第1話
すさんだ心の元囚人ジャン・バルジャン、信念の男ジャベール、純真なお針子のファンテーヌ、それぞれの物語が動き出す。1815年、ワーテルローの戦いのあと、戦場で略奪をしていたテナルディエは偶然、ポンメルシー大佐の命を救う。お針子のファンテーヌは、学業のためパリに滞在しているフィーリックスと出会って恋仲になり、明るい未来を夢見る。パンを盗んで投獄されたジャン・バルジャンは刑期を終え、19年ぶりに外の世界へ出る。しかし、元囚人が持つ黄色い旅券を提示しなければならず、行く先々で追い払われてしまう。
第2話
偽名を使い別の人生を送っているジャン・バルジャンと、仕事を求めてやって来たファンテーヌがモントルイユの町で出会う。マドレーヌという偽名を使い、モントルイユの人々の尊敬を集め市長となったジャン・バルジャン。工場も経営し、巨万の富を得ていた。そんな町へ、仕事を求めてパリからファンテーヌがやってくる。運よく仕事を見つけられ、すべては順調に行くかと思われていたが…。時を同じくして、トゥーロンの徒刑場の元看守ジャベールが警部として警察署に着任。市長マドレーヌが、元囚人のジャン・バルジャンではないかと疑いを持つ…。
第3話運命に翻弄されるファンテーヌ。バルジャンは自分と取り違えられた無実の男の運命を左右する立場に。それぞれの結末は…。祖父に育てられた少年マリウスは、ひん死の父ポンメルシーのもとに向かい、最期の言葉を聞く。ファンテーヌは、テナルディエ夫妻から要求される法外な金を、自らの身を売ってまで工面する。しかし、ある雪の日に通りすがりの男にからかわれたファンテーヌは騒ぎを起こし…。逃亡犯ジャン・バルジャンが逮捕されて裁判にかけられるという話を聞いたマドレーヌは、無実の人間を救うために自分の素性を明かすべきか苦悩する。
物語はパリへと舞台を移す。ジャン・バルジャンがパリに潜伏しているとにらんだジャベールは、彼を追い詰める作戦をとる。ジャン・バルジャンは、コゼットを探すためにモンフェルメイユへ。テナルディエの宿でひどい扱いを受けていたコゼットを救い出し、二人はパリへと向かう。パリ警視庁にいるジャベールは、モンフェルメイユで宿の娘がさらわれたという報告を受け、バルジャンが絡んでいるとにらむ。その後、テナルディエを聴取し、バルジャンはパリに逃げたと推測したジャベールは町中に人相書きを張り出す。
月日は流れ、革命への機運が高まるパリで若者たちが出会い、そして運命が交錯する。マリウスは、祖父から裏切り者だと教えられていた父ポンメルシーの真実を知り、家を飛び出す。そして、友人に連れられて行ったカフェで、革命を目指す青年たちと交流する。何年も修道院の中だけで生活してきたコゼットは外の世界に憧れる。ジャン・バルジャンはそんなコゼットの願いを聞き入れ、危険を承知で外での暮らしを始める。やがてコゼットに運命の出会いが…。
パリに響く運命の銃声…貧困街の片隅でジャン・バルジャンは命の危機に、大勢が集まる広場で若者たちは革命へと向かう。ジャン・バルジャンはテナルディエと対峙(たいじ)するため、彼の住むゴルボー屋敷へ単身乗り込むが、テナルディエと仲間の男たちに取り囲まれてしまう。事態を隣の部屋から見ていたマリウスは、合図のためジャベールから渡された銃を発砲する。その後公園に出かけたマリウスは、エポニーヌからコゼットの住む家の住所を教えてもらい、すぐに彼女のもとへ向かう。街ではついに市民と軍が衝突、闘いへのカウントダウンが始まる。
パリ市街での暴動が激しさを増す。バリケードを挟んで軍と市民がにらみ合い、避けられぬ衝突に人々の生死が分かれる…。パリでは市民が蜂起し、各地でバリケードが築かれる。騒動にジャン・バルジャンが現れると確信したジャベールは市民に紛れ込もうとするが、警官であることを見破られ拘束される。コゼットとすれ違いになったマリウスは恋に破れたと思い、死に場所を求めてバリケードへと向かう。そのことを知ったジャン・バルジャンもまた、バリケードへ。しかし、到着したバルジャンを待っていたのは、宿敵との再会だった…。
第8話
物語は感動のフィナーレへ。波乱万丈の人生を経て、ジャン・バルジャンがたどり着いた場所とは?ジャン・バルジャンは、バリケードから救い出したひん死のマリウスを川岸へと運ぶ。だがそこで、ジャベールに捕まってしまう。バルジャンの頼みを聞いたジャベールは、マリウスを送り届け、さらに自宅に立ち寄ることを許す。バルジャンが外に出ると、待っているはずのジャベールの姿はもうなかった。意識を取り戻したマリウスは、めでたくコゼットと結婚する。幸せいっぱいのコゼットだったが…。
【感想】 ネタバレ
元囚人ジャン・バルジャンが司教に出会い優しさに触れ罪の意識に目覚め人生が大きく変わる。司教から盗んだ燭台を最後まで売らずに持っていたジャン・バルジャン。彼を何十年も追い続けたジャベールの信念すら打ち砕き、贖罪の念を常に持ちながらファンテーヌの子供のコゼットを立派に育て上げた。常に罪と向き合い続けたジャン・バルジャンの最後に感動した。それとは逆に娘を育てるため、自らの身を全て売り尽くしボロボロに死んでいったファンテーヌの生きざまに圧倒され、そこに手を差し出せなかったジャン・バルジャンの苦悩が彼の人生を更に大きく変える。
ジャン・バルジャンを執拗に追いかけた警部ジャベールは拘束された身をジャン・バルジャンに救われる。今まで見て来て薄々気が付いていた筈のジャン・バルジャンの正体は、ジャベールが追って来た囚人ジャン・バルジャンとは別人になっていた。彼の正しさに触れ、ジャベールの信念が揺らぎ打ちのめされ自らの命を絶ってしまう。
それぞれの運命が絡み合い、時代を乗り越える姿は考えさせられた。今、見れてよかった。これからの社会情勢が混沌とする中、自分を見失わず、正しくありたい。そう思わせてくれた物語。



