「信治くん…、信ちゃん、挿れてみる?挿れてみたい?」

「…う…ん…。」

やっとのことで返事をする。

「ちょっと待ってね。」

マリはビニール製の空気クッションに手を伸ばすと、自分のお尻の下に敷いた。

「信ちゃん、こっち、ここに膝を着いて、もうちょっと足開いて、そうそう。」

マリは、信治のマイクロペニスを受け入れようと角度を工夫し、自分の性器を思い切り突き出し、少しでも挿れやすい体勢をとった。左手で、自分の太腿の下から信治のペニスを捜す。マジで小さい。探し当てたそれは、人差し指というよりむしろ小指のような感触だった。自分の膣口に当てると、

「信ちゃん、ゆっくり、そのまま、おちんちんを前に突き出すの。」

「う~…」

思わず、呻き声をあげてしまう信治。小さい、固さも足りない。信治は、自分のマイクロペニスをマリの性器の入り口に押し付けるが、うまく入らない…。マリは、目を閉じ、自分の性器に全神経を集中させていたのだが、ん?あれ?入った?入ってる?正直、挿入されたかどうかよくわからない。いや、これは入ってないな。マリは、今度は上から手を伸ばし、信治のマイクロペニスをつまむと、自分の性器にあてがい、少しこすりつけた。でもそれは失敗だった…。

「あ~、」

信治は弱々しい声をあげ、マリの性器の上に射精してしまった。やば!マリは焦った。膣の中でなく、外で…、やっちまったぁ…、失敗だ…。

 

「信治くん、出ちゃった?出ちゃったね、ゴメンね。」

マリは、下から信治にキスをすると、首に手を回して抱き締め、両足も信治の腰にホールドさせ、全身を密着させた。背中を優しくポンポンしてあげる。

「大丈夫!大丈夫だから。ね?2回目出来るでしょ?ちょっと休憩、ね?」

マリは、信治から身体を離すと、濡れティッシュで信治の股間を拭いてあげ、バスタオルを身体に巻くと、飲み物を取りにいく。

「コーラでいい?」

信治は、マリからコーラを受け取ると、ゴクゴクと一気に飲んだ。信治は恥ずかしくて恥ずかしくて、いたたまれない。

「ねぇ、どうだった?女のマンコ、感動した?」

「う…ん…。でも…、すぐ出ちゃったから…。」

照れて、恥ずかしくて、カッコ悪くて、自分はなんてダメな男なんだろう…。信治の劣等感が、いつものように鎌首をもたげる。

 まともに顔もあげられない信治に、マリは横から腕に絡みつき、優しく、にっこり笑顔を向ける。ここで心を折ったらダメだ。リラックスさせて。

「大丈夫、大丈夫、ね、もう1回しよ?」

マリは、信治を誘い、椅子に座らせると、信治の股間に跪く。

「せっかく、こういうとこに来たんだからねぇ?フェラも初体験~!」

マリは信治のマイクロペニスを口に含み、舌で弄ぶ。小さいながらも、むくむくと固くなる。あ、意外と可愛いかもとマリは思った。口に含むとちょうど指しゃぶりをしている感覚になる。根元まで咥えても、信治のペニスはマリの喉元までは、とても届かない。すっぽり口の中で、余裕で舌をぐるぐる回転させることが出来る。細い…、ホントに女の子の人差し指をしゃぶっている感覚。ちっちゃな可愛いおちんぽ。ビクンビクンと反応する信治が愛おしかった。

 

 さて2回戦だ。今度こそちゃんと出来るかな?マットに戻ると、さっきと同じ要領で信治のマイクロペニスを受け入れようと悪戦苦闘する。マリは、両手で下から自分のお尻から太腿を支え、股を大きく開いて自分の性器を突き出し、さらに両側から指で自分の性器を広げる。

「ここだよ!信治くん!ここ、ここに、おちんちんを当ててみて。」

女性側が、ここまで協力してくれないと、挿入は無理かもしれない。ということは、この先彼女が出来たとしても、一般女性が彼氏との初エッチでここまで大胆に出来るか?いやいや…。信治くん、頑張らないと、とにかく経験を積んでおかないと、マジで出来ないかもしれない。マリはもどかしかった。自分の性器を両手で広げ、手がふさがっている。手が3本欲しい…。信治のペニスを手に取って自分の性器に当てがいたいのに。信治は自分ではうまく出来ない…。

「信治くん、ちょっと待って。私が上になろうか。」

マリは、体勢を入れ替えると、信治を仰向けに寝かせ、自分が上に跨った。ホントは正常位でさせてあげたかったけど…。自分のチンポで女のマンコを突く経験をさせてあげたかったけど…。

「信治くん、お尻を持ち上げて、腰を、おチンポを突き出して。」

マリは両膝を立て、信治のペニスをつまむと、ゆっくり自分の性器に挿入した。

「信治くん!信ちゃん!入ったよ!入った!信治くんのおチンポ、女のマンコに入ってるんだよ!」

挿入した感じは?生理用タンポンを半分挿れた感じ。プラスチック部分だけ。細い…。生理準備の時、この感覚だったら?え?もっと奥まで押し込まなきゃダメじゃんの感じ。短い。そうそれ!まさしくタンポンのプラスチック部分の太さと長さ。我ながら言い得て妙!膣の中、半分も入っていない感じ。正常位で挿入されたら?下手したら挿っているかどうかわからないかも。でもマリは感動していた。よかった~!この仕事を始めて、男とセックスをして、こんなに感動したのは初めてだ。マリはテクニックで膣を締め付ける。信治のペニスを離さないように。でも、ここから…、動いたらすぐ抜けちゃう…。

「信ちゃん、大きく動こうとしないで、小刻みに動いてごらん。引こうとしなくていいから、とにかく奥に奥に突き刺すことだけ考えて、ゆっくり。」

信治もマリも、動くに動けない…。マリは、信治にとにかく中で、膣内で射精させてあげたかった。慎重に抜けないように…、ちょっとだけ、上下にではなく前後に動いた。すると、

「あ~、マリさん!」

信治は、2回目だというのにあっという間に果てた。気持ちいい…。女性とのセックス。これが…、女性とのセックス。信治は感動していた。でも同時に、マリの陰毛に埋もれている自分のペニス、なんて小さいんだろうとも思った。マリは優しい。プロなんだから、挿入しやすいように角度も工夫してくれて、抜けないように気遣いもしてくれ…。自分が女を抱くというより、マリにしてもらった感覚の方が圧倒的に大きい。何だか情けない気持ちもあった。それでも、信治は下からマリにしがみつき、感動と快感に身体を震わせていた。

「頑張った!信ちゃん、偉いよ!ちゃんと出来たじゃん!凄い!」

よかった~!マリは上から信治の顔に唇に首筋に胸に、キスの嵐を浴びせる。何だか愛おしい。手取り足取りというか、おんぶにだっこというか、何から何までしてあげた感じだったけど、それでもとにかく膣内で射精させてあげられた。心を折らずに済んだかな。よかった…。

 でも…、マリは思う。プライベートでのセックスは、多分無理だろう、今のままでは…。女性側が相当経験豊富で、リードしてあげないと。今の状態では正常位は出来ない。信治が女の股を開かせ、自分の性器を挿入する、いや…、無理だ…。女が、ちょっと…、たとえポーズだとしても、ちょっとでもイヤイヤの抵抗をしたら、絶対に挿れられない。騎乗位だって、女が慎重に気を遣って挿れてあげる感じじゃないと…。バックは?いやいや、女側が、相当お尻を反らせてあそこを思い切り突き出してあげないと無理。女がちょっとでもお尻を引いたら、すぐ抜けちゃうだろう。信治のペニスは、短小で細いだけでなく、固さも足りない…。それでも少し慣れれば、何度か経験を積めば、正常位で挿入することは出来るようになるだろう。そこまで指導してあげたくなってしまう。それでも…、イケメンでもなく身長も今イチな信治。オドオドして自信なげな表情…、スタイルも決してよくないし。とてもモテるようなルックスではない。それでも、信治の真面目さや健気さ、優しさを好きになってくれる子が現れて、彼女が出来て、初エッチして、2度目はありか?う~ん…。正直、経験が豊富な女だったら、2度目はないな…。積極的にセックスを楽しむタイプの女だったら、たとえ前戯がどんなに上手だったとしても、やはり最後は合体して思い切りガンガン突いてほしいというのが本音だ。もの足りな過ぎる。いや、愛情が、精神的な愛おしさがなければ、1度目の時でも信治のペニスを目の当たりにして…、萎えちゃう…。テンション下がってげんなり、挿れる前にギブアップしちゃうかも…。出来れば処女、そして何より、信治の外見ではなく内面に、女の方が強く惹かれている関係性なら…。マリは、まるで姉のような気持ちになってしまう。何とかそこまで見届けてあげたい気分になる。

 信治は嬉しかった。初めて女性とセックスが出来て、天にも昇る気持ちだった。もう思い残すことは何もないとさえ感じた。お金を介しての関係なのだが、心底マリに感謝したかった。帰り際、

「信治くん!いい男になって。頑張って、中身のある男になって、ね?あとさ、お金が溜まったら、また来てくれる?またマリのこと、指名してくれる?私、信治くんと、もっといっぱいしたいなぁ。今度はバックもしよ!」

 

「サクラちゃん、お願い…、声出してみて。演技でいいから、感じてるフリをして、お願い…。」

サクラは大きく仰け反る

「あ、あぁ、あん、気持ちいい…、気持ちいいいよ、あん…、あん、あぁ~!もっと、もっとして!もっと突いて!あん!信治君のおチンポ気持ちいい!」

サクラは、信治にしがみつき、抜けないように気を配りながら少しだけ腰を動かす。信治は、あっという間に射精してしまう。でも…、幸せだった…。たとえ演技でも、自分がセックスで女を感じさせている、夢を見させてくれた。

「サクラちゃん、ありがとう、本当にありがとう。嬉しいよ。」

「うん。あのね、信治君、前戯上手だったよ。噓じゃないよ!本当に、丁寧で優しかった。私ね、手でもクンニでも、両方イっちゃった!ホントだよ。だから自信を持って!ね?」

 

「あのね、風俗嬢の私がこんなこと言うのもなんだけどさ、男と女って、セックスだけじゃないでしょう?信治くん、ちゃんと好きな子いる?その子がぺちゃパイだったら、もう愛せないの?そんなの変だよ。信治くんのおちんちんがどんなんだって、ちゃんと出来るでしょ?妊娠だって、赤ちゃんだって、きっと出来るよ、でしょ?だから、ちゃんと女の子のこと、好きになって愛してあげて。信治くんのこと、誰よりも大事に思ってくれる女の子がきっと現れるよ。そんなの、おちんちんなんて関係ない!女はみんなでっかいのが好きで、セックスで満足出来なきゃ男を愛せないなんて思わないで。」

 

 25歳でやっと初体験を済ませた信治。それから、年に1~2回、ボーナスが出ると、風俗店でお金を介した性行為をしてもらい欲求を満たしていた。風俗嬢は、みんな優しかった。信治のマイクロペニスの件には、一切触れない女性もいたし、そんなこと気にしないでと、明るく励ましてくれる子もいた。

 

「ウッソ!小さ!マジ?マジウけるんだけど…。こんなに小っちゃいチンポ初めて見た!ある意味凄!逆に貴重!凄い!ホント凄~い!」

 

テンション爆上がりの子が1人だけいたが…。概ね、小さいことを笑われることも馬鹿にされることもなく、信治は安心して欲望に身を任せることが出来た。

 素人童貞。35歳になった信治は、結局、プライベートで女性とデートをした、いや、女性と2人で街を歩いたり食事をしたりの経験は1度もなかった。女性との出会いの場にも消極的で、いわゆる合コンに声をかけられることもなかったし、自分から出かけていくようなこともなかった。マッチングアプリを使うような勇気も到底なかった。風俗嬢に優しくしてもらえればそれで充分満足だ。逆に、一般女性との恋愛には、躊躇、萎縮してしまう。正直、気後れし、怖くなってしまう。女性とコミュニケーションを取り、自分をアピールしながら相手を上手に褒めて気分良くさせ、しかもそれは、他の男性との競合だ。その中で口説いて自分を選んでもらい、交際に発展させ、そしてゆくゆく性的関係に…。そんなこと、自分に出来るわけがない…。ましてマイクロペニスという大きなハードルまであるのだ。とても無理だ。このまま、ずっと、このまま…。多くを望んではいけない。こんな自分が、身の程知らずに大それた望みを持ってはいけない。結婚なんて、彼女なんて、そんな高望みをしてはいけない。一生懸命働き、そして年に数回、女性と触れ合える機会があるのだから、それで充分だ、満足だ。静かに、穏やかに、一生を送っていければ、それで充分幸せだと、自分に言い聞かせていた。このまま何事もなく…、誰も愛さず、誰からも愛されず、それでも真面目にコツコツ働き、歳を重ねていければ、それでもう、他には何も望まない。そう信じて生きてきた。

 そう、愛梨に出会うまでは…。