異なる2つの媒質の境界面で光が反射するとき,
入射光と反射光の位相の関係は,
2つの媒質の屈折率の大小関係によって,

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となることを全国の高校生は習いますが,
「なぜ,そうなるのか??」については,説明はほぼ皆無です。

どの教科書,どの参考書を読んでみても,
そのことについてはほとんど触れられていないのです。

理由は至って簡単。

大学の物理・大学の数学をやらないと理解できないからです。

どうしても知りたい人のために,
とっても噛み砕いてここに説明しましょう。

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シンプルに考えるために,
光が境界面に対して垂直に入射する場合を扱います。

媒質I,IIの屈折率をそれぞれn1,n2とおき,
図のようにx 軸をとります。

境界面がx =0の位置にあります。

光の波の振動周期をT
入射光,反射光,透過光の波の振幅をそれぞれA 入,A 反,A 透とし,
の媒質I,IIでの光の波長をそれぞれλ1,λ2とおけば,
入射光の波の式y 入(x ,t ),反射光の波の式y 反(x ,t ),透過光の波の式y 透(x ,t )は,

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となる。

媒質Iでは入射光と反射光が重なり合い,定常波が出来ます。

その定常波の式は,



ファラデーの電磁誘導の法則とアンペールの法則によると,

媒質Iと媒質IIの境界面x =0では,
光の波が「連続」かつ「滑らか」につながっていると考えられる。

 ※どういうことか,詳しくは大学で電磁気学を学んで確認しなさい。

つまり,x =0では,
「定常波の変位と透過光の波の変位が等しい」かつ
「定常波の傾きと透過光の波の傾きが等しい」
ということ。

このことを式で表すと,

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 ※ただし,第2式の●はx についての偏微分です。
  「t を定数とみなしてx だけを変数とみなして,x について微分する」
  ということです。
  この導関数にx =0を代入した値が,
  x =0での波の式の傾きになるというワケです。
  なお,x =±0はそれぞれ,x を正または負から近づけることを表します。

上の2つの式を整理すると,それぞれ

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A 透を消去して,A 入とA 反の関係式をつくると,



さらに,屈折の法則n1λ1=n2λ2を用いて整理すると,



よって,n1-n2>0のときA 入とA 反は同符号,
すなわちn1>n2のときは入射光と反射光は同位相であるといえる。

そして,n1-n2<0のときA 入とA 反は異符号,
すなわちn1<n2のときは入射光と反射光は逆位相であるといえる。