52インチに映る藤原紀香はテラスゴスと思った。 | 学外活動のススメ~書籍『現役大学生による学問以外のススメ』ができるまで~

52インチに映る藤原紀香はテラスゴスと思った。

僕は電器屋が好きだ。


なかでも家電を見ていると全然飽きない。

店内を徘徊していると必ず目につくのが大型テレビ。

テレビコーナーはいつも華やかだ。


テレビが家電の王になってもう50年近くになる。

テレビの進化をたどると、昭和30年頃に登場し、“三種の神器”と呼ばれるほどのステータス商品だった初代白黒テレビから、“3C”と言われたカラーテレビ、まもなくそれらのアナログ放送も終了になり地上波デジタルが始まる。


様々な進化を遂げながら、たった50年足らずで人の生活に必要不可欠な存在になったテレビ。


なぜ、人はそれほどまでにテレビを求めるのだろうか。


電源を入れた瞬間から溢れてくる無数の情報。


暇つぶし?

刺激?

流行?

話のネタ?

共感?


純粋な情報なんてきっと天気予報くらいだろう。

どれもみな誰かの脳内を経由した加工物だ。

それに何を期待して人はテレビを見るのだろうか。


そういえば大学に入ってからテレビを見なくなった。


きっとそれは、

テレビよりもいい暇つぶしが、

テレビは与えてくれない刺激な体験が、

テレビから流される恣意的な流行ではない純度の高い流行が、

一度話したら忘れてしまうような話じゃない本物の話のネタが、

一方的ではないより深い共感を得る機会が、

僕のまわりにたくさんあったからだろう。


昔、どこかのIT社長が

『情報の一次取得者が直接伝えてこそ情報の価値がある』

って言ってたけど、それは間違いないと思う。


渋谷にはヤマンバギャルが溢れてると思っていけど、実はそれは15人くらいしかいないサークルで、マスコミのいいように脚色された渋谷のマスコットとなる代わりに、サークル引退後の仕事を世話をしてもらってることとか、


売り出し中のグループのCDを発売当日にオリコンチャートの集計店で買い占めて、初登場3位とかにしたりするバイトがあることとか、


そんなことは、二次情報で知っても、

しょせん噂の域でしかない。


僕は新宿の西口で手相の勉強をしてる人が本当にしたいことも知ってるし、有名女性誌の読み物ページのアンケートがどれほどいい加減なものかも知ってる。


別に世間を知ってる風なことを主張したい訳じゃない。


全部、普通に大学生活を送っていたら自然に知ったことだし。



大学生活は長い。



講義もコンパも麻雀もバイトも彼氏彼女も

サークルも旅行もインターンも留学も趣味も

全部やっても時間は余る。


その余った時間をどう使うか、

自分が本当にやりたいことはなんなのか、

僕の場合はそのふたつの答えは学校の外にあった。


自分が一次情報の取得者となり、

自分でその情報の意味を考え、

自分の情報を経験のひとつとすることで、

自分はいま何をすべきなのかが見えてくる。


僕はテレビを観る感覚で外にでて、

チャンネルを変えるように様々なことに挑戦した。


いま作っている本に登場する人たちはほんの一例。

今回はたまたま載らなかったけど、

もっともっと色んなことに挑戦し、

もっともっと色んな経験をしている人たちがいる。


その人たちに共通して言えることは、

情報の取捨選択能力が非常に高いということ。

つまり、自分に必要な情報と必要じゃない情報を

見極める力を持っているのだ。


テレビは12チャンネルしかないけど、

現実では数え切れないほどの情報に触れる機会がある。


そんな中で本質的な意味での“自分だけの価値観”を持つことは、参考にする先輩や、見て我が身を振り返る対象のダメ同輩といった、人の環境が整っていないと本当に難しい。


自分たちの培ってきたそういった経験や思いを込めた本が、誰かが価値観を築くうえで何かの役に立ったらいいな。






そんなことをテレビコーナーの前で考えてたら、

658,000円のテレビを勧められた。


買うか買わないか迷ってるように見えたのかな。

気まずそうに立ち去る僕を藤原紀香が笑ってた。




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