬する
その墓場から化け物みたいな退治が地中から這い上がって来た
水木は、退治を拾い上げ、その胎児を墓石に叩き付け殺そうとするが…
鬼太郎の無垢な姿に…思わず抱きしめて落雷に打たれてしまう
その様子を既に目玉だけの姿になった目玉のオヤジが見届けていた
落雷にあった水木は…白髪の姿に…まるでゲゲ郎みたいになっていた

と云う解釈を私はしましたが…
目玉のオヤジの魂の一部が水木に乗り移ったんじゃないかなって思った

最後に…目玉のオヤジは、めちゃカッコイイ!!