☆自衛隊知念分屯基地。

 

回せ…回せ回せ回せッ!

 

緩むな!弛むな!腰を入れろ、ケイデンスを上げろ…前を見ろ、ただ前を見ろッ!

 

…思えば単純な話だ。

 

ペダルを一回転させれば、タイヤが一回転する。その分だけ前に進む。

 

先に進みたいのなら、ペダルを回せば良い。

 

速く進みたいのなら、それだけ速く回せば良い。

 

…だから、だからだよッ!!

 

だから、俺は、ケイデンスを上げるんだッ!!

 

ひたすら速く、緩まず弛まず省みずッ!!

 

なぜならッ!!なぜならばッ!!!

 

"奴ら"は、すぐ後ろにまで迫って来ているのだからッ!!!

 

 

 

 

時、遡る事、十数分前。

 

俺は、自衛隊知念分屯基地の宿舎と思しき建物の前に居た。

 

とりあえずの目的地としていた分屯基地にて、写真でも一枚撮っておこうかと考えていたからだ。

 

路端に自転車を停め、スマートフォンを構える…すると、その時だった。

 

タンクトップに短パン姿の自衛官と思しき人『観光の方でありますかッ!!』

 

俺『…ひ、ヒゥッ!!?へ、え、えぇ、そうです…けど?』

 

突然、後ろから掛かる変に張りのある声にての不意打ち。これには驚かない訳が無い。

 

正直かなり怯みながらも、何とか返事を返す。

 

タンクトップに短パン姿の自衛官と思しき人『そうでありますかッ!!では、どうですか自分たちと記念撮影などッ!!』

 

俺『…あ、すみません急いでいるんで。』

 

しかし、次の瞬間に自衛官と思しき人物より発せられた言葉が、さらに俺を驚かせた。

 

…き、記念撮影てッ!!

 

あんまり唐突なのでつい断ってしまったが、今になって思うに、折角の機会だし撮っておけば良かった…か?

 

タンクトップに短パン姿の自衛官と思しき人『分かりましたッ!!(後ろを振り返りながら)…よーし、お前ら!!お兄さんに負けないようにランニング始めるぞッ!!』

 

いつのまにか集まって来ていた自衛官と思しき人達『ウッスッ!(俺の方を向きながら)あ、お兄さん自衛隊をヨロシクお願いしまっすッ!』

 

同上『…ヨロシクお願いしまっすッ!!(一斉唱和)』

 

俺『…ぅ?あ、いえ、はい、こちらこそヨロシク…』

 

 

…いッ…イヤァァァァァァァァッ!!!!

 

囲まれてる、囲まれていた…

 

筋骨隆々なタンクトップ姿のメンズ達に!

 

中年のおっさんが!

 

沖縄は知念の地で!

 

何か、気付けば囲まれていたァァァァァッ!!!!(おちつけ)

 

 

そうして、そこからが地獄の始まりだったのである。

 

そう…そこから始まったのだ、『自衛官と思しき方達との、ドキドキかけっこ競争~知念の陣~』(※但し、蟹は自転車に乗っている)が。

 

もっとも、ここをご覧の方は、『つっても相手はただ走るだけだし、自転車なら軽く引き離せるんじゃないの?』と、そんな風にお思いかもしれない。

 

…違うのだ、それが違うのだ。

 

物凄く速いのだッ!

 

さすがは国防の要たる自衛官と思しき方達と言うべきなのか、兎にも角にも速いのだッ!!!

 

息なんて吐く暇も無かった。

 

後ろを振り返る余力なんて、なおさら無かった。

 

後ろから迫りくる『いーちそぉーれにーぃそーれ…』的な掛け声を背に受けながら、まるで追い立てられる様に、必死で自転車を漕ぎ続けるしかなかったのだ。

 

 

と、言う訳で。

 

ちょっとした寸劇みたいになっちゃいましたが笑、いやぁ…大変でした。

 

まぁ、実際に自衛官と思しき皆さんは本当に紳士的な態度でしてね、そういう意味では非常に好感も持てましたし、何て言うか『自衛隊、頑張って!』という気持ちにもなれたんですけど。

 

…ただ、こう、ねぇ?笑(何がだ)

 

結局、あの官舎と思しき建物よりここまでの道中ってば、自転車を漕ぐのに必死過ぎてね、景色とか何も頭の中に残っていません。

 

…あ、ここ?

 

ここはですね、割と急勾配の上り坂を一息に上りきった後、『さすがにもういかん!これはもういかんちや!無理やき!これ以上はホンマ無理やきに!』と自転車を停めた場所になります。

 

で、『えぇい、ままよ!来るなら来やがれ!』と半ばヤケクソ気味に振り向いた所、ちょうどこの坂道の上り口付近で自衛官と思しき皆々様方Uターンする姿が目に入りましてね、思わず『やった!やってやった!…よーし記念にここを撮影だ!』と撮ってみたんですよ笑

 

そんな物ですから、ええ、別にどこだと言う様な写真でも無いのでありました。

 

でも、それはそれとしてね、本当に清々しい良い写真ですよねコレね。

 

まぁ、この写真を撮った時の俺の…あの開放感に満ち足りた気分の方が、はるかに清々しいものだったけどなッ!!(オマエ自衛隊の皆さんに謝れ)

 

…はい、何か色々とスミマセンでした笑>自衛隊の皆さん