Project Gilgamesh

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「世界のはじまりの日に、、、」


【収録曲】
Eruhatove
Shodowy FigureAtnylo
Beyond The World
Skyclad Melody
Atnylo
(vo入り3曲を含む5曲入り)
先着で特典付き

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ライズの遺書 最終 そして舞台は現代へ


俺が大佐の手紙を実際に読むために、実にそこから6年の月日が必要だった。

その後のバビロニアはかなり事実とは違った歴史を刻むことになる。

ローレンス大佐が、皇后を誘拐した事実は何故かセーラム大佐が実行犯とされ、ローレンス大佐はそれを追い殉職。
セーラム大佐は今だ皇后を誘拐し逃走中とし、指名手配となっている。

ローレンス大佐は命を張って皇后陛下をお守りしようとし、それはまさしく世界を救うとされる計画の為に殉職したとし英雄どころか軍神にまで祭り上げられている。

当然だが、軍部内は大混乱だった。2人の事実上の現場のトップが失踪し、権力争いは激化した。
それに加え、あの夜、貴族の軍人達はまったくなす術がなく、ラビ将軍とエンキドゥを撃退したのはほとんど皇帝陛下の功績だった為、
その責任の追及は免れることができず、大幅な改変が行われた。

結局16小隊の面々は一人残らず2階級特進、軍神ローレンスの意思を継ぐ部隊として今では軍部の中枢に座する事になった。
ナンバー2だったクレアも退官していたため、隊長は俺が引き継ぐ事になった。
そして、10年前ようやく中佐に昇格。晴れて宮殿に入る事を許され大佐の手紙を見る事ができた。

始めはなぜ、そんな捜索しにくい所にとも考えたが、すぐに合点がいった。
なにしろそこから3年間、16小隊は全員「研修」と称し一人に対し3人もの教官がつくことになった。

それは当然、何かを教える事が目的ではなく我らを監視することが目的だったのだ。
後から知った話では、この3年間我々が書いた手紙および会話の内容は全て記録されていたというから驚きだ。

大佐はそれすらも見通していたのだから、おそろしさすら覚える。

もちろん手紙の内容は子供の空想でももっとまともなことを書きそうだといえるくらいに陳腐なものだった。

だが、この10年それはほとんど、この手紙が台本なんじゃないだろうかと思える程、この国の進む方向を言い当てていた。

ケネスが軍部のトップになること。
皇帝陛下がほとんど表舞台にでなくなるであろうこと。
エンキドゥをトップにした反勢力の台頭。
聖戦。
空飛ぶ船。
『希望』の覚醒。

今まさに、俺はその空飛ぶ船に乗っていてしかもその船長までやっている。
皇后陛下のバックアップを拘束し、そして『希望』の覚醒によって攻撃を受けている。
間違いなくあれが、ギルガメッシュのバックアップだ。

例の聖戦の重要キーワードである、「皇后陛下」と『空飛ぶ船」この二つを今自分が握っている。
こんな馬鹿げた事を俺の手で終わらせられる。

先ほど全てを書き綴った手紙をそらからばらまいた。何通かはきっと誰かの目にふれるだろう。

さぁ死ぬ準備はできた。この船ごと沈ませてやる。

「、、、、。」

うん?気のせいか。

「状況は?」俺は操縦席におりる。

「はっ!応戦してはおりますが、逃げ切れないことはなさそうです」

「いちいち俺の判断をあおっているのでは間に合わないだろう。俺が自分で操縦する。」

「しっ、、しかし!!」

「かまわん。あとはケネス様に指示を仰げ」

「。。。。ーか。。。。。」


なんだ?さっきから遠くで聞こえる気がする。

そのとき、「希望」が放った雷が操縦席に直撃した。

目の前が真っ暗になった。


何も聞こえない

静寂と無色の世界。

ここは?俺は死んだのか?









「ばーか!!!」

え?クレア?

「この船に何人の人間が乗ってると思ってんだ!!ぼけぇ!!!」

しかし、このままではもっと多くの何億という人間が死ぬんだ

「こんなものが墜落したら、街一つぶっとぶぞ!!アホぉが!」

しかし、、、。やむをえないだろ

「その発想自身がこの計画と同じではないのか?」

ローレンス大佐!!!

しかし。。。規模が違います。数千人の命を救うために数億人の人間を犠牲にあの計画とは。。。

「命に重いも軽いも無いさ」

セーラム大佐。。。

「そうだぜ。隊長しっかりしてくれよ」

小隊のみんな。。。

「お、俺はいったいどうすれば!?」

ローレンス大佐が俺の肩を掴んだ。

「必ずもうすぐ、世界がお前の力を必要とする時がくる。その時はきっとみんながそばにいる。だから心配しなくていい」


え?待ってください。待ってくれ!






気がつくと俺は操縦桿を握っていた。

目の前は戦場だった。

夢でも見ていたかの様な温度差だ。

そうだ。俺は今命を預かっているのだ。

エンジンは?シャフトは?

大丈夫だ。まだ飛べる。

俺は大きく息を吸うと、叫んだ

「逃げるぞ!!」

そうだ。あんなバケモノ相手にしても仕方が無い。

「全砲門離脱!できるだけ軽くしろ!無線機も捨てちまえ!」

はっ!!!クルー達は弾かれたように返事をした。

「全速前進!バビロニアに帰還する」



誰もが「世界に平和を」という願いをもっている。同じ世界を夢見ているはずなのに。
どうして我々は血を流し続けるのだろう。

それはきっと我々が人を信じられないからだ。

そして全ては自分を納得させる為なのだろう。

あまりにも多くのものを失った我らはもう後にはひけなくなってしまっている。

それを手放してしまえばすべてを否定する事になる。

俺には俺の戦いがある。

たとえそれが、正義じゃなくても。

『お前の目で、耳で、心で感じた正義を遂行しろ』

これが俺の唯一の正義なのだから。。。


ライズの遺書 8 帝国脱出


準備は目まぐるしく進んでいった。
皇后は、自分も死ぬ気でいたがそれは、なんとしてもそれは、避けたいとおもっていた。
まず、今回の計画に加担を決めている国の動機はなんといっても皇后の人柄による所が大きい。
とくにイナルやカリディ、そしてビアエルは長年にわたる皇后の私的な援助に恩義を感じて参戦したと言っても過言ではない。
それはこの2ヶ月間近で皇后を見てきて痛いほど分かった。
一番安全な地位にいる皇后が命の危険を犯して弱き者を援助する活動を続けていた。

そして何より、命に代えてもこのお方を守りたいという気持ちが自分にも生まれ、そしてそれは決意に変っていた。

「ついに今夜ね。」

「ええ。」

「あなたには申し訳ないと思ってるわ。」

「いえ、私は2年前に死ぬ運命にありましたから。あなたに拾われた命です。むしろ光栄ですよ。」

夜は静かにふけていった。

その夜、皇后と俺とローレンス、そしてケネスは宮殿で行われる戦勝祝賀会に出席していた。

貴族達は優雅に踊っている。我々は一番の戦功者でありながら広間の隅で待機している。
結局この戦争の利益を得るのは、スポンサーである貴族だけなのだ。
我々はまだしも、特別招待を受けていた我が16小隊は置物のように緊張し、直立のまま動けなかった。

もうすぐだ。

静かに、まるで運命の扉を開けるように静かに彼らはやってきた。

慇懃に頭を下げると、穏やかに、だが通る声で叫んだ。

「バビロニアの皆様ごきげんよう。皇帝陛下。お命頂きに参りました。」

風使いのあの男が、勢い良く大理石の床を蹴った。

我らは、瞬時に抜刀した。それは16小隊の面々も一緒だった。貴族はただ怯えるのみだ。

まずは、自分が皇帝とエンキドゥの間に割って入る。

派手にたちまわる。意図的とも思える程に広間内のインテリアを破壊しながら戦う。
ここは演義でもなんでもなく、本気で戦った。相手は俺が協力者だとは知らない。手を抜けば殺される。

ラビは、発煙弾を放った。轟音と白煙が宮殿内に充満する。

俺はエンキドゥに飛びかかり小声で伝える。

「プロジェクトギルガメッシュ」

エンキドゥは手を休める事無く

「ジャスト60秒後。お間違えの無いように。」

と応える。

俺は、体を大きく反転させ、ライズのもとに走る。

60秒を体でカウントさせる。間違えるな。

ライズは戦場の男だ。白煙の中、向かってくる者に対して、反射的に剣を構えた。

「隊長?」

「時間がない。よく聞いてくれ。宮殿の中庭、大岩の下に箱を隠した。そこに手紙が入っている。そこに俺なりの真実を書き記した。」

「、、。な、何を、え?一体どういう?」

「お前が信じるかどうかは、お前に任せる。おそらくこれからこの国は大きく動く。」

「あ、あああ、あ」

ライズは言葉になっていない。

「いいか。必ず生き残れ。絶対に死ぬな。俺の言葉を信じなくてもかまわない」

そうだ。なにを信じるか。命を使う価値があるかなんて人それぞれだ。

おれは、強く、強くライズの肩を握り締めた。

「お前の目で、耳で、心で感じた正義を遂行しろ!」

残り20秒。

体を回転させ、皇后を捜す。
白煙の中で視界はほぼ無い。

だが、分かる。
あの男の殺気を体が覚えている。
家族以上の存在、セーラムの殺気だ。
恐らく身を挺して、皇后を守っている。

俺は殺気の方へ走った。

「セーラム!!」

「ローレンス無事か!?」

残り5秒

「セーラム。すまない。。。」

セーラムの背後に回り込む。皇后の重心落とし皇后抱え込んだ。

「ローレンス!?」

ズズンッ!!!!!!!

耳をつんざくような爆音とともに炎があたりをつつんだ。
悲鳴と銃声が入り交じる。仕込んであった爆薬が一斉に火を噴きさらにエンキドゥが突風であおった。

「イシュタル様!!ご無事で?」

俺はとっさに名前で呼んだ事に気がついた。そうだ。2人でこの国を捨てるんだ。それでちょうどいい。

「ええ。。」

イシュタルは、顔を真っ青にしていた。煙を吸い込んだか?

「脱出します!!!」

扉の方に目を向ける。

行ける。

走り出そうとする自分に衝撃が走った。

「ローレンス!!!どういうつもりだ!!!!」

強く腕を掴まれていた。この男と戦うのであれば死を覚悟しなくてはいけない。
だが、皇帝もいる。やりあっていれば皇帝につかまって終わりだ。

だが、腕を掴む力は急に弱まった。

「どこを見ているんです?あなたの相手はこの私ですよ」

エンキドゥが割って入った。

「さぁ。早く」

「すまない。」

俺は走る。外には馬を止めてある。時間を稼ぐ方法も関所の突破も仕込み済みだ。大佐という官位がそれを容易にしていた。

背後でセーラムとエンキドゥの叫び声が聞こえる

「そこをどけ!!!!!おれはあいつに話がある!!!」

「理由になっていない」

俺たちは馬に飛び乗った。イシュタルには黒いベールをかぶせてある。安易な方法だが、今日は月も出ていない。気づかれないはずだ。


ウルクに向かい馬を走らせた。









「よかったので?ケネス様。あの2人に大佐を与えた段階で逃げろと言っていた様なものですが」

「あぁ。あの計画には、皇帝陛下より民衆の心を掴んでいる英雄など邪魔なだけだ。」

「なるほど。しかし残酷ですな。」

「私も心が痛いが、全ては世界の平和の為だ。」

「御意に」

ライズの遺書 7 月日は百代の過客にして


「なんで俺だけが」

セーラムは、少し気まずそうに切り出した。

その日セーラムは、海軍の実質上の最高責任者であるケルト中将から、大佐の内定をもらっていた。

「もうタメ語はつかえなくなるな」

「ばーか」

海軍の思惑は手に取るように見えた。今回のアガルタとの戦争はやはり陸軍への評価が絶大に高かった。もちろん海軍も大きな勝利を重ねていたが、あくまで防衛がメインであり、敵国を制圧した陸軍に比べると見劣りする。

そこで、英雄であるセーラムを大佐という立身出世の象徴たるポストに置き、民衆に対し海軍は平民、貴族と差別をしないというアピールがあからさまに見えた。

もう一つとしては、俺とセーラムが仲が良いというのは都合が悪かったというのもある。平民の2人が同じく英雄では、貴族対平民という構図がはっきりと出てしまう。2人の間にも貴族よりとそうでない者が作れればという考えだろう。

だが、そんなこと今の俺にはどうでも良かった。

俺と皇后は、この1週間のうちに、極秘裏に世界中の首脳を招集し、皇帝が掲げる計画に対し、皇后主導の「プロジェクトギルガメッシュ」を策定し協力をあおっていた。

皇后は身の回りのものを全て処分し金に変え、貧しいものに施しを続けていた。その姿に共感したのか、

最大の協力国は、現在の世界でバビロニアに対抗しうる最大の国イナルが勤め、ゲリラ隊の本拠地は新興国カリディがつとめる事になった。

予想通り、ウルクは猛反発だった。シエルは保留、ビアエルは非公式に協力を約束した。その他の小国も保留ないし前向きな意見が多かった。

様々な思惑が交錯しているが、来るべき16年後の計画遂行におのおのの国が準備に入った。

セーラムとの事は、まったく意識はしていなかったが、それでも皇帝側の計画の中核に入っていくセーラムと、それを阻もうとする自分に溝というか、お互いに秘密が増えていた事は事実だ。

「これで皇后陛下との距離も縮まったぜ」

俺は何も言えなかった。その皇后はもう命をなげうつ準備を進めているのだ。



第16隊のメンバー達と会う事も少なくなっている。

そう思っていた矢先、クレアが俺を尋ねてきた。

「今までお世話になりました。俺は軍人をやめようと思います。」

理解できた。あの地獄をみたクレアは、普段は明るく、何も気にしていないそぶりを見せていたが、それでもやはり限界だったのだろう。

「そうか。これからどうする?」

迷った。俺と一緒に来ないかと言う気持ちを伝えるべきか。

「さぁ?旅行でもしてみますかね。」

そうか。それでいい。もうこれ以上の争いに巻き込む必要は無い。

「そうか。お前がいてくれてよかった。みんながなんとかここまでやって来れたのはお前の力が大きい。」

「もったいねぇ。俺はただ、あの隊が好きだっただけっすから。」

「酒でも飲もうか?」

「いいっすね。」

その日は、久しぶりに清々しい気持ちで酒が飲めた。これが最後になるだろう。
来週には、俺は皇后を誘拐という形でウルクへ連れ出す事になる。もう俺に関わらない方がいい。
後は、どう皇后を連れ出すかだ。中佐の身分では宮殿にはそう簡単に入れない。大佐以上でなければ事前に許可を得なくてはならないきまりだ。

そうなると護衛中に奪還するか。しかしそれではケネスもセーラムもいる。そう簡単にはいかない。



「失礼します」

幸せな気分をぶちこわす男が入ってきた。ケネスだ。

「じゃおれはこれで」

ケネスはクレアを一瞥すると儀礼的に一礼した。
クレアが部屋から出たのを確認すると、

「こちらをお納めください」

目を疑った。それは『大佐』と書かれた腕章だった。

「これは。。」

「私の父は陸軍にかなりコネクションがありまして。それで英雄ローレンス様にはやはり大佐がふさわしいだろうと。」

ふざけるな。海軍に対する対抗と、そして恐らく皇后の計画に加担するなという釘止しだろう。

「お受けいただけますか?」

つまり皇帝に忠誠をちかうか?という投げかけだった。

悩むことなどない。これで皇后奪還の条件はそろった。護衛の任の非番中に皇后を奪還できる。セーラムとケネスさえいなければそう難しい問題ではない。

「謹んでお受け致します。」


問題はこの後だ。恐らく俺も皇后も一週間後にはこの世にいない。そのあと復活までの16年間、バビロニアの暴走をこの国の中にいる人間が監視しつづけなくてはならない。

俺は筆をとった。最後の手紙。世界の希望。託す相手は決めてある。だが、それもどうでもいいとおもう。なすべき事はした。あとはこの世界が未来を決めるだろう。





一日後、ウルクとバビロニアの国境。





「なんだ、てめぇら!!」

バビロニア兵か?いや、貴族だ。なぜこんな国境付近まで?

「第16小隊のクレアだな?」

「だったらなんだっていうんだ!!俺はもう退官したんだ!!!!!」

旅初日になんだってんだ。

「関係ないな。このタイミングで退官など、自分が関わっていると宣言してるも同じ事だ」

「何の事だ?」

「とぼけるな」

一斉にクレアにとびかかってきた。

「第16小隊は、隊長一人でもっていたんじゃねぇ!!なめるなよ!!!!!」


銃声が国境の夜空に響いた。

続く
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