前回上げた小説のタイトルを決めました
名付けて!
「理不尽物語 恋愛編」
編、ということは続きもあります
あとは「殺人編」も考えています
お久しぶりです
観覧してくれている人一体どれくらいでしょうね
とりあえずできたので
世の中は理不尽に満ち溢れている。
僕の名前は霜上祐樹(しもかみ ゆうき)、来年度には高校2年生になる普通の学生だ。
そんな僕はいつもの時間、いつもの帰り道を歩きながら自宅に向かっている。
そんで僕の隣を歩いている女子が坂江叶(さかえ かなえ)。僕の幼馴染だ。どれくらいかっていうと…親が僕たちを生んだ時から。
その為か僕たち二人はよく遊ぶ。家は近いし親同士の仲もいい。そりゃあ僕たち二人がよく遊ぶのも当然だ。
……でもそんな仲で心の変化に気付いたのは僕が先だった。
叶を見ているといつもドキドキしてしまう。それはもう少しの動作から何まで。全てに見蕩れてしまう。
こういうことを僕は知っている。これは―『恋』ということを。
そう…僕は坂江叶に恋をしている。たぶんそれは叶に会った瞬間から、まさに一目惚れだ。
「それでさぁ―」
こいつとのは会話はいつも心が浮いてしまう。なんたって好きな女子と会話ができるのだから。でも浮き過ぎておかしな発言をしないように気を付けている。
「うん、そうだね」
慎重になりすぎて流すような答えばっかりしています。でもそれでこいつの心が傷ついて自分も傷つくよりはましだ。
僕は自宅の前に着くと叶に手を振って別れを告げた。
いつものようにただいまと言い家に入って自分の部屋に行き普段着に着替える。そして晩御飯。次に風呂。最後に寝る。僕はこの一連の動作の中では常に叶のことを考えてしまう。
確かに気持ち悪いかもしれない。日常の動作にまで思考が好きな人にいってしまう。可笑しいのかもしれない。しかし『恋は盲目』というように当たり前なのかもしれない 。僕はこのことで常に自分の中で言いあっている。
僕の中ではこう考えていた。
いつものように振る舞いいつものような関係を保つ。だがいつものような関係はあまりよくない。だからこの関係を壊すイベントを考えた。例えば遊園地に行ったり、映画
館に行ったりするデート。そこで完璧に今までの「幼馴染」の関係を壊す一言を告げる。そして相手もよかったら僕たちははれて「幼馴染」から「恋人同士」になる。そうい う計画だ。
しかし最近その計画にノイズが入った。それは叶に好きな人ができたという噂だ。
僕はそれを聴いた途端胸がとても痛くなった。嫉妬――という気持ちだ。ふ、あまり考えたくはなかったが予想はしていた。
僕たち二人は、所詮『幼馴染』であり、それ以上でもそれ以下の関係ではないのだということ。
寝るときにどうすれば叶を振り向かせることができるかと思いながら寝てしまう。
これが僕の1日。
良い言い方をすれば一途という。悪い言い方をすれば変態。
人にどう思われていてもいい。ただ僕は叶と一緒になりたい。それだけだ。
第1章『理不尽は突然に…』
学校に行くとき、叶は毎朝僕を迎えにきてくれる。
「祐樹ー!迎えにきたよー!」
僕は毎度のこと「わかってるよー」と返す。
学校にいく準備も万全になり玄関に近付くとお母さんと叶の喋り声が聞こえた。
「あらー叶ちゃん、また綺麗なっちゃって!彼氏でもできたのかしらー?うっふふふ」
「ま、まさか!彼氏なんてしませんよ~もうおばさんったら!あはははは」
お母さんが言った通り叶は綺麗だ。とびっきりの美人だ。
髪はミディアムのストレートロング。若干茶色で朝日でまぶしく見える。また学校指定のブレザーによりまさにクールビューティー、僕の目には叶がそう写った。背丈は1 60cmちょいで痩せすぎず太り過ぎていない。言い寄った男は数知れずとまで言わないが多い。叶は普通にモテる女なのだ。
それに比べて…。いつも自分に自信が持てない……。
「あ、祐樹!何よ朝からしけた面しちゃって!ほら、学校行くよ!」
靴を履きかけている僕の手をグイっと引っ張る。
思わずドキっとしています僕。
「馬鹿祐樹をよろしくねー」
全く、馬鹿は余計だよお母さん。
「それにして本当祐樹は朝遅いわねー。低血圧なの?」
違うよ。ただ準備が面倒なだけだよ。
「あ!そうか!下の世話ってやつか!祐樹ももう男だね~」
は!?こいつ何言っちゃってんの!?下の世話ぁ!?してないし!
「ふふ、でもまあ早くいかないと学校遅れちゃうね!走ろうよ!」
叶は再度僕の手を引っ張る。
わわ、いけない。バランス崩しちゃった。
僕はバランスを崩し朝の車の数が少し多い道路に体を出してしまった。
早く体勢を直さないと。
と、思ったときだった。
「早く!祐樹!来て!」
え?そんなに大声張り上げなくてもちゃんとするのに。
「ゆうきいいいいいいいいいい!!」
僕は意識を失った。
☆
「違うね。意識を失ったのではない」
「え?」
なんだ、一体何があった?
朦朧とした意識の中でうっすらと目を開かせる。
朝日の綺麗な日、僕の大好きな叶。そして一緒に登校。それが僕の目の前に広がる景色。
でも目を開かせたとき見た景色は全く違った。
何もない真っ暗な世界。僕の目の前にはその異様な空間が広がっていた。
「もう一度言うね。君は意識を失ったのではない」
僕の前に暗闇から一人の青年が闇から姿を現した。
背丈もそれほど変わらないが真っ白な衣服を見に纏い同じ年代とは思えない風格を出していた。
「ど、どういう意味だ」
「単刀直入に言おう。心して聴け。君は―――」
僕は生唾を飲み込む。
「車に轢かれて死んだんだよ」
何を言っているんだ?
こいつは一体何を言っているんだ?
「どうやら信じていないようだね」
「当たり前だ!そんなの信じられるかよ!」
「だろうね。では君に真実を見せてあげよう」
と言うと自分の真下に小さなジオラマが姿を現した。
そのジオラマは段々と大きくなり、自分の真下にはいつもと変わらない風景が映し出されていた。
自分の通っていた通学路。その近くにあるショッピングセンター。
でもその風景はいつもと違ってなんだか騒がしい。
ジオラマから声が聞こえる。
『くそおおおおおおおお!』
男の人の声だ。
『うわああああああああん!』
女の子の声が…―――この声は…叶!?
僕は自分の視点を横にずらす。
最悪の光景が広がっていた。
2台の救急車。それを囲む大勢の人。その中心には僕の幼馴染の坂江叶と――
顔面血まみれの僕の姿があった。
『ゆうきいいいいいいいいい!うわあああああああああん!』
唖然とした。
声も出ない。
いつの間にか自分の真下に広がる光景は暗闇になっていた。
「どうだい?理解したかい?君はもう死んでいるんだ」
「う、嘘だ…」
「真実を見ろ。君は車にはねられその際顔面を強打した。あそこにいたのは顔面を強打し血まみれの君だ」
あ、ありえない…!そんな、そんなわけない!
「あ、おおお、がっ…がはっ……」
嗚咽を漏らす。
驚きとショック、ストレス。いろいろな感情が混ざりに混ざって何も言えない。涙すら出ない。
数秒後、目から一筋の涙が流れた。
「うっ…うう…」
大量の涙は流れなかったが、普通に涙が流れた。それはもう無意識に。
しかし異変に気付く。
僕は何故死んだはずなのにここにいるのか。
「何故僕は……こうしてここにいるんだ…?」
「ほう、意外に気付くなのに早かったな。普通ならまず泣き叫ぶというのに。珍しい。では教えてやろう。お前が何故こうしているのかを。心して聴け。お前には仕事を強制されている」
「し、仕事?何のだ?」
しかも強制?
「坂江叶、こいつはある男に恋をしている」
何で今そんなことを…。
「お前の仕事は坂江叶の恋愛を成就させることだ」
「ふざけるな!何で僕がやらないといけないんだ!それに僕は―――」
「坂江叶が好きだった。だろ?知っている。勿論、当たり前だ。だからこそお前にやらせるのだ。幼馴染で家も近く、親以外では一番一緒にいた時間が長いお前にな」
僕は全身の力が一気に抜け落ちた。
理不尽だ…僕の恋は実らず死んだっていうのに……その僕が恋していた人の恋を実らせるなんて…酷過ぎる……拷問だ。
「理不尽だ…。何で僕なんだ…それに僕じゃなくてもお前がやればいいだろ、いろいろ知っているんだから」
「お前にやらせる理由はさっき言った通りだ。お前があいつと親以外で一緒にいた時間が長いから。何故私がやらないのか。それは面倒だから。私みたいな力より自然に恋をさせた方がいい。後々私の力の回収が楽だからな」
「ふざけるな!!お前の都合でやれるかよ!大体僕はもう死んだんだ!死人には口はない、昔から言われているだろう!」
「人間に対しての都合とか生と死とかルールは私たちには全く持って意味をなさない。それは人間が人間を縛るためだけのものだからな。それより時間がない。お前はこれからお前が死んだ時間から7日後の世界に行ってもらう。住む場所、姿、形、声、全てがお前のものじゃない状態から仕事を初めて貰う。では行ってこい。検討を祈るぞ」
「お、おい!待て!おい―――」
何が起きたのか全く理解できない。理解しようにも1つの情報量がおまりにも多すぎて自分では対処できない。
ただ、自分がやるべきことは『坂江叶』の恋愛の成就。それだけ。自分のことなどどうでもいい。なんせ自分はもう死んでいていないのだから。
僕は冷静だった。
観覧してくれている人一体どれくらいでしょうね
とりあえずできたので
世の中は理不尽に満ち溢れている。
僕の名前は霜上祐樹(しもかみ ゆうき)、来年度には高校2年生になる普通の学生だ。
そんな僕はいつもの時間、いつもの帰り道を歩きながら自宅に向かっている。
そんで僕の隣を歩いている女子が坂江叶(さかえ かなえ)。僕の幼馴染だ。どれくらいかっていうと…親が僕たちを生んだ時から。
その為か僕たち二人はよく遊ぶ。家は近いし親同士の仲もいい。そりゃあ僕たち二人がよく遊ぶのも当然だ。
……でもそんな仲で心の変化に気付いたのは僕が先だった。
叶を見ているといつもドキドキしてしまう。それはもう少しの動作から何まで。全てに見蕩れてしまう。
こういうことを僕は知っている。これは―『恋』ということを。
そう…僕は坂江叶に恋をしている。たぶんそれは叶に会った瞬間から、まさに一目惚れだ。
「それでさぁ―」
こいつとのは会話はいつも心が浮いてしまう。なんたって好きな女子と会話ができるのだから。でも浮き過ぎておかしな発言をしないように気を付けている。
「うん、そうだね」
慎重になりすぎて流すような答えばっかりしています。でもそれでこいつの心が傷ついて自分も傷つくよりはましだ。
僕は自宅の前に着くと叶に手を振って別れを告げた。
いつものようにただいまと言い家に入って自分の部屋に行き普段着に着替える。そして晩御飯。次に風呂。最後に寝る。僕はこの一連の動作の中では常に叶のことを考えてしまう。
確かに気持ち悪いかもしれない。日常の動作にまで思考が好きな人にいってしまう。可笑しいのかもしれない。しかし『恋は盲目』というように当たり前なのかもしれない 。僕はこのことで常に自分の中で言いあっている。
僕の中ではこう考えていた。
いつものように振る舞いいつものような関係を保つ。だがいつものような関係はあまりよくない。だからこの関係を壊すイベントを考えた。例えば遊園地に行ったり、映画
館に行ったりするデート。そこで完璧に今までの「幼馴染」の関係を壊す一言を告げる。そして相手もよかったら僕たちははれて「幼馴染」から「恋人同士」になる。そうい う計画だ。
しかし最近その計画にノイズが入った。それは叶に好きな人ができたという噂だ。
僕はそれを聴いた途端胸がとても痛くなった。嫉妬――という気持ちだ。ふ、あまり考えたくはなかったが予想はしていた。
僕たち二人は、所詮『幼馴染』であり、それ以上でもそれ以下の関係ではないのだということ。
寝るときにどうすれば叶を振り向かせることができるかと思いながら寝てしまう。
これが僕の1日。
良い言い方をすれば一途という。悪い言い方をすれば変態。
人にどう思われていてもいい。ただ僕は叶と一緒になりたい。それだけだ。
第1章『理不尽は突然に…』
学校に行くとき、叶は毎朝僕を迎えにきてくれる。
「祐樹ー!迎えにきたよー!」
僕は毎度のこと「わかってるよー」と返す。
学校にいく準備も万全になり玄関に近付くとお母さんと叶の喋り声が聞こえた。
「あらー叶ちゃん、また綺麗なっちゃって!彼氏でもできたのかしらー?うっふふふ」
「ま、まさか!彼氏なんてしませんよ~もうおばさんったら!あはははは」
お母さんが言った通り叶は綺麗だ。とびっきりの美人だ。
髪はミディアムのストレートロング。若干茶色で朝日でまぶしく見える。また学校指定のブレザーによりまさにクールビューティー、僕の目には叶がそう写った。背丈は1 60cmちょいで痩せすぎず太り過ぎていない。言い寄った男は数知れずとまで言わないが多い。叶は普通にモテる女なのだ。
それに比べて…。いつも自分に自信が持てない……。
「あ、祐樹!何よ朝からしけた面しちゃって!ほら、学校行くよ!」
靴を履きかけている僕の手をグイっと引っ張る。
思わずドキっとしています僕。
「馬鹿祐樹をよろしくねー」
全く、馬鹿は余計だよお母さん。
「それにして本当祐樹は朝遅いわねー。低血圧なの?」
違うよ。ただ準備が面倒なだけだよ。
「あ!そうか!下の世話ってやつか!祐樹ももう男だね~」
は!?こいつ何言っちゃってんの!?下の世話ぁ!?してないし!
「ふふ、でもまあ早くいかないと学校遅れちゃうね!走ろうよ!」
叶は再度僕の手を引っ張る。
わわ、いけない。バランス崩しちゃった。
僕はバランスを崩し朝の車の数が少し多い道路に体を出してしまった。
早く体勢を直さないと。
と、思ったときだった。
「早く!祐樹!来て!」
え?そんなに大声張り上げなくてもちゃんとするのに。
「ゆうきいいいいいいいいいい!!」
僕は意識を失った。
☆
「違うね。意識を失ったのではない」
「え?」
なんだ、一体何があった?
朦朧とした意識の中でうっすらと目を開かせる。
朝日の綺麗な日、僕の大好きな叶。そして一緒に登校。それが僕の目の前に広がる景色。
でも目を開かせたとき見た景色は全く違った。
何もない真っ暗な世界。僕の目の前にはその異様な空間が広がっていた。
「もう一度言うね。君は意識を失ったのではない」
僕の前に暗闇から一人の青年が闇から姿を現した。
背丈もそれほど変わらないが真っ白な衣服を見に纏い同じ年代とは思えない風格を出していた。
「ど、どういう意味だ」
「単刀直入に言おう。心して聴け。君は―――」
僕は生唾を飲み込む。
「車に轢かれて死んだんだよ」
何を言っているんだ?
こいつは一体何を言っているんだ?
「どうやら信じていないようだね」
「当たり前だ!そんなの信じられるかよ!」
「だろうね。では君に真実を見せてあげよう」
と言うと自分の真下に小さなジオラマが姿を現した。
そのジオラマは段々と大きくなり、自分の真下にはいつもと変わらない風景が映し出されていた。
自分の通っていた通学路。その近くにあるショッピングセンター。
でもその風景はいつもと違ってなんだか騒がしい。
ジオラマから声が聞こえる。
『くそおおおおおおおお!』
男の人の声だ。
『うわああああああああん!』
女の子の声が…―――この声は…叶!?
僕は自分の視点を横にずらす。
最悪の光景が広がっていた。
2台の救急車。それを囲む大勢の人。その中心には僕の幼馴染の坂江叶と――
顔面血まみれの僕の姿があった。
『ゆうきいいいいいいいいい!うわあああああああああん!』
唖然とした。
声も出ない。
いつの間にか自分の真下に広がる光景は暗闇になっていた。
「どうだい?理解したかい?君はもう死んでいるんだ」
「う、嘘だ…」
「真実を見ろ。君は車にはねられその際顔面を強打した。あそこにいたのは顔面を強打し血まみれの君だ」
あ、ありえない…!そんな、そんなわけない!
「あ、おおお、がっ…がはっ……」
嗚咽を漏らす。
驚きとショック、ストレス。いろいろな感情が混ざりに混ざって何も言えない。涙すら出ない。
数秒後、目から一筋の涙が流れた。
「うっ…うう…」
大量の涙は流れなかったが、普通に涙が流れた。それはもう無意識に。
しかし異変に気付く。
僕は何故死んだはずなのにここにいるのか。
「何故僕は……こうしてここにいるんだ…?」
「ほう、意外に気付くなのに早かったな。普通ならまず泣き叫ぶというのに。珍しい。では教えてやろう。お前が何故こうしているのかを。心して聴け。お前には仕事を強制されている」
「し、仕事?何のだ?」
しかも強制?
「坂江叶、こいつはある男に恋をしている」
何で今そんなことを…。
「お前の仕事は坂江叶の恋愛を成就させることだ」
「ふざけるな!何で僕がやらないといけないんだ!それに僕は―――」
「坂江叶が好きだった。だろ?知っている。勿論、当たり前だ。だからこそお前にやらせるのだ。幼馴染で家も近く、親以外では一番一緒にいた時間が長いお前にな」
僕は全身の力が一気に抜け落ちた。
理不尽だ…僕の恋は実らず死んだっていうのに……その僕が恋していた人の恋を実らせるなんて…酷過ぎる……拷問だ。
「理不尽だ…。何で僕なんだ…それに僕じゃなくてもお前がやればいいだろ、いろいろ知っているんだから」
「お前にやらせる理由はさっき言った通りだ。お前があいつと親以外で一緒にいた時間が長いから。何故私がやらないのか。それは面倒だから。私みたいな力より自然に恋をさせた方がいい。後々私の力の回収が楽だからな」
「ふざけるな!!お前の都合でやれるかよ!大体僕はもう死んだんだ!死人には口はない、昔から言われているだろう!」
「人間に対しての都合とか生と死とかルールは私たちには全く持って意味をなさない。それは人間が人間を縛るためだけのものだからな。それより時間がない。お前はこれからお前が死んだ時間から7日後の世界に行ってもらう。住む場所、姿、形、声、全てがお前のものじゃない状態から仕事を初めて貰う。では行ってこい。検討を祈るぞ」
「お、おい!待て!おい―――」
何が起きたのか全く理解できない。理解しようにも1つの情報量がおまりにも多すぎて自分では対処できない。
ただ、自分がやるべきことは『坂江叶』の恋愛の成就。それだけ。自分のことなどどうでもいい。なんせ自分はもう死んでいていないのだから。
僕は冷静だった。
「そうよね。ここは私たちにとっては都合のいい所。狩られるはずがない」
二人は空を見上げる。
「今日はお月さまが」「私たちを勝利の光をもたらすでしょう」
☆
午後5時30分。辺りは少し薄暗く視界も昼より悪い。
「お嬢様。準備はよろしいでしょうか?」
「……いいわ」
あからさまに不服そうに言う。
「申し訳ありませんお嬢様。このようなことにお嬢様を危険にさらしたくないのですが規則なので」
「分かっているわよナンバー100。これもルールなんでしょ。仕方がないわよ」
「ありがとうございます」
二人は外に止めてあるヘリに乗った。
「で、どこに向かうのよ」
「はい。場所は端島です」
端島。通称軍艦島。かつては海底炭鉱によって栄え東京以上の人口密度を有していたが、閉山とともに島民が島を離れたため、現在は無人島。
「そう。でもなんでそんなとこまで?」
「春寅家(しゅんいん)の私有地みたいです。ここなら他人を巻きこむ可能性はゼロ。僕たちにとってはまさに絶好の場所です」
ナンバー100はA4サイズの紙を巴に配る。
「これは軍艦島の地図です。僕たちは…ここにまず降ります」
地図に書いてあるグラウンドを指差す。
「そこからは様子を見て進みます」
はぁ…っと巴は深くため息をつく。
「私ももっと力があればこんなのビクビク怖がらなくてもいいのに…」
「お嬢様…我慢なさらずに」
「そうね…。私は今とても怖いわ。なんせ私自信の命に天秤に吊るす戦いが始まるんだもの。恐怖を感じないわけないわ。怖くて怖くてもう家にでも引き籠っていたいわよ。
でも…これも運命、それに私がいかないとルール上成立しない。どこの馬の骨かもわからないし巳川家の使用人の最低ランクのあなただけど………私には自分を守る力はない
、。だからあなたに頼るしかない。ナンバー100…あなたに任せるわ」
巴の言葉がナンバー100に重くのしかかる。
ナンバー100は安心させるかのように巴に微笑みかけた。
「それにしても今日は月が綺麗ね。でも少し雲に隠れていて暗いわ。今海の上にいるっていうのに暗くて見えないわ」
「そうですね。飛行機から降りるときは足元に気を付けてくださいね」
巴は必死にこれから始まる戦いに対する緊張をほぐそうとしていた。
それを分かっていたナンバー100はただ見守っていることしかできなかった。
巳川巴。巳川の当主だがまだ16歳の少女。命をかける戦いに無理やり出されて何も感じないわけがない。それを分かっているのに何もできない自分が悔しい。そう思って
いた。
巴はナンバー100のスーツの袖をきゅっと掴む。
「…私は飛行機から降りるときに足元を気をつけないといけないくらい軟なの…。だから……」
「分かっていますよ」
巴には一言で十分だった。ただ、自分を安心させてくれる一言がほしかった。
『巴様。それにナンバー100。端島に着きました。暗いので足元に気を付けてお降りください』
ナンバー100が先に降り巴に手を貸す。
「ここが…軍艦島」
「そうです、ここが」「軍艦島よ」
「!?」
ヘリから少し離れた所に少女らしき人が二人いた。
「こんばんわ。巳川巴さん」
「こんばんわ。巳川巴様」
「ええ、こんばんわ。今回、私たちの相手はあなた達?」
「「ふふ、そうよ。私たちがあなたの対戦相手。まさか、二人だからって卑怯なんて言わないわよね?」」
巴はナンバー100に目を配る。
「大丈夫です。このくらいはハンデですよ」
その言葉を聴いて安心する。
「ハンデ、ねえ。私たちの攻撃を受けても言えるかしら。ねぇ姉さん」
「そうですね。あなた達は私たちを見た目だけで判断なさらない方がいいですわよ?もっとも、暗くて見えませんけど」
ふふ、っと不気味に笑う。
「お嬢様。下がってください。相手は何らかの武器を持ちだした音がしました」
「わ、分かったわ」
「あら?私たちが武器を」「手にしたことをお気づきになったんですか?」
「………」
ナンバー100は相手の武器に集中する。声を聴く限りではまだ幼い少女。だが、武器を手にしたときの音は鎖の音と剣のような音。そして視野の狭さ。今夜は月が出てい
るがかなり雲に隠れていて常人ではまず周りを視認できない。
…耳に頼るしかない。
「それでは、いきますわよ!」
声と同時にヒュンという風の音が聞こえた。
ナンバー100は身がまえた。
暗くてよく分からないが自分と敵二人の距離は約7m。攻撃の音からして僕のところまでには結構のラグがある。3秒で僕の所にくる!
だが、攻撃は3秒も待ってはくれなかった。
「がっ…!」
ナンバー100の頭に重く鈍い痛みが走る。
ぐっ…鈍器か!?
今度は右足のふとももに激痛が走る。
「ぐあ!」
「大丈夫!?ナンバー100!!」
ナンバー100の悲鳴を聴いて巴は叫ぶ。
「はは、大丈夫…です」
安心させるように言うナンバー100だが説得力のない声だった。
二人はそれぞれ違う武器を持っているのか?そう考えると一人は鈍器にもう一人は剣か鋭いもの。鈍器の方は直径2、30cmの丸いもの。レッキングボールと予想される
な。もう1つは分からん。
「お兄さん。こう思いませんでしたか?」
「私たちはお兄様の近くまで行って切りつけましたの。」
「でもお兄さんの命は狙わなかった。どうしてだと思う?」
「………」
「「それはね、いたぶっていたぶって、苦しみながら死んでいくところが見たいからなの」」
「趣味悪いな」
「「趣味が良いと言ってちょうだい」」
どう対処すれば…。視えない敵を倒すには……アレしかないのか。しかし、アレを使うにはまだ至らない。この状態でどうにかする策を見つけなければ。
「じゃあいくよ!」
ヒュンと右側から音がする。
ナンバー100はその音を頼りに避ける。
「ぐっ…」
また左足のふとももに斬られたような痛みが走る。
「「ふふ」」
と鼻で笑う二人。
「なんだか可哀想に見えてきちゃいましたわ」
「そんな可哀想なお兄さんに二つほど情けをかけてあげるわね」
また「ふふふ」と笑う。
「私、春寅鼎(しゅんいん かなえ)はレッキングボールを使用しております」
「私、春寅要(しゅんいん かなめ)はグラディウスを使用しているわ」
やはりレッキングボールか。それにしてもグラディウスとは珍しい武器を使うな。
「まあ私たちのことを言ったところで何も変わりはしないわね。まず私たちを見ることすらできないのだから」
「確かに見えない。だがまだこの状況を打破する可能性は残っているはずだ」
とはいえ何もすることができずただただ相手の攻撃に耐えることしかできない。どうすれば。
その時、二人のいる方向から一瞬だけ光が見えた。その光は一筋にも及ばず本当に小さな光だ。
「………」
分かった。目だ。
「もうとっとと早く勝ってよー!」
と、泣き声じみた巴の声が聞こえた。
「大丈夫です。相手の武器が分かりました。安心してください。勝ちます」
今度ははったりではない確証があった。
「武器なら今」「教えましたよ?」
「あなた達二人の本当の武器はそれではない。目だ。しかも猫の目」
二人の顔が変わる。
「猫の目?」
巴が問う。
「はい。猫の目には網膜の下にある“タペータム”という組織の働きで、瞳孔から入ってきた光が網膜に焦点を結んで映像を映し出し、網膜の下にあるタペータムが反射板の
ような役目をして、網膜を通り過ぎた光をもう一度、網膜に送り返すことができるんです。ですから猫は、わずかな光を反射板によって二度利用できるので暗い所でも物がよ
く見えるしくみになっているのです。違いますか?」
「ふふ」と二人は不敵に笑う。
「確かに」「そうです」
「私たちの目は猫に似たような目。だから人間には見えない暗いところでも猫の目の私たちはよく見えるの」
「でもどうして分かったんですか?」
「一瞬だけ光が見えました」
「やはりそこで分かりましたか…」
「しかしあなたのピンチは変わらないわ。私たちの本当の武器を知ったところで何もできないはず」
今度はナンバー100が鼻で笑う。
「いえ、僕にも暗いところは見えます」
暗闇の中、シュルシュルという音だけが響く。
「何をしているの?」「ただ右目の包帯を取っているだけじゃないですか」
「え!?」
ナンバー100がついに右目の包帯を外した?やはりただの義眼じゃなかったのね。
ナンバー100がぶつぶつを何かを言いだす。
「右目の…解放を……許可する」
しかし何も変化はない。
だが真っ先に異変に気付いたのは春寅の双子の姉妹だった。
「なんですか?その緑色の目は」
突如、双子の悲鳴が響いた。
「な、何が起きたの!?」
状況が全く理解できない巴は必死な声でナンバー100に尋ねる。
「僕たち巳川家の勝ちです」
「え?倒したの?」
「はい」
☆
巴とナンバー100は双子をヘリに連れる。
「まさか…殺しちゃった?」
気絶している春寅鼎と要を見ておどおどと言う。
「いえ、気絶させただけです。彼女達は春寅の当主ではありません。ですから殺しはしませんでした」
「どういう意味よ」
ナンバー100は知っていた。
春寅の内部関係を。
春寅彰人は恐れていた。春寅の当主の鼎に要を狙う他企業を。
もしかしたら他企業に狙われるかもしれない。囮か、それとも単なる巻き沿いか。どちらにしても自分の身が危険である。
だから考えた。
鼎と要をどこか自分の害にならない所に追放して、自分達は今まで積み上げてきた資産で楽に、安全に暮らすことを。
もとから二人に愛情などない。
自分まで危険にさらすできそこないの子供だ。
こんな子供はとっとと死んでしまった方がいい。そして安全に幸せに暮らす。
「この二人は何度も親から虐待も受けていたそうです」
巴はその話を聴いてぽろぽろと小さな涙を流す。
「何で…そんなことを…」
気がついた春寅要が小さく口を開く。
「私たちは…いらない子だから…」
それに続き鼎も口を開く。
「そう…私たちは邪魔な子。お父様をお母様の邪魔な子」
「仕方がないの…。私たちは他の企業の女の子と違ってすごい力なんてないの」
「私たちの力はただ少し暗いところが見えるだけです。それだけじゃあ自分の身も守れません」
「「だからお父様とお母様は私たち二人を遠い島に追放した。私たちはあんなにも二人を愛していたのに………お父様とお母様は私たちを愛してはくれなかった」」
二人は大きな目からぼろぼろと滝のように涙を流す。
突然、ナンバー100が驚きの一言を言った。
「では、今から春寅家の本家に行きますか」
「「え?」」
双子は目をまんまるにして驚く。
「理由は簡単です。春寅家”当主”の抹殺です」
「でも…!」「そんな!」
戸惑う双子にナンバー100が厳しい口調で言う。
「ここからはあなた達には関係ない。ここからは巳川家当主代行と春寅家当主の戦いだ。僕に敗れて何もできない人が口を挟むな」
「「………」」
双子は押し黙ってしまった。
ナンバー100の筋の通っている話。しかし自分の両親が殺される。口を出したい気持ちで一杯だが、口が出せなかった。
「ということでナンバー1、よろしくお願いします」
運転席に声をかけると「了解」と返事が返ってきた。
「もし、あなた達が春寅家当主を守ろうとしても僕に勝てますか?さっきのようにもう1度敗退するだけですよ。それにもし、守ろうと言うのなら……ここで動けないように
します」
「ナンバー100…何もそこまでしなくても……」
「お嬢様…。この二人が春寅家の当主…そう、両親の所に行ったらどうなると思います?確実に無駄死にします」
「で、でもそう決まったわけじゃないじゃない…」
「春寅家当主は何食わぬ顔で自分の娘を見殺しにする人です。今更仲直りなどありえません」
巴も押し黙ってしまう。
ヘリは春寅家の豪邸に着いた。
豪邸と言っても巳川家の屋敷よりは小さくて少し物足りないような感じがする。そして電気がついていないのかほぼ真っ暗だ。
「ここまでとは…」
ぼそっとナンバー100は口にする。
春寅家。現在の当主の決断により衰退、破たん寸前まで堕ちた。
それは自分の家にまで出て、挙句自分の娘にまで責任を負わせた。
ナンバー100はグっと拳を強く握る。
それを双子は優しく握る。
「お願い…」「私たちも連れて行ってください…」
「ですから――」
駄目です、と続けようとしたが巴が口を挟んできた。
「ナンバー100。巳川家当主の命令です。この二人も同行させなさい」
最高権力者の命令が下された。
ナンバー100は無表情で坦々と了承した。
ヘリは春寅家の豪邸のヘリポートに止まり、ナンバー100、春寅鼎に要、巴の4人が降りた。
ナンバー100は巴が一緒に降りたことにあえて何も言わなかった。
「二つに別れましょう。僕とお嬢様、それからあなた達二人。それでいいですね?」
「「はい」」
「見つけたら伝えてください。……最後に言います。あなた達二人が見つけたら両親の最後を見ることになりますよ?」
「大丈夫」「かまいません」
「分かりました。では発見次第連絡をください」
4人は別々に春寅家の豪邸に潜入した。
豪邸の中は真っ暗で月の光ですら照らすことができないくらいに闇に包まれていた。
ナンバー100は入ってすぐに右目の包帯を取った。
「ねえ…その右目はなんなの?」
「これは――伝えることを約束しましたね」
ふぅ、っと息を吹く。
「この義眼はただの義眼ではありません」
「ど、どういうこと?」
「この義眼はですね、様々なことができます。いくつかある中でサーマルアイという暗い所でも視認できる機能があります。あとは肉体的な力の開放に制限です」
「へ、へー」
よくわからない巴だったがとりあえず相槌をうっておいた。
「ですから僕はあの二人に勝てた。この義眼の力によって」
「そ、そう」
「ん?」
「どうした――」
ナンバー100は巴の口を手で押さえる。
「ふぐ!?」
「しっ。静かにしてください」
言われたように静かにする。辺りは工事の音や車の音が暗闇によってより一層大きく聞こえる。
「二人の声と…大人の男と女の声が聞こえる」
巴には人の声など聞こえず首をかしげていた。
「こっちです!」
「わわわっ!?」
暗闇の中巴は手を引かれ右左と連れまわされた。
どこからか銃声と悲鳴が聞こえた。
「うわー!?」
盛大に驚く巴に対し、ナンバー100はいたって冷静、だが少し焦っているように見えた。
銃声と悲鳴が聞こえた部屋に向かう。
暗闇の中に光が漏れている部屋があった。
ナンバー100は扉を開ける。
「くっ、やはりこうなってしまったか…」
「な、何がよー?」
少し遅れてきた巴は目の前に広がる光景を見て絶句する。
胸に剣が刺さっている女性に銃を持って倒れている男性。そして、ぐったりと力なさそうに倒れこんで虚ろな眼差しの――春寅要がいて、それに抱きついて泣いている鼎が
いた。
よく見ると要は手を腹に置いている。腹からは真っ赤な血が流れていた。
「い、一体何が……」
巴は震えながら言った。
「おおよそ検討はつきます。そんなことより早く要を!」
色白とした要の唇がかすかに動く。
「いいの……私は…もう………だ…め」
「お姉様!まだ諦めてはいけません!」
「そうです!今ならまだ間に合う!」
要の口元が笑みを浮かべる。
「私の役目は終わりました……うっ…。こうして……両親と共に死ねる……はぁはぁ……。何より……私の…世界で一番大事な……妹を守ることができたのだからっ…ぐっ…
…げほっげほっ!」
口から血を吐く。
「もう話さないでください!お姉様!」
しかし話を止めようとしない。
「思えば…長い…長い『ごっこ遊び』でしたね…。双子の鼎に『お姉様』と……言われるのが嫌で嫌で……。小さな私もムキになり…妹を『お姉さん』と呼んだ……っ…。そ
れからどちらが…先に根を上げるか…とか変なルールまで加えたりして……」
「結局はそれが私たちの関係になってしまいました…」
「…ふふ……そうでしたね………」
「でも、それがかえってよかったと思っています。皆さんに悪戯とかして遊んだりできましたもの」
「ゲホッ!がはっ…はぁはぁ…はぁ……」
「お姉様…」
鼎は目に大量の涙を浮かべる。
「嫌だ…嫌だよ……私を置いていかないでよ……うう…」
要は妹を安心させるかのように微笑みかける。
「これからはあなたが…春寅家の当主……私はそれをずっと見守っているだけです……。か…なえ……私の妹になってくれてありがとうございます――――」
静かに、春寅要は息を引き取った。
鳴り響く鼎の泣き声。
ナンバー100はそんな鼎を抱きかかえ巴と共にヘリに戻り、屋敷に戻った。
☆
あれから二日たった。
鼎は巳川家で保護することになり今は巳川家の屋敷に住んでいる。
「お姉様は私を見守ってくれています。ですからこんなところでつまづいては合わせる顔がありません」
と、強気の姿勢だ。
「ところでお兄様」
ナンバー100は鼎に目を向ける。
「その右目はなんですか?」
ナンバー100は説明する。
「へーすごいですねー!」
笑みを浮かべるナンバー100。
「やっぱりお兄様は”私たち”のお兄様ですね!」
ナンバー100は苦笑した。
今日も変わらない日常。
だが巳川家では平和の日常だったが、それはつかの間の平和。
12企業の戦争はすでに始まっている。
ナンバー100らが1つの企業を終わらせている頃にはすでにもう2つの企業が終わりを迎えていた。
二人は空を見上げる。
「今日はお月さまが」「私たちを勝利の光をもたらすでしょう」
☆
午後5時30分。辺りは少し薄暗く視界も昼より悪い。
「お嬢様。準備はよろしいでしょうか?」
「……いいわ」
あからさまに不服そうに言う。
「申し訳ありませんお嬢様。このようなことにお嬢様を危険にさらしたくないのですが規則なので」
「分かっているわよナンバー100。これもルールなんでしょ。仕方がないわよ」
「ありがとうございます」
二人は外に止めてあるヘリに乗った。
「で、どこに向かうのよ」
「はい。場所は端島です」
端島。通称軍艦島。かつては海底炭鉱によって栄え東京以上の人口密度を有していたが、閉山とともに島民が島を離れたため、現在は無人島。
「そう。でもなんでそんなとこまで?」
「春寅家(しゅんいん)の私有地みたいです。ここなら他人を巻きこむ可能性はゼロ。僕たちにとってはまさに絶好の場所です」
ナンバー100はA4サイズの紙を巴に配る。
「これは軍艦島の地図です。僕たちは…ここにまず降ります」
地図に書いてあるグラウンドを指差す。
「そこからは様子を見て進みます」
はぁ…っと巴は深くため息をつく。
「私ももっと力があればこんなのビクビク怖がらなくてもいいのに…」
「お嬢様…我慢なさらずに」
「そうね…。私は今とても怖いわ。なんせ私自信の命に天秤に吊るす戦いが始まるんだもの。恐怖を感じないわけないわ。怖くて怖くてもう家にでも引き籠っていたいわよ。
でも…これも運命、それに私がいかないとルール上成立しない。どこの馬の骨かもわからないし巳川家の使用人の最低ランクのあなただけど………私には自分を守る力はない
、。だからあなたに頼るしかない。ナンバー100…あなたに任せるわ」
巴の言葉がナンバー100に重くのしかかる。
ナンバー100は安心させるかのように巴に微笑みかけた。
「それにしても今日は月が綺麗ね。でも少し雲に隠れていて暗いわ。今海の上にいるっていうのに暗くて見えないわ」
「そうですね。飛行機から降りるときは足元に気を付けてくださいね」
巴は必死にこれから始まる戦いに対する緊張をほぐそうとしていた。
それを分かっていたナンバー100はただ見守っていることしかできなかった。
巳川巴。巳川の当主だがまだ16歳の少女。命をかける戦いに無理やり出されて何も感じないわけがない。それを分かっているのに何もできない自分が悔しい。そう思って
いた。
巴はナンバー100のスーツの袖をきゅっと掴む。
「…私は飛行機から降りるときに足元を気をつけないといけないくらい軟なの…。だから……」
「分かっていますよ」
巴には一言で十分だった。ただ、自分を安心させてくれる一言がほしかった。
『巴様。それにナンバー100。端島に着きました。暗いので足元に気を付けてお降りください』
ナンバー100が先に降り巴に手を貸す。
「ここが…軍艦島」
「そうです、ここが」「軍艦島よ」
「!?」
ヘリから少し離れた所に少女らしき人が二人いた。
「こんばんわ。巳川巴さん」
「こんばんわ。巳川巴様」
「ええ、こんばんわ。今回、私たちの相手はあなた達?」
「「ふふ、そうよ。私たちがあなたの対戦相手。まさか、二人だからって卑怯なんて言わないわよね?」」
巴はナンバー100に目を配る。
「大丈夫です。このくらいはハンデですよ」
その言葉を聴いて安心する。
「ハンデ、ねえ。私たちの攻撃を受けても言えるかしら。ねぇ姉さん」
「そうですね。あなた達は私たちを見た目だけで判断なさらない方がいいですわよ?もっとも、暗くて見えませんけど」
ふふ、っと不気味に笑う。
「お嬢様。下がってください。相手は何らかの武器を持ちだした音がしました」
「わ、分かったわ」
「あら?私たちが武器を」「手にしたことをお気づきになったんですか?」
「………」
ナンバー100は相手の武器に集中する。声を聴く限りではまだ幼い少女。だが、武器を手にしたときの音は鎖の音と剣のような音。そして視野の狭さ。今夜は月が出てい
るがかなり雲に隠れていて常人ではまず周りを視認できない。
…耳に頼るしかない。
「それでは、いきますわよ!」
声と同時にヒュンという風の音が聞こえた。
ナンバー100は身がまえた。
暗くてよく分からないが自分と敵二人の距離は約7m。攻撃の音からして僕のところまでには結構のラグがある。3秒で僕の所にくる!
だが、攻撃は3秒も待ってはくれなかった。
「がっ…!」
ナンバー100の頭に重く鈍い痛みが走る。
ぐっ…鈍器か!?
今度は右足のふとももに激痛が走る。
「ぐあ!」
「大丈夫!?ナンバー100!!」
ナンバー100の悲鳴を聴いて巴は叫ぶ。
「はは、大丈夫…です」
安心させるように言うナンバー100だが説得力のない声だった。
二人はそれぞれ違う武器を持っているのか?そう考えると一人は鈍器にもう一人は剣か鋭いもの。鈍器の方は直径2、30cmの丸いもの。レッキングボールと予想される
な。もう1つは分からん。
「お兄さん。こう思いませんでしたか?」
「私たちはお兄様の近くまで行って切りつけましたの。」
「でもお兄さんの命は狙わなかった。どうしてだと思う?」
「………」
「「それはね、いたぶっていたぶって、苦しみながら死んでいくところが見たいからなの」」
「趣味悪いな」
「「趣味が良いと言ってちょうだい」」
どう対処すれば…。視えない敵を倒すには……アレしかないのか。しかし、アレを使うにはまだ至らない。この状態でどうにかする策を見つけなければ。
「じゃあいくよ!」
ヒュンと右側から音がする。
ナンバー100はその音を頼りに避ける。
「ぐっ…」
また左足のふとももに斬られたような痛みが走る。
「「ふふ」」
と鼻で笑う二人。
「なんだか可哀想に見えてきちゃいましたわ」
「そんな可哀想なお兄さんに二つほど情けをかけてあげるわね」
また「ふふふ」と笑う。
「私、春寅鼎(しゅんいん かなえ)はレッキングボールを使用しております」
「私、春寅要(しゅんいん かなめ)はグラディウスを使用しているわ」
やはりレッキングボールか。それにしてもグラディウスとは珍しい武器を使うな。
「まあ私たちのことを言ったところで何も変わりはしないわね。まず私たちを見ることすらできないのだから」
「確かに見えない。だがまだこの状況を打破する可能性は残っているはずだ」
とはいえ何もすることができずただただ相手の攻撃に耐えることしかできない。どうすれば。
その時、二人のいる方向から一瞬だけ光が見えた。その光は一筋にも及ばず本当に小さな光だ。
「………」
分かった。目だ。
「もうとっとと早く勝ってよー!」
と、泣き声じみた巴の声が聞こえた。
「大丈夫です。相手の武器が分かりました。安心してください。勝ちます」
今度ははったりではない確証があった。
「武器なら今」「教えましたよ?」
「あなた達二人の本当の武器はそれではない。目だ。しかも猫の目」
二人の顔が変わる。
「猫の目?」
巴が問う。
「はい。猫の目には網膜の下にある“タペータム”という組織の働きで、瞳孔から入ってきた光が網膜に焦点を結んで映像を映し出し、網膜の下にあるタペータムが反射板の
ような役目をして、網膜を通り過ぎた光をもう一度、網膜に送り返すことができるんです。ですから猫は、わずかな光を反射板によって二度利用できるので暗い所でも物がよ
く見えるしくみになっているのです。違いますか?」
「ふふ」と二人は不敵に笑う。
「確かに」「そうです」
「私たちの目は猫に似たような目。だから人間には見えない暗いところでも猫の目の私たちはよく見えるの」
「でもどうして分かったんですか?」
「一瞬だけ光が見えました」
「やはりそこで分かりましたか…」
「しかしあなたのピンチは変わらないわ。私たちの本当の武器を知ったところで何もできないはず」
今度はナンバー100が鼻で笑う。
「いえ、僕にも暗いところは見えます」
暗闇の中、シュルシュルという音だけが響く。
「何をしているの?」「ただ右目の包帯を取っているだけじゃないですか」
「え!?」
ナンバー100がついに右目の包帯を外した?やはりただの義眼じゃなかったのね。
ナンバー100がぶつぶつを何かを言いだす。
「右目の…解放を……許可する」
しかし何も変化はない。
だが真っ先に異変に気付いたのは春寅の双子の姉妹だった。
「なんですか?その緑色の目は」
突如、双子の悲鳴が響いた。
「な、何が起きたの!?」
状況が全く理解できない巴は必死な声でナンバー100に尋ねる。
「僕たち巳川家の勝ちです」
「え?倒したの?」
「はい」
☆
巴とナンバー100は双子をヘリに連れる。
「まさか…殺しちゃった?」
気絶している春寅鼎と要を見ておどおどと言う。
「いえ、気絶させただけです。彼女達は春寅の当主ではありません。ですから殺しはしませんでした」
「どういう意味よ」
ナンバー100は知っていた。
春寅の内部関係を。
春寅彰人は恐れていた。春寅の当主の鼎に要を狙う他企業を。
もしかしたら他企業に狙われるかもしれない。囮か、それとも単なる巻き沿いか。どちらにしても自分の身が危険である。
だから考えた。
鼎と要をどこか自分の害にならない所に追放して、自分達は今まで積み上げてきた資産で楽に、安全に暮らすことを。
もとから二人に愛情などない。
自分まで危険にさらすできそこないの子供だ。
こんな子供はとっとと死んでしまった方がいい。そして安全に幸せに暮らす。
「この二人は何度も親から虐待も受けていたそうです」
巴はその話を聴いてぽろぽろと小さな涙を流す。
「何で…そんなことを…」
気がついた春寅要が小さく口を開く。
「私たちは…いらない子だから…」
それに続き鼎も口を開く。
「そう…私たちは邪魔な子。お父様をお母様の邪魔な子」
「仕方がないの…。私たちは他の企業の女の子と違ってすごい力なんてないの」
「私たちの力はただ少し暗いところが見えるだけです。それだけじゃあ自分の身も守れません」
「「だからお父様とお母様は私たち二人を遠い島に追放した。私たちはあんなにも二人を愛していたのに………お父様とお母様は私たちを愛してはくれなかった」」
二人は大きな目からぼろぼろと滝のように涙を流す。
突然、ナンバー100が驚きの一言を言った。
「では、今から春寅家の本家に行きますか」
「「え?」」
双子は目をまんまるにして驚く。
「理由は簡単です。春寅家”当主”の抹殺です」
「でも…!」「そんな!」
戸惑う双子にナンバー100が厳しい口調で言う。
「ここからはあなた達には関係ない。ここからは巳川家当主代行と春寅家当主の戦いだ。僕に敗れて何もできない人が口を挟むな」
「「………」」
双子は押し黙ってしまった。
ナンバー100の筋の通っている話。しかし自分の両親が殺される。口を出したい気持ちで一杯だが、口が出せなかった。
「ということでナンバー1、よろしくお願いします」
運転席に声をかけると「了解」と返事が返ってきた。
「もし、あなた達が春寅家当主を守ろうとしても僕に勝てますか?さっきのようにもう1度敗退するだけですよ。それにもし、守ろうと言うのなら……ここで動けないように
します」
「ナンバー100…何もそこまでしなくても……」
「お嬢様…。この二人が春寅家の当主…そう、両親の所に行ったらどうなると思います?確実に無駄死にします」
「で、でもそう決まったわけじゃないじゃない…」
「春寅家当主は何食わぬ顔で自分の娘を見殺しにする人です。今更仲直りなどありえません」
巴も押し黙ってしまう。
ヘリは春寅家の豪邸に着いた。
豪邸と言っても巳川家の屋敷よりは小さくて少し物足りないような感じがする。そして電気がついていないのかほぼ真っ暗だ。
「ここまでとは…」
ぼそっとナンバー100は口にする。
春寅家。現在の当主の決断により衰退、破たん寸前まで堕ちた。
それは自分の家にまで出て、挙句自分の娘にまで責任を負わせた。
ナンバー100はグっと拳を強く握る。
それを双子は優しく握る。
「お願い…」「私たちも連れて行ってください…」
「ですから――」
駄目です、と続けようとしたが巴が口を挟んできた。
「ナンバー100。巳川家当主の命令です。この二人も同行させなさい」
最高権力者の命令が下された。
ナンバー100は無表情で坦々と了承した。
ヘリは春寅家の豪邸のヘリポートに止まり、ナンバー100、春寅鼎に要、巴の4人が降りた。
ナンバー100は巴が一緒に降りたことにあえて何も言わなかった。
「二つに別れましょう。僕とお嬢様、それからあなた達二人。それでいいですね?」
「「はい」」
「見つけたら伝えてください。……最後に言います。あなた達二人が見つけたら両親の最後を見ることになりますよ?」
「大丈夫」「かまいません」
「分かりました。では発見次第連絡をください」
4人は別々に春寅家の豪邸に潜入した。
豪邸の中は真っ暗で月の光ですら照らすことができないくらいに闇に包まれていた。
ナンバー100は入ってすぐに右目の包帯を取った。
「ねえ…その右目はなんなの?」
「これは――伝えることを約束しましたね」
ふぅ、っと息を吹く。
「この義眼はただの義眼ではありません」
「ど、どういうこと?」
「この義眼はですね、様々なことができます。いくつかある中でサーマルアイという暗い所でも視認できる機能があります。あとは肉体的な力の開放に制限です」
「へ、へー」
よくわからない巴だったがとりあえず相槌をうっておいた。
「ですから僕はあの二人に勝てた。この義眼の力によって」
「そ、そう」
「ん?」
「どうした――」
ナンバー100は巴の口を手で押さえる。
「ふぐ!?」
「しっ。静かにしてください」
言われたように静かにする。辺りは工事の音や車の音が暗闇によってより一層大きく聞こえる。
「二人の声と…大人の男と女の声が聞こえる」
巴には人の声など聞こえず首をかしげていた。
「こっちです!」
「わわわっ!?」
暗闇の中巴は手を引かれ右左と連れまわされた。
どこからか銃声と悲鳴が聞こえた。
「うわー!?」
盛大に驚く巴に対し、ナンバー100はいたって冷静、だが少し焦っているように見えた。
銃声と悲鳴が聞こえた部屋に向かう。
暗闇の中に光が漏れている部屋があった。
ナンバー100は扉を開ける。
「くっ、やはりこうなってしまったか…」
「な、何がよー?」
少し遅れてきた巴は目の前に広がる光景を見て絶句する。
胸に剣が刺さっている女性に銃を持って倒れている男性。そして、ぐったりと力なさそうに倒れこんで虚ろな眼差しの――春寅要がいて、それに抱きついて泣いている鼎が
いた。
よく見ると要は手を腹に置いている。腹からは真っ赤な血が流れていた。
「い、一体何が……」
巴は震えながら言った。
「おおよそ検討はつきます。そんなことより早く要を!」
色白とした要の唇がかすかに動く。
「いいの……私は…もう………だ…め」
「お姉様!まだ諦めてはいけません!」
「そうです!今ならまだ間に合う!」
要の口元が笑みを浮かべる。
「私の役目は終わりました……うっ…。こうして……両親と共に死ねる……はぁはぁ……。何より……私の…世界で一番大事な……妹を守ることができたのだからっ…ぐっ…
…げほっげほっ!」
口から血を吐く。
「もう話さないでください!お姉様!」
しかし話を止めようとしない。
「思えば…長い…長い『ごっこ遊び』でしたね…。双子の鼎に『お姉様』と……言われるのが嫌で嫌で……。小さな私もムキになり…妹を『お姉さん』と呼んだ……っ…。そ
れからどちらが…先に根を上げるか…とか変なルールまで加えたりして……」
「結局はそれが私たちの関係になってしまいました…」
「…ふふ……そうでしたね………」
「でも、それがかえってよかったと思っています。皆さんに悪戯とかして遊んだりできましたもの」
「ゲホッ!がはっ…はぁはぁ…はぁ……」
「お姉様…」
鼎は目に大量の涙を浮かべる。
「嫌だ…嫌だよ……私を置いていかないでよ……うう…」
要は妹を安心させるかのように微笑みかける。
「これからはあなたが…春寅家の当主……私はそれをずっと見守っているだけです……。か…なえ……私の妹になってくれてありがとうございます――――」
静かに、春寅要は息を引き取った。
鳴り響く鼎の泣き声。
ナンバー100はそんな鼎を抱きかかえ巴と共にヘリに戻り、屋敷に戻った。
☆
あれから二日たった。
鼎は巳川家で保護することになり今は巳川家の屋敷に住んでいる。
「お姉様は私を見守ってくれています。ですからこんなところでつまづいては合わせる顔がありません」
と、強気の姿勢だ。
「ところでお兄様」
ナンバー100は鼎に目を向ける。
「その右目はなんですか?」
ナンバー100は説明する。
「へーすごいですねー!」
笑みを浮かべるナンバー100。
「やっぱりお兄様は”私たち”のお兄様ですね!」
ナンバー100は苦笑した。
今日も変わらない日常。
だが巳川家では平和の日常だったが、それはつかの間の平和。
12企業の戦争はすでに始まっている。
ナンバー100らが1つの企業を終わらせている頃にはすでにもう2つの企業が終わりを迎えていた。
小説第2章が終了しました
っていうお知らせ!
見ている人はいるかわかんないけどね!
今度うpします!
よかったら読んでね!!
っていうお知らせ!
見ている人はいるかわかんないけどね!
今度うpします!
よかったら読んでね!!
20年の差
昔の20年の差はそれほど変化はない
しかし
現代の20年の差は変化が多い
PCにしても
出た当初は新製品でも
半年たてばそれはもう時代遅れ
20年…
現代の時間にするとそれはとても進むのが早い…
僕は20年の差が分かる画像を用意しました

GBのポケットモンスター緑です
これって1989年に発売したらしいんです
GB…それは絶対にカラーにならないと言われ続けたゲーム機
しかしこの20年間で
GBより薄く、軽く、なんと3Dに見えるものが発売された
時間って怖いですね
まあこんなしんみりしたお話だけでは変なので
ここでテンションがあがった話を
久しぶりに従妹の兄貴の家に行きました
そこでポケモソの話しをすると
兄貴がどこからか
初代GBを出してきましたー
全てが全て使用可能!
ポケモソのカセットもOK!
今更カセットってかんじがしますね
そしてプレイ!!
んで動いた画像↑
意外にいいものですねw
昔のものに浸るのも
昔の20年の差はそれほど変化はない
しかし
現代の20年の差は変化が多い
PCにしても
出た当初は新製品でも
半年たてばそれはもう時代遅れ
20年…
現代の時間にするとそれはとても進むのが早い…
僕は20年の差が分かる画像を用意しました

GBのポケットモンスター緑です
これって1989年に発売したらしいんです
GB…それは絶対にカラーにならないと言われ続けたゲーム機
しかしこの20年間で
GBより薄く、軽く、なんと3Dに見えるものが発売された
時間って怖いですね
まあこんなしんみりしたお話だけでは変なので
ここでテンションがあがった話を
久しぶりに従妹の兄貴の家に行きました
そこでポケモソの話しをすると
兄貴がどこからか
初代GBを出してきましたー
全てが全て使用可能!
ポケモソのカセットもOK!
今更カセットってかんじがしますね
そしてプレイ!!
んで動いた画像↑
意外にいいものですねw
昔のものに浸るのも