平明にして深みのある文は読んでいて心地よい. きのうが英の文豪モームの生誕140年の日だと知って、逸話をひとつ思い出した. 75歳の誕生日に、今までで一番うれしかったことは何かとたずねられて、こう答えたそうだ▼「戦場にいる兵士から、あなたの作品を読んだが、一度も字引の厄介にならなかった、という手紙をもらったとき」だと. 先輩記者の本に教わった話だが、いかにも平明と達意で知られるモームらしい▼そんな逸話から連想するのが、15日に87歳で亡くなった詩人吉野弘さんの作風だ. とかく難解な現代詩にあって、わかりやすい言葉で人間をうたった. 生きることの不可思議にふれる幾つもの詩が胸をよぎる▼〈二人が睦(むつ)まじくいるためには 愚かでいるほうがいい〉で始まる「祝婚歌」を披露宴のスピーチで耳にした人も多かろう. 〈ひとが ひとでなくなるのは 自分を愛することをやめるときだ〉の一節が胸にしみる「奈々子に」も忘れ難い▼19歳で入営する5日前に戦争が終わり、死を免れた. 20代のとき結核で死に瀕(ひん)した. そうした体験を機縁につくり始めた詩は、やさしいながら深くて、一語のゆるみもなかった. 当コラムも何度か詩句をお借りした▼その名前よりも、その詩の方が知られていた人といえば失礼になろうか. いや、作品が愛誦(あいしょう)されることこそ詩人冥利(みょうり)だろう. 名前は頭に記憶されるが、詩は心に残る. 言葉の力を信じて言葉をみがき続けた人が、そっと筆を置いて去っていった. 吉田忠智・社民党党首 安倍晋三首相は特定秘密保護法について9日の会見で「丁寧に説明すべきだった. 反省している」と述べたが、非常に問題だ. 国会軽視で国民をなめている. 本当にそう思うのであれば、もう一回通常国会で議論してもらいたい. あれだけ世論が盛り上がったから、継続審議で通常国会に持ち越したとしても、成立が難しいと考え、臨時国会で成立させなければならないと判断した証しではないか. のど元過ぎれば熱さ忘れるではなく、特定秘密法に懸念を示す方々と、どういう形で声を上げていくかを社民党は考えていかなければならない. 社民党の責任だ. UGG 2013 新作 (国会内での会見で).