2月15日にヤフーニュースで見かけた記事の読後感がどうもしっくり来ませんので、考察をしてみました。

年々激化する「中学受験戦争」…開成中学に入学後「無気力状態」になって落ちこぼれた生徒の「その後」

 

  • こんなことってあるのでしょうか?
記事中にある以下のくだりのようなことは、自分の息子の在学中には聞いたことがありません。(かつて自分の意思で転校したり、辞めた人がいた、ということは聞いたことがあります。)
 
テストで何も回答しないとか、学校に来ない状況が続けば、学校側も放置しませんし、進級できなくなるのではないでしょうか。レアケースになりますが、学校を去ることになると思います。開成の先生方は受験のために勉強しろとは言いませんが、リスクが見えればその前に何とかしようと働きかけますし、家庭との連携もとります。
 
Mさんは、同級生との差を感じ中学2年の頃にはテスト中は名前を書いて寝て終わるだけの生活をするようになった。同じように落ちこぼれになる人間はそもそも学校へは来ないため、自然と成績は学年の最底辺になっていったという。
 
  • 開成で勉強しない子たち
確かに6年間まったく勉強しない生徒もいるようです。

先日、息子の高校時代のクラスのお母さんたちのランチ会に行きました。

「6年間勉強しなかった」というお母さんがいて、(私は本当にそうなんだ、と驚き、平然としているお母さんを見てさらに驚いたのですが)、1年浪人して早稲田に入った、と言っていました。6年間勉強しなくても1浪して早慶に入れるんだと思ったのです。

開成生は集中力が高いので、自分が決心しさえすれば何とかなるようです。ここで大事なのは「自分が決心する」、ということです。

受験時期に学年主任の先生は「人間必死で半年間勉強すれば何とかなる」と言っていました。

(確かに人気校とは言えない私立大学進学者は毎年ごく少数います。)
開成高校大学受験結果
  • 残念なのは「勉強ができない」ことではない
開成では勉強ができなくてもひけめを感じたり、ましてやコンプレックスを感じることはないはずです。学年最下位でもジョークにする程度です。
勉強ができなくてもヒーローになれる分野があります。

勉強以外に部活動とか、運動会とかやりがいがあることがたくさんあって、生徒は
自分の好きな事に没頭できる環境です。

6年間開成にいて関心が持てることが見つけられなかったとすればそれが残念です。
 
  • 「98%が楽しい」というアンケート回答
数年前ですが、柳沢前校長の時代にはよくアンケート結果についてお話しされていました。息子もその友人たちも開成は楽しいと感じているというのが実感でした。

また、周囲には様々な先輩や同級生もいて、実に色々な情報が飛び交います。
子供でも自分なりの判断力を持つようになると思います。
勉強だけでなく、自分がこの先どう生きたいか考える機会はたくさんあるでしょう。

ゲームが好きであればとことんその道に進むことを考える生徒だっているでしょう、という趣旨のことを柳沢先生はよくおっしゃっていました。
 
開成中学校説明会レポート(2018年10月20日)

生徒へのアンケート、学校が楽しいですか?に対して、「楽しい」と「まぁ楽しい」は98パーセント。残りの5名程「あまり楽しくない」という生徒がいる。こうした生徒には、教員からフォローして、居場所を見つける手助けをする。

 

  • 子供が第一志望校を決める大切さ
この事例では、開成中学に入学することがご本人の強い希望ではなかったのかも知れません。(それで入れたというのはすごいと思います)
その延長のままで大学受験になると親がどうこうできず、進路を見失うという結果になってしまいます。

子供なりに学校のことをよく知って第一志望校を決めることが大切だと思います。

私は開成受験を考える生徒さんには5月の母の日の運動会見学を勧めています。

開成の運動会は全校一丸となる行事です。そこでリーダーシップを学んだりするわけですが、やる気になれば、何かしらのチームワークの責任者にもなれるのです。しかし、そういう行事が苦手、という人は自分自身も周囲にとっても辛くなります。

自分で覚悟を決めて飛び込み、何かしら好きな事を見つけて、その方向に突進する、
というのが開成生の良さだと思います。
  • 自分の人生を切り拓くこと
中学受験までは親の支援である程度何とかなるかも知れませんが、中学以降は親の言うことを聞かなくなりますし、高校くらいになれば自分で責任を持って、好きな道に実力で進むことを模索して欲しいものです。

またそれを陰ながら支援するのが学校教育や保護者の重要な役割ではないでしょうか。
 
この事例の方はかなりレアケースだと思います。開き直って人生をかけて他の開成生にはできないことにチャレンジいただきたいと願っています。