二番底どころか、アメリカ経済を丸ごと吹っ飛ばすかもしれない大問題。
早ければ、中間選挙とFOMCのあとで火を噴くかも。
フォークロージャー・ゲート。
わかる人には簡単かもしれないけど、金融に興味のない人には、やや複雑。
僕も何人かに説明しようとしたんだけど、話の本質に入る前にRMBSやCDOを理解してもらう段階でゴチャゴチャになる。
なので、フォークロージャーにかかわる部分以外は徹底的に単純化してみる。
A銀行がXさんに、期間10年、金利10%で10万ドルの住宅ローンを貸している。
A銀行はこの債権を担保に、期間10年、金利8%で1万ドルの債券を10人の投資家に買ってもらっている。
Xさんがローンを返済するリスクは投資家負担。
もしXさんが返せなくなったら、ローンを貸し出す時に抵当に取った住宅を差し押さえて処分、入って来たお金を10人の投資家で分配することになる。
(この説明だとCDO化していないので投資家にメリットはなさそうだけど、そこはあえて目をつぶる)
で、最近まで問題とされていたのは、不況で住宅ローンを返済できなくなる人が続出するとか、不動産市況の暴落で差し押さえ物件の価値も急落しているとか、そもそも買い手不在で差し押さえ物件が現金化できないとか、そういうこと。
そういう意味では、古典的な問題の範疇に収まっていた。
ところがフォークロージャー・ゲートで問題になっているのは、住宅ローンがらみのデリバティブ商品組成の最盛期にあまりに膨大な数の案件をこなす必要に迫られ、抵当の打ち方が法的に不備のあるものが多数あると判明したこと。
この法的不備には、いわゆるミスに由来するものだけでなく、意図的なものや悪意のあるものもあるという。
抵当の打ち方に問題があれば、返済が滞ったローンに関わる不動産を差し押さえたり処分することができない。
つまり、その不動産価値を担保に取っているつもりの債券が、実は価値のないものだということになる。
慌てたのは、投資家。
1万ドルを出して買った債券、不動産不況で価値が5千ドルぐらいに目減りしているかもと泣きそうになっていたら、実は抵当の法的瑕疵で最初から価値はありませんでしたということになる。
いやいや、投資家もバカじゃない。
こんな法的不備のある債券なんか、そもそも売買契約自体が無効だと、発行した銀行に買い戻しを求める動きさえ出ている。
実際、すでに470億ドル分の債券買い戻しを請求されている銀行もある。
この動きが全米に広がれば、サブプライムショックにトドメが刺されることになるかもしれない、と騒がれているのがフォークロージャー・ゲートというわけ。
これはCDOの説明をすっ飛ばした、やや乱暴なものであることは否定しないけど、要は抵当の打ち方が杜撰で差し押さえが出来なくなっているということ。
あると想っていた担保が、価値が急落しているどころか、最初から存在していなかったということ。
そりゃあ、もう、大騒ぎさ。