頭の中で蝉が泣く。
機械じかけの蝉が泣く。
断りもなく蝉が泣く。

冬は真っ白くて深い。
海の色は白くて、僕も少しだけ泣く。

夏に生まれて、短い冬の間、蝉は僕の頭の中で泣いている。
悲しくなんてないくせに。


僕は夏を待っている。
夏は僕の番だ。


蝉の中で僕も泣く。
機械じかけの僕も泣く。
断りもなく僕も泣く。



悲しくなんてないくせに。
悲しくなんてないくせに。



僕も泣く。
ここにいる。