あんなファッキンなノーズじゃベイブもできないだろうな。なんてのはしょっちゅうで、中にはファッキン・ノーズだからデザイン事務所に採用されたのだろうとディスってくる野郎さえあった。しかしアイザックは、自分がデザイナーであるために、幾分でもこのファッキン・ノーズにわずらわされる事が少くなったとは思っていなかった。アイザックの自尊心は、妻帯と云うような結果的な事実に左右されるためには、余りにファッキンに出来ていたのである。そこでアイザックは、積極的にも消極的にも、この自尊心の崩壊を回復しようと試みた。
第1にアイザックの考えたのは、このはんぱなく長いファッキン・ノーズを実際以上に短く見せる方法である。これは人のいない時に、鏡へむかって、いろいろな角度から顔を映しながら、熱心に工夫を凝らして見た。どうかすると、顔の位置を換えるだけでは、安心が出来なくなって、頬杖をついたりあごの先へ指をあてがったりして、根気よく鏡を覗いて見る事もあった。しかし自分でも満足するほど、ファッキン・ノーズが短く見えた事は、これまでにただの一度もファッキンない。時によると、苦心すればするほど、かえって長く見えるような気さえした。アイザックは、こういう時には、鏡を箱へしまいながら、今更のようにため息をついて、不承不承にまたマイケルジャクソンのミュージックに浸るのである。




(つづく)